◯荒巻隆三君
自由民主党議員団の荒巻隆三でございます。通告しております数点につきまして、早速質問に入らせていた だきます。
まず初めに、青少年の有害環境対策についてお聞きいたします。
先日の痛ましい秋葉原無差別殺傷事件を振り返るとき、容疑者 は有数の進学校に進みながら、高校では成績不振に陥るといった挫折体験が事件につながったという可能性は報じられましたが、犯罪は社会を反映する鏡である と言われますように、改めて、容疑者が生きてきた社会状況を振り返ると、若年世代を覆う深刻な社会変化が根底にあるように感じてやみません。
日 本は、高度経済成長期を経て、平成の時代も20年が経過する中で、諸外国に例を見ない急激な少子・高齢化や核家族化の進行と同時に、都市化、情報化が進展 してまいりました。それら高度成長や科学技術の進歩がもたらした今日の繁栄は、青少年にもよきにつけあしきにつけ、多大な影響を及ぼしているように思って おります。
現代は、情報の時代と言われており、私たちが想像もできなかった情報機器類が出現してまいりました。特に、インターネットや携帯電話 は、青少年の間で急速に普及しており、今ではほとんどの高校生が携帯電話を持っているという状況になっておりますが、それは非常に便利なツールである反 面、裏サイトや掲示板を使用した「いじめ」や犯罪を誘発したり、出会い系サイトから青少年が犯罪に巻き込まれるという、世の中がまさに免疫を持ち得なかっ た新たなデジタルツールが急速に普及・発展したため、社会的な制度や使う側の意識・ルールが現状に追いついていないのも実情ではないかと思っております。
しかしながら、携帯やネットを悪者視したところで、今さら、その存在をなくすことはできません。ならば、今こそ大人が子どもに対し模範を示せる社会を再度 築いていくべきであると私は考えております。
拝金主義・ホリエモンがもてはやされ、セレブ、勝ち組という言葉が流行した時代に育った青少年が、 携帯やネットから悪影響を受けるのは、それ以前に、環境に問題がある場合が大半であると私は思っております。
今国会においても、「インターネッ ト異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律」が改正され、いわゆる「出会い系サイト」に対する青少年を保護する体制が整備されたわ けですが、商業主義からの新種の営業形態が次から次へと生まれ、法的規制が後手後手に回る、まさにイタチごっこの状態が続いております。
そうし た最近の動きの一つに、「出会い喫茶」というものがございます。喫茶という場において、面識のない男女に出会いの機会を提供するというものですが、北海道 や愛知県で、出会い喫茶をきっかけに児童買春に及んだ事件が報道されるなど、児童買春の温床であることや、青少年が犯罪に巻き込まれる危険性などが指摘さ れております。
格調の高い文化都市・京都の繁華街には最もあってはならない店舗の業態の一種であるものの、京都においても運営をされており、先 日も、在阪テレビ局の報道番組においてその実態が取り上げられ、問題点が大きくクローズアップされたところです。
出会い喫茶は、入場料を支払っ た男性客が、合意を前提に女性を店外に連れ出すことができるというシステムで、現行の「風俗営業等の規制及び業務の適正化に関する法律」や「京都府青少年 健全育成条例」などの法令の規制の対象とはなっておりません。
こうした、出会い喫茶の中には、18歳未満の少女の利用をうたっている店もあり、 また、利用した少女が「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」に抵触する犯罪の被害を受けたという事件発生の報告もされ ております。
物質面での豊かさが一定水準満たされ、価値観が多様化した現代社会で育った青少年が、常に良識のある判断ができるかという点から考 えますと、やはり、これを保護し育成するのは我々大人の責務であると思いますし、青少年にとって有害な環境を排除するための措置を迅速かつ効果的に講じて いくことが必要であると考えます。
そこで、知事に質問いたしますが、先日の記者会見でも出会い喫茶についてさまざまな営業形態のものが出てくる 中で、「何らかの規制の対象にして立入調査など監視できるようにする必要があると考えている」との発言がありましたが、この営業形態や問題点について、ど のように考えておられるのでしょうか。
また、青少年が犯罪に巻き込まれる危険性のあるこのような営業に対して、私は、厳しい措置をとり、青少年 を守っていくことが必要であるのではないかと考えますが、知事の所見をお聞かせください。分割いたします。
◯議長(家元丈夫君)
山田知事。
〔知事山田啓二君登壇〕
◯知事(山田啓二君)
荒巻議員の御質問にお答えいたします。
青少年の有害環境対策についてでありますが、インターネットや携帯電話の普及に伴うネット犯罪に見られますように、青少年をめぐりましては、よくこれだけいろいろと考えられるなというくらい怪しげなものが次から次へと出てまいりまして、青少年の健全育成のためには、こうした問題に、とにかく迅速に対応していくことが私は必要であるというふうに考えております。
このため、京都府におきましては、「青少年の健全な育成に関する条例」に基づきまして、有害図書類の指定や深夜営業店舗等への立入調査、法律に先駆けたテレクラ規制やインターネットカフェへのフィルタリング措置の努力義務化、さらには、秋葉原の殺傷事件の後すぐにダガーナイフを緊急指定いたしまして、6月8日の事件だったんですけれども、6月17日には緊急指定を行いまして販売禁止措置などに取り組んできたところであります。
「出会い喫茶」につきましては、面識のない男女に一時の交際の機会を提供する、大変新しい営業形態ではありますけれども、現在、京都府内で3店舗が営業しておりまして、うち一つの店舗につきましては、私どもでも18歳未満の入店を確認しております。こうした「出会い喫茶」で知り合った青少年に対する買春行為によって検挙される事件が、京都府内を初め全国的に発生をしておりますけれども、現行の風営法では、一定の規制条項はあるんですけれども、「出会い喫茶」そのものは、そもそも想定していないために、規制するのが大変難しい状況にあります。
しかしながら、危険性を青少年が十分に認識しないまま、飲食や漫画、インターネットの無料提供などにつられて安易に利用している実態もありますので、犯罪に巻き込まれる危険や性的被害から守るためにも、青少年の入場を禁止する措置を私は当然とるべきではないかなというふうに思っております。
さらに、一段と厳しい措置についても私は考えていく必要があるというふうに思っておりまして、学校や住居地等から一定範囲を営業禁止区域に設定いたしまして、この区域内には「出会い喫茶」をつくらせないというようにすべきと考えておりますが、こうした内容も踏まえまして、できる限り厳しい内容を盛り込んだ条例改正案を青少年健全育成審議会等の意見も踏まえまして、早ければ9月議会において御審議をいただきたいと考えております。
京都府の未来を担います青少年が将来に夢と希望を持ち、心豊かに育っていけるように、青少年の健全な育成を脅かす新たな事案につきましては、今後とも、できるだけ即座に規制対象とするなど、毅然とした対応をとってまいりたいと考えております。
◯議長(家元丈夫君)
荒巻隆三君。
〔荒巻隆三君登壇〕