令和2年6月定例会 討論

自由民主党府議会議員団の荒巻隆三でございます。
 通告に従いまして、数点にわたり質問いたしますので、理事者の皆様には明快な御答弁をよろしくお願い申し上げます。
 まず初めに、WITHコロナ社会における今後の観光振興について質問いたします。
 観光や文化財が京都の大きな魅力や活力を形成する大変重要な要素であると思っております。これらの伝統や歴史の力を抜きにして京都を語り尽くすことはできないのではないかと思っておる次第でございます。
 先日、大変インパクトのあった記憶に残るフレーズとして「4月:前年同月比99.9%減の3,000人」というフレーズがありました。これはJNTO(日本政府観光局)が先月20日に公表した本年4月の訪日外客数のプレス資料につけられた見出しであります。この1月前に公表された3月の数値はマイナス85.9%と、こちらも相当衝撃的でしたが、各国が新型コロナウイルス感染症対策として、海外渡航制限を行った結果、4月は過去最大のマイナス幅を更新することとなりました。新聞やテレビなどのメディアでも「99.9%減」という言葉が非常に強調されてもおりましたので、府民の皆様の記憶にも新しいことと存じております。
 去年の4月には300万人も訪れていた外国人観光客が、僅か12か月後には3,000人にまで落ち込んでしまうなど、誰が予測できたでしょうか。前回の東京オリンピックが開催された1964年(昭和39年)の訪日外客数は年間約35万人、1か月に換算すると約3万人ですが、半世紀以上前の当時と比べても1か月3,000人という数字のインパクトが伝わってくると思います。
 外国人観光客の数が前年比1,000分の1になれば、当然インバウンド需要も1,000分の1になります。日本屈指の観光都市、京都の地域経済はかつてないほど大きな打撃を受けているわけでありますが、新型コロナウイルスが私たちから奪ったものはインバウンド需要だけではございません。例年、春先には多くのイベントや催しが各地で開催されておりますが、これらが軒並み自粛、中止されたことにより、地域からにぎわいや活力、そして誇りまでもが奪われております。
 早春の訪れを告げる風物詩として、毎年3月に開催されている京都東山花灯路が今年は残念ながら新型コロナウイルス感染症の影響で中止をされてしまいました。古都京都の代名詞とも言える東山の地において、LEDの灯籠の明かりが白壁や木々に揺らめく幻想的な陰影をつくり出す東山花灯路は、長年地元の皆様方に愛され、毎年100万人規模の来場者数を集めてきた取組であり、また地域ににぎわいを与えるだけでなく地域の方々の誇りにもなってきた取組であるだけに、残念な思いでいっぱいであります。
 続く4月の祇園甲部の都をどりや、宮川町の京おどりの中止は、私にとっても絶望的な思いでありました。日本の春の風物詩として世界中から愛されている、一途にしきたりや習わしを重んじてきた花街の魅力、卓越した技術や感性が表す京の美学の世界までもが中止という選択をせざるを得ない状況になったことは、悔やんでも悔やみ切れません。
 このように新型コロナウイルスの拡大に合わせ、京都でも地域から人通りが途絶え、にぎわいが失われております。観光客が宿泊するホテルも軒並み客数が激減し、外国人宿泊客数は言うに及ばず、日本人宿泊客数も3月の前月比マイナス45.5%からマイナス89.7%と大幅に悪化し、半数近くが臨時の休業に追い込まれております。これに加えて飲食店や土産物屋など、観光に関連する様々ななりわいも立ち行かなくなっている状況にあります。
 そこで伺います。ダメージを受けている京都経済の中でも、ひときわ大きい打撃を受けておりますのが観光に関連する事業者の皆様です。厳しい状況にありながらも、雇用を守るために、また商売の明かりを消さないために歯を食いしばって頑張っていただいているところでありますが、京都の観光業を取り巻く現状をどのように認識され、そして、どのような支援を講じていただいているのでしょうか。これを伺いたいと思います。
 次に、今後の観光振興についてお伺いをいたします。
 先ほど申し上げましたように、新型コロナウイルスは京都の観光に大きなダメージを与えましたが、この傷は単に時間の経過とともに癒えるものではございません。ウイルスの存在が遠出を伴う旅行の自粛や、3つの密の回避など、人々の意識や行動に大きく影響を与え続けるため、治療薬やワクチンが開発されウイルスが人類の脅威でなくならない限り、これまでと同じような観光の風景は戻ってはきません。それは取りも直さず観光の在り方もこれまでとは大きく変わっていかざるを得ないということにほかならないのであります。
 インバウンドが以前と同じレベルまで戻ることは短期間ではかなり厳しいでしょうし、また、緊急事態宣言が解除されたとはいえ、感染リスクを冒してまで遠方に出かける人もなかなか増えてはこないでしょう。そうであるならば、今後しばらくの間は近隣の顧客を囲い込み、新たな需要を創出する、そうした工夫もWITHコロナ社会における観光振興として求められているのではないでしょうか。
 例えば、星野リゾートでも「感染拡大の防止と経済活動の維持の両立を目指すためには、近隣の1時間圏内のマーケットに対して訴求する魅力をつくり、近場で旅行を楽しみたいという人たちを取り込むことが必要」とおっしゃっておられますが、そうした従来の常識にとらわれない観光施策の推進が求められているのであります。
 そこでお伺いをいたします。京都府では5月補正予算で「新型コロナウイルス感染症危機克服会議」を設置し、観光産業についても新型コロナウイルス感染症の長期化や府民の消費行動や産業構造の変化に対応しようとしておりますが、これまでの議論の状況や今後の方向性はどのようになっているのでしょうか。
 また、観光需要は近場から徐々に戻ってくることが予想されるため、初めは府民、次に関西圏、そして全国、海外と段階的な施策の積み重ねが必要と考えておりますが、どのようなロードマップを描いて京都観光の回復と発展に結びつけていこうとされているのでしょうか、お伺い申し上げます。
 次に、文化財所有者に対する支援について質問いたします。
 京都が誇る文化財の数々は日本のみならず、まさに世界の宝とも言うべきものであり、この貴重な財産を後世に確実に引き継いでいくことが今を生きる私たちの役割であると考えております。また、先ほどのテーマとも密接に関連いたしますが、世界に誇る文化財の存在が京都の観光を支えてきたというのもまた事実であります。今年の春は残念ながら新型コロナウイルスの影響で中止となりましたが、春と秋の年2回開催されている京都非公開文化財特別公開では毎年多くの拝観者数を記録しており、観光客に対する訴求力は極めて大きいものがあると認識をしております。
 そのようなかけがえのない財産でもある文化財に対しては、京都府としても手厚い支援を行ってまいりました。特に、全国にも類を見ない府暫定登録文化財に対する保存・修理等の支援は、将来、国宝や指定文化財となる可能性のあるものを早期に保護するという非常に意義深い制度であり、まさに文化庁が移転する地、京都にふさわしい取組であると高く評価をしておる次第であります。
 そこでお伺いいたします。府暫定登録文化財に対する助成制度は、平成29年度に創設されたものですが、創設から丸3年を経過し、毎年の執行状況や文化財所有者からの評価はどのようになっているのでしょうか。また、この制度を創設したことにより、どのような効果があったと総括されているのでしょうか、お伺いをいたします。
 一方、文化財をめぐる状況は新たな局面を迎えております。新型コロナウイルスの影響は、社会や経済だけではなく、文化の存在にも及んでいるのであります。4月半ばに全国に新型コロナウイルスの緊急事態宣言が発令されて以降、府内の神社仏閣においても拝観や行事の休止が相次いでおります。京都府としては、そうした施設に対して休業要請は行っておりませんでしたが、人の移動や混雑を避け感染の拡大を防止したいという崇高な考えから、多くの施設で自主的に休止されていたものであります。
 今年の知恩院では国宝・御影堂が約8年間にわたる平成の大修理工事を終え、約380年ぶりに創建当初の姿に蘇ったところであります。4月に営まれた落慶御遷座法要も、本来であれば多くの方の参加を得て盛大に行われるはずであり、この日を心待ちにされていた方も多かったと思われますが、新型コロナウイルス感染症の発生状況を考慮され、一部の行事は一般参拝客には非公開で実施をされたのですが、他の行事は中止あるいは延期となってしまいました。
 府内の多くの神社仏閣でこうした新型コロナウイルスの影響が広がるとともに、感染の拡大を恐れ月参りを見送る御家庭も増えていると聞きます。貴重な文化財を数多く所有する神社仏閣が、このように新型コロナウイルスの影響を大きく受けている状況の中、国宝や重要文化財の修理事業に悪影響が出てくることを大変危惧しております。
 実際に、公益社団法人全国国宝重要文化財所有者連盟が他の3団体とともに文化庁長官宛てに行った緊急要望では、今般のコロナウイルス感染拡大により補助事業者の財務環境が急激に悪化し、予定していた事業者負担分の拠出が困難となり、既に補助金の交付が決定されている事業であっても事業規模の縮小や一部中止を伴う計画変更を余儀なくされる事例が発生しているということから、補助率を一時的に大幅に加算することが求められる事態となっております。
 そこでお伺いをいたします。京都府内でも、文化庁の国宝重要文化財等保存・活用事業費補助金を活用している文化財所有者は数多く存在いたしておりますが、財務環境の悪化等により計画を変更せざるを得ないような状況が生じているものなのでしょうか。また、文化首都・京都としても、このような文化財所有者の窮状をオール京都で国に強く訴えかけ、緊急的な制度拡充などを求めるべきと考えますが、いかがでしょうか。
 それでは、次の質問に移ります。
 京都府立医科大学におけるがん最先端医療について質問をいたします。
 私は、がん患者の皆様が治療を受けられるに当たって、体力的負担と経済的負担をいかに軽減しつつ患者の皆様に寄り添った先端医療を提供できる体制を構築していくべきかを念頭に、これまでから質問させていただいてきたわけであります。府立医科大学のがん医療体制の整備を質問いたしましたのが平成23年の一般質問の機会でありました。そのときは京都府がん対策推進条例の制定の件が提案されており、「がん対策の推進を図るという観点から、府立医科大学と京都大学という2つの都道府県がん診療連携拠点病院を中心として、先端医療技術の導入など、医療水準の向上を図るべきであるのではないか」ということを申し上げてきました。
 その後、がん治療に関する先端医療の導入、とりわけ粒子線治療の導入が喫緊の課題であるということを申し上げ、他の都道府県で順次導入が進んできた粒子線治療や国立がん研究センター中央病院におけるホウ素中性子捕捉療法、いわゆるBNCTの整備状況の紹介などをさせていただいたところであります。
 がんは依然として日本人の死亡原因の第1位であり、全国では毎年約37万人、京都府でも8,000人近くの府民の方々ががんにより亡くなられています。日本人の2人に1人ががんにかかり、3人に1人ががんで死亡するという事態でありますが、その一方で、がんは決して不治の病ではなく、早期発見・早期治療、さらには進歩著しい最先端治療により、たとえがんになったとしても治療を受けることで健康な人生を送ることができるようになっております。
 府立医科大学におけるがん最先端医療についても、この間、飛躍的に進化を遂げてまいりました。昨年3月には、大変ありがたい御篤志である永守記念最先端がん治療研究センターにおける治療が開始をされ、昨年度は延べ人数で約4,500人の方々が陽子線治療を受けられております。治療開始に合わせ創設された府民助成制度につきましても、13名の方から申請があったと聞いております。
 また、平成28年11月にローム、福島SiC応用技研、京都府、府立医科大学の4者で締結した覚書に基づき、現在着々とBNCTの研究開発や臨床試験開始を見据えた準備が進められていると伺っております。この治療法は、あらかじめ患者さんにホウ素を含む薬剤を投与することで、ホウ素を取り込んだがん細胞の病巣のみを破壊するというものであり、周辺の正常細胞が破壊されず、治療も1回のみで終了するという患者さんの負担も少ない治療方法であります。
 そこでお伺いします。BNCTの研究開発に向けては、現在機器や研究施設の整備等を進めていただいているとお聞きをしております。府民の皆様の関心も高いとは思いますが、新型コロナウイルスの影響による遅延等も危惧される中、今後どのようなスケジュールで進められるのでしょうか。お伺いをいたします。
 府立医科大学におけるBNCTの研究開発が進み、早期に実用化された暁には、またそれとともに、がんゲノム医療拠点病院に府立医科大学が指定された暁には、まさに日本一と呼ぶにふさわしい最先端のがん治療環境が整うわけでありますが、せっかく整ってきたこうした基盤をぜひ府立医科大学の強みとしても生かしていただきたいことを願ってやみません。
 そこでお伺いをいたします。こうした最先端のがん治療環境の整備は、府民の皆様に恩恵を及ぼすことはもちろんのこと、府立医科大学の大学としての格を向上させ、優秀な医療人材を呼び込むことにもつながると考えられますが、どのようにお考えでしょうか。
 以上、これをもちまして私の一般質問を終わらせていただきます。
 御清聴、誠にありがとうございました。(拍手)

あらまき隆三

荒巻隆三
(あらまきりゅうぞう)

  • 昭和47年10月27日
    京都市生まれ
  • 自民党府議団 代表幹事
  • 議会運営委員会 理事
  • 議会運営委員会 議会改革検討小委員会 委員長
  • 農商工労働常任委員会 副委員長
  • 持続可能な地域社会に関する特別委員会 委員
  • 京都地方税機構議会議員
  • 元衆議院議員
  • 元株式会社ワコール社員

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