◯荒巻隆三君
自由民主党の荒巻隆三でございます。
さて、いよいよ来月より、京都の夏の到来を告げる祇園祭が始まります。
日本三大祭りの一つに数えられる祇園祭は、京都最大の祭りであります。平安の時代、京の都を初め日本各地に蔓延した疫病の救済に祈りをささげたいにしえ人の慈しみの心は、なお今日にも受け継がれ、多くの府民や関係者の皆様のとうとい御尽力によりことしも催行をなされるわけでございます。
7月1日の「吉符入」から31日の「疫神社夏越祭」までの1カ月間、さまざまな行事がとり行われます。私も宮本組の一員として、現代の世にはびこるまがごとやさまざまな災厄の除去を願うと同時に、微力を尽くしてまいることをお誓い申し上げ、まず初めに治安問題について質問をいたします。
京都の繁華街の顔とも言える祇園・木屋町地域は、多数の飲食店などが軒を連ねる日本でも有数の一大歓楽地であります。
また、周辺市街地には、八坂神社や建仁寺、清水寺を初めとする歴史的にも、文化的・芸術的にも貴重な神社仏閣などがあり、毎年、国内はもとより海外からも多くの観光客が、これらの地域を訪れます。
名所旧跡には四季折々の風情があり、古都の風情あふれる古きよき町並みや、行き交う芸妓さん舞妓さんの姿は歩く文化財、まさに京都の象徴であります。
これらが、国際観光都市である京都の発展に大きく貢献していることを誇りに思いますとともに、祇園・木屋町を初めとする京都の歓楽地が、今後なお一層、観光客らが安心して訪れることができる犯罪のない安心・安全なまちとしてさらに発展していくことを期待しております。
しかしながら、昨今、繁華街等での風景や治安が問題となっており、京都のイメージの悪化につながっている事案を伺うたびに、大変危惧をしております。
京都の地に住まう人々が、まちの魅力に誇りを持ち、訪れる観光客や修学旅行生らが古都の風情に心を動かされることができる、美しく、安全・安心なまち「京都」を守っていかなければならないと考えているところであります。
そのような中、今定例会に「京都府風俗案内所の規制に関する条例」と「京都府暴力団排除条例」の2つの条例が提案され、京都府の治安面に関する問題意識の高さ、府民の安心・安全を守るための心意気を大いに感じ、評価をするところであります。
そこで、これら2つの条例について、質問をしたいと思います。
まず、「京都府風俗案内所の規制に関する条例」についてでありますが、祇園・木屋町の住民の方々を初め、商店街の振興組合や多くの団体の皆様方からも「風俗無料案内所は京都には要らない」「厳しい規制をしてほしい」などの御意見をいただいております。
観光客らにとって、京都という言葉を聞いただけで思い浮かべるイメージというものは、日本文化の優美な世界や歴史の足跡、荘厳なる神社仏閣の姿や、今も変わらぬ町屋の並ぶ小道、水まきや門掃きの風景、聞こえてくるはんなりとした京都弁や舞妓さんのおこぼの足音。そういった観光客らのイメージの世界にある京の暮らしの情景というものが、京都に行ってみたい、また何回でも来てみたい、京都らしいものに触れてみたいと、京都へのあこがれの思いを抱かせる魅力の源泉でもあります。
何とか観光客らのイメージにもかなう京都のよさを守っていこうと長年御尽力されてこられている地域の皆様方にとってみれば、町衆によりはぐくまれた暮らしの文化や、一途に守ってきたしきたりや伝統の厚みなどが幾重にも合わさった上に京都のイメージの品質は守られていると信じております。
京都に来てこういったものは見たくなかった。無料案内所の存在は、観光客をがっかりさせるばかりか、京都のイメージダウンにつながりますので、厳しく規制をされるこの条例は、ぜひとも必要と考えており、一日も早く府議会で可決され、施行されることを望んでおります。
しかし、昨年4月に、大阪で風俗案内所に関する条例を改正したところ、インターネットカフェやタコ焼き屋を装った風俗案内所が増加したとも聞きますし、また、性風俗店による客引き行為が復活したり、増加したりしないかなど、条例ができたことで、逆に悪質化・アングラ化するのではないかといったことも懸念されます。
こうした問題を解決するためには、条例による規制に加えて、地域住民と事業者と警察とが、これまで以上に連携し、安全で安心な情緒ある京都の繁華街づくりを進めていくことが重要であると考えております。
そこで、警察本部長に質問いたします。情緒あふれる京都の繁華街を維持していくためには、このたびの条例が実効性あるものとなるよう、しっかりとした指導や取り締まりの必要があると考えられますが、今後、どのような取り組みを考えておられるのか、御所見をお聞かせ願います。
次に、京都府暴力団排除条例についてでありますが、いち早く暴力団排除に取り組んでいる九州地方におきましては、暴力団排除に取り組んでおられた市民の方が暴力団からの報復行為の被害に遭われるなど、とても許すことのできない卑劣な行為が暴力団により依然として行われております。
暴力団は社会情勢の変化に応じて資金獲得活動を多様化させるとともに、組織実態を隠ぺいし、企業活動を装ったり、政治活動等を標榜して活動するなど、不透明化・潜在化の傾向を強めていると報告を受けております。
本府においても昨年の10月、東山地区暴力犯対策協議会を初めとする祇園地域の住民や商店主の代表者ら約140人が「暴力追放パレード」を行い、その際、暴力団排除を目的とする条例制定の要望書を京都府警察あてに提出されたことを受け、私も昨年の11月定例会で祇園地域はもとより、京都のさらなる発展のために、警察当局の徹底した取り締まりや暴力団対策法の効果的な運用とあわせて、地域住民と事業者が一体となった暴力団排除活動を強力に推進していくことが極めて重要で、そのためには条例の早期制定が必要であることを切に要望させていただきましたが、今定例会に早速「京都府暴力団排除条例」を提案していただいた府警本部の迅速な対応と熱心な取り組み姿勢に対しまして、大変頼もしく感じておる次第でございます。
提案されております条例の内容は、暴力団排除活動の基本理念のほか、保護対策や暴力団事務所の撤去運動の支援など、暴力団排除に向けた基本的な施策について規定がされております。また、府内の暴力団情勢を踏まえ、全国に先駆けて、府の発注する公共工事に参入しようとする暴力団員のほか、祇園・木屋町地区の風俗営業者等と暴力団員との間の用心棒代・みかじめ料の受け渡し、重要文化財や世界文化遺産の周囲200メートル圏の暴力団事務所の新たな設置に対し罰則規定を導入するなど、暴力団員に対する罰則規定としては、先進的で厳しい内容としていただいたものと承知しております。
さらに盛り込まれている罰則規定については、さまざまな業種につかれる府民の方々はもちろんのこと、特に建設業に携わる方々に対しては、あらゆる機会、あらゆる媒体を通じて、事前に条例の内容を周知徹底するための広報啓発活動がぜひとも必要であると考えております。
そこで、警察本部長にお聞きいたしますが、条例制定前に実施されたパブリックコメントの実施結果はどのような声が多かったのか、また、効果的な運用に向けての今後の取り組みをどのように考えておられるのか、お聞かせください。
また、本条例の制定においては、府警がリーダーシップをとられたと承知しておりますが、府民の安全・安心を守っていく京都府としても京都府警のカウンターパートナーとしてイニシアチブをとって強力に暴力団排除を進められ、京都府警と京都府が連携し、ともに一体となった暴力団排除のための活動に取り組まれる必要があると考えますが、知事の御所見をお聞かせ願いたいと思います。分割します。
◯議長(林田洋君)
山田知事。
〔知事山田啓二君登壇〕