平成20年予算特別委員会 書面審査 教育委員会

◯荒巻委員
 先ほどから御発言がありました震災時における文化財の対策について、もう既にありましたので補足的に展開させていただいて、文化財の総合的な被災対策についてお伺いをしたいと思います。
 今、お話がありましたとおり、文化財は中央防災会議の話の中で想定される被害も大変甚大なもので、まさに文化財というのは単なる建造物と違って歴史性とか時間に対する超越性とかという付加価値があるゆえに、それが文化財たるゆえんだと思っていますので、ぜひ未然にできる限り被害を小さくするという御努力をぜひ推進していただきたいと思います。
 一方で、あと震災だけではなくて、震災というのはもちろん火災もセットになってきますし、単なる壊れたとか、また最悪なケースで全壊とかありますが、焼失とか全くなくなってしまうケースに対してどういう考え方をしていくのかという点で、ちょうど先月隣国の韓国において南大門が、あれは放火でしたけれども、あの修復事業に3年間かかると聞いています。また、費用も二十数億円ですか、額も大変すごいものです。
 京都におきましても、例えば震災で言えば花折断層に直下型の地震が来た場合、重要文化財だけで200ですよね、国宝だけで50あるとか、国宝においては全国の4分の1が集中している大変密度の高い地域でありますし、また西山とか生駒断層を入れていけば、また100プラスされて400近い規模での本当に文化財の大損害が想定されるわけです。そういったときにどう対応していくのか。
 また話がそれますが、特に京都はスマトラ沖の地震のときも、あちらのインドネシアのヒンズーの寺院とか、また木造建築が倒壊したときに、あれは知事直轄でしたけれども、ちゃんと支援して復興に努めたということもありますし、いろいろな経験と知恵と教訓があるわけですから、そういうのを踏まえた上で、いま一度京都の文化財というものが人類共有の財産であると自負するのであれば、今後そこで暮らす京都の府民が共通認識として文化財に対する意識水準を高めていくということが大事だと思いますし、被災が起こったときの修復とかすべて全体的に考えるのであれば、もちろん府教育委員会だけで完結する世界ではありませんから、今のうちに具体的にさまざまにシミュレーションしているのであれば、そういった財政的なことも南大門で二十数億円であるならば、京都の文化財がもしそれがすべて総額計算したら天文学的なものになるかもしれない。そういったときに、今のうちからどういう形でそれの対策をそのとき講じていくのか、また財源を含めたこともぜひ行政だけではなくて、もちろん国もそうですけれども、また府民、民間の京都を愛する人たちを含めて、今のうちに議論を高めていけば、またよりよい知恵とかも生まれるかと思いますけれども、そういうことを踏まえた上で総合的な文化財の被災対策を今どのようにお考えなのか教えていただきたいと思います。

◯指導部理事文化財保護課長事務取扱
 総合的な文化財防災対策ということですが、一つ耐震面で言えば、今まで耐震性を高めるためにさまざまな取り組みをしてきているわけですが、こうしたその取り組みを一層スピード感を持ってアップしていくのが必要なことではなかろうかなと考えております。もちろん、耐震補強等の具体的な手だては当然必要ですが、いずれにしても文化財所有者の意向を踏まえながら耐震補強を重視した計画的な保存修理対策というものに取り組んでいきたい、そのためには文化庁あるいは所有者との連携を十分にしていくことが一番肝心ではなかろうかなと考えております。
 それから、御指摘の防火面のことですが、今まではどちらかというと点的な防火対策ということで、その中で例えば自動火災報知設備の設置は、これはほぼ国指定であろうが、府の指定であろうが、国指定であれば100%近い、府指定のもので言えば80%弱ぐらいの設置状況、整備状況になってきているわけですが、これは点的な面を重視した対応だったわけですが、今後面的な広がりを持った防火対策、防災対策というのをより一層検討していかなければいけないと考えています。そのためには、地元自治体の持っておられる地域防災計画というものと連携をしながら取り組んでいく必要があるのではなかろうかなと考えています。当面、具体的に総合的なという内容での計画は明確にはお示しはできませんが、今のような取り組みを進めていく中で、総合的な取り組みというのを早急に検討していきたいと考えております。

◯荒巻委員
 ぜひより大きな連携として広がりを見せていただきたいと思いますし、本当に現代に生きる我々すべての人々に課せられた責務であるということをぜひ明らかにしていただきたいと思います。特にこれだけの量の文化財を背負った京都府の、また府教育委員会だからこそより重みのある発言になると思いますし、より広く発信して形づくっていただきたいと思います。
 以上です。

あらまき隆三

荒巻隆三
(あらまきりゅうぞう)

  • 昭和47年10月27日
    京都市生まれ
  • 自民党府議団 代表幹事
  • 議会運営委員長
  • 京都地方税機構議会 議長
  • 京都実業団剣道連盟 会長
  • 京都府カヌー協会 会長
  • 元衆議院議員
  • 元株式会社ワコール社員

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