平成22年予算特別委員会 書面審査 知事直轄組織

◯荒巻委員
 国際交流事業について数点御質問させていただきます。
 昨年の12月1日に、左京区の関西日仏学館に、在京都フランス総領事館が移ってきたわけでございますが、もちろん京都で初めての総領事館ということで、本当にこれからどうかかわっていくかということ、このきっかけは大変京都にとっても大きなチャンスだと思っているわけです。もちろん経済的、また商業や農業とかいろいろな産業面での連携もありますけれども、向こうの総領事館も特に京都は日本の文化の首都だという認識のもとに、特に芸術面や文化面での連携を強く求めておられるわけでして、向こうにとってもフランスの存在を普及していく拠点として構えていきたいということをおっしゃっていただいております。そういう意味で、特に京都とフランス、パリとは姉妹都市ですけれども、大方普通の皆さんが思うところでは、芸術面とか歴史性、文化性に関して、また美的感覚、センスとかにおいて大変共通点があるお互いの国柄ですから、そういうところで相手も京都に文化を受容する器とか、アンテナの感度の高さを期待していると思います。また逆に、これは京都が強みとしている多くのそういう文化を発信していく、キャッチボールできる相手だと思っておりますので、その辺の友好提携のあり方、あと今、ミシュランとかの動きもありますし、料理文化、そういうものに関しても単なる食べ物ではなくて、見て、味わって、楽しむ非常に芸術性の高い何か民族性というのでしょうか、物すごく芸術に対しての感度、そういうものが高い、そういう強みの上にのっとって、いかように連携をしていけばいいのか。もちろん今の自治体の財政状況が厳しい中ではありますが、やはりグローバル化が一層進展する中で、国際交流を強めて、京都の文化的価値というものを国際的に高めていかなければいけないという使命もありますので、そういう意味で、今回のフランス総領事館が来たことでの、今後の友好提携のあり方、模索を聞かせていただきたいと思います。

◯知事室長
 委員が御指摘になりましたように、本当にフランスの総領事館が京都に来ていただくということは、歴史的に大きなありがたい一歩だと考えております。私どもももちろんでございますし、フランスの総領事さんも、積極的にこれを機会に交流を推進したいというお考えで、知事ともお話をしていただいたときに一致をしております。私どもが考えておりますのは、やはり交流が官中心にならないようにしたい。つきましては、京都市さんなり、商工会議所さんとももちろん連携をして、あるいは大学とも連携をしてということでございますけれども、例えば伝統工芸だとか、あるいは中小企業とかいろいろな分野があります。そういったところと我々と、そして総領事館に入っていただいたプラットホームをつくりまして、お互いに本当にどういうことがしたいのか、どういうことができるのかということを、1回とは言わず、そこをまず出発点にしたいと。そして、多様な交流が生まれるようにしたいですし、例えば伝統工芸など世界に誇れるすばらしいものだと思うのですけれども、それが世界で例えばお客様に買っていただける、あるいは人々を幸せにする、フランスとの交流を通して、さらにそういうところに結びついていけばいいなということで、ぜひそういう方向を目指していきたい。
 以上でございます。

◯荒巻委員
 そういうプラットホームを考えていく上で、本当にいろいろな議論をしていただきたいと思います。また今、室長がおっしゃいました官中心にならないようにという点においては、たしか昨年度の集計では、京都市在住のフランス人は300人、観光客は5万 5,000人ぐらい来ているということで、これは5年前と比べて3倍近い数の方がふえてらっしゃるというわけです。今回そういう総領事館というまたいろいろな訪れる方にとって利便性の高い施設があるわけですから、ますますふえる兆しにもなると思います。そういった中で、特にフランス人の方は日本文化に対して理解が深いということもありますし、本当にそういう形で多くの人を巻き込んでいただきたいと思います。やはり京都がはぐくんできた文化というものは、根底に生活文化に密着して、多くの人がいちずに変わらず伝承の担い手としてはぐくんできた固有の独自性があると思いますし、多くのそれぞれの時代で、有形、無形にかかわらず芸術にかかわる人たちがそこを訪れて、文化の花を咲かせてきた町でありますから、本当に普通に訪れる方の目線で、健全に正しい京都の文化を理解していただくことが目的だと思います。
 本当に今、間違った京都が伝わっているということがあります。今、ネットが普及していますし、いろいろなメディアや媒体で、特に私の東山区の花街では、舞妓さんのつけるかんざしが左右逆で写真に出ていたり、それは体験舞妓でにせ舞妓みたいなのがそのまま写真集で日本の文化というカルチャー系の本で紹介されていたり、そういう間違ったことが伝わっています。例えば、芸妓さんや舞妓さんの仕事の内容も、何か若干俗世間的な方向で解釈をされていたり、歩いていて髪を引っ張られるとか、連行されそうになったとか、そんなことがあるので、本当に着つけに対しても、きっちり男衆さんがやっている世界をマジックテープの体験のものだけで、海外の方がそれが本物だと思って、何か物すごく現実と乖離した状態で伝わっていることに皆さん不安を覚えてらっしゃるので、そういうところも正していくきっかけになるのではないかと思っています。
 また、少しグローバルな話ですが、本当に20世紀初頭まで日本の文化というのは、西洋人にとって中国文化圏の右端のほうではぐくんできた文化だという認識から、もちろんルーツは大陸から来ていますけれども、独自にしっかりはぐくんできた日本の歴史があるのだということにようやく目を向けていただいた100年だと思います。ですから、そこからさらに進化して、今、いつでもどこでも情報が入る、こういうグローバル化の中で、やはり正しい位置づけを、今、きっちり教えていくきっかけだなと思うときに、本当にフランスという世界的にも芸術的な重みのある国と手を携えられるということは、本当に良いきっかけだと思いますので、この貴重なきっかけをぜひ役立てていただきたいと思います。
 あと和風の迎賓館があったり、多くの海外のVIPがよく京都に訪れることで、本当にメディアも京都によく目を向ける機会があると思うのですけれども、そういう世界の視線がこちらに注がれるときにこそ、やはり京都もそれを使って発信するチャンスだと思うので、そういう機会を活用した魅力発信ということに対して、何か今、お示しいただけるアイデアとかがあったら教えてほしいと思います。
 以上です。

◯知事室長
 例えば、舞妓さん、芸妓さんというのは、やはり京都のあるいは日本の伝統文化だとか、あるいは伝統芸能だとか、芸術だとか、あるいは日本人の美しい振る舞い方というのですか、こういうものの文字どおり体現者、伝承者であると考えております。そのほかにも本当に京都はすばらしいものがある。常に考えますのは、それをどう正しく理解していただくのか。あるいはもったいないという一つの文化を、どう正しく理解をしていただくのか。正しく理解いただければ、本当に京都理解あるいは日本理解、京都ファンになっていただけるのではないかと思っています。そういった意味では、今回、明日の国際交流プランの中に、京のほんまもん語り部マイスターというのをぜひつくりたい。これは例えば一流料亭の御主人が、料理人の御主人が、海外から来られた方に京料理を語っていただく。あるいは、場合によっては食べていただく。あるいは、芸術家、あるいは伝統芸能、いろいろありますけれども、そういう形で本物の京都を直接聞いていただく、体験していただく、こういう形で取り組むことも大変重要ではないかと考えております。
 もう一つは、同じくプランの中で、国際交流コーディネーターの養成塾をつくりたい。これはいわゆる官だけではなくて、民間でもいろいろな国際交流を来たり行ったりしていますし、そういうことを計画している人を、初めから終わりまでワンストップでサポートできるような、そういう方々も計画的につくっていきたいなと。そういう形で、京都を世界に発信していく大きな一助にしたいと考えております。
 以上です。

◯委員長
 荒巻委員に申し上げます。
 割り当て時間が1分を切っております。おまとめいただきますようお願いいたします。

◯荒巻委員
 今のまさにそういったステータスというのでしょうか、称号は、ほんまもんを伝えていく上での一つの解決策の手段として多くの人が議論していることなので、ぜひ検討していただきたいと思います。ただ何かミシュランのように、ミシュランのマイナス部分が不毛な競争を広げてしまったりとか、そういったマイナス面だけは懸念した上で、より多くの方の意見を聞いて、何がしかほんまもんを伝える人たち、やはりそういう位置づけをしてあげていただきたいと思います。お願いします。
 最後にお答えだけいただきたいのが、インドネシアのジョクジャカルタ特別区友好提携25周年、こちらの予算がついているので、もちろん伝統的な宮廷文化とか世界的遺産を多く有するという点で京都と類似していますし、特に文化財保護という技術の提携とか多く提携できる部分が多いと思うので、その辺を含めてどのように考えているのか、それだけお答えいただいて質問を終わります。

あらまき隆三

荒巻隆三
(あらまきりゅうぞう)

  • 昭和47年10月27日
    京都市生まれ
  • 自民党府議団 代表幹事
  • 議会運営委員長
  • 京都地方税機構議会 議長
  • 京都実業団剣道連盟 会長
  • 京都府カヌー協会 会長
  • 元衆議院議員
  • 元株式会社ワコール社員

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