平成23年2月定例会 (第4号)  一般質問

◯荒巻隆三君

自由民主党の荒巻隆三でございます。通告に従い、数点にわたり質問をいたしたいと存じます。
まず、がん対策推進条例の制定について質問をいたします。
がんが日本人の死亡原因の30%に上り、年間30万人以上もの患者が命を失っている現状と、本府においても、がんは依然として死亡原因の1位であり、毎年7,000人を超える府民が亡くなっていることに加え、今後も高齢化に伴う患者の増加が予想されることから、より一層のがん対策の推進は喫緊の課題であります。
今定例会におきましての提出議案、京都府がん対策推進条例案は、予防や早期発見によって、府民の健康に及ぼす影響の軽減や、患者や家族の状況を認識した療養生活の不安を軽減することを目的とし、本府の役割を市町村や関係者との連携を図ったがん対策の推進と位置づけ、保健医療関係者の役割を、医療に関する技能向上や、がん対策に寄与する研究と成果の活用とするなど、府民や事業者にも広く役割を明確化し、がん医療戦略推進会議によるがん医療の水準向上の取り組みや、府民会議を組織し府民運動を展開するといった独自策も規定され、本条例案の果たし得る役割は大きなものであると評価をいたす次第であります。
そこで、お伺いをいたします。本府の行うべき施策の中で、医療機関の整備推進と緩和ケアの推進が条例案に記載されておりますが、がん対策の推進を図るためには医療水準の向上を図ることが重要であり、現在まで、本府としても京都府立医科大学と京都大学という2つの都道府県がん診療連携拠点病院を中心としたがん医療体制を整備するとともに、拠点病院等と地域医療機関との連携強化についても取り組みを進めてきておられます。こうした中で、今議会に提案されているがん対策推進条例の制定を機に、医療水準の向上について、どのように取り組みを進めていこうとされておられるのか、お聞かせを願います。
また、現代医学では治癒が困難ながん患者への身体的・精神的苦痛の緩和のあり方は重要で、人生は有限であり、がん患者の限られた人生をいかに豊かに過ごす環境を整備するかは重要な課題であります。疼痛等の緩和を目的とする医療が早期から適切に行われることが社会的な要請であると思われます。
そこで、緩和ケアの今後の具体的な推進方策をどのように考えておられるのか、お聞かせ願います。
次に、国民文化祭における京の伝統技術の活用について質問いたします。
国民文化祭開催まであと250日余りとなり、正月が明けた1月2日には京都駅前広場で開催300日前のイベントが行われ、多くの府民、観光客の皆さんの前でまゆまろ残暦板のカウントダウンがスタートし、ポスターや地下鉄車内の広告、新聞記事など、国民文化祭や京都文化年という文字が目につくようになり、つい先日も、京都で国文祭が開かれるのを機に伝統産業である西陣織をPRしようと、まゆまろの着ぐるみ用の陣羽織が作成されたというニュースもなされており、いよいよ本番の年だという雰囲気が高まってきたように感じております。各界各層より国文祭に期待する声が昨年にも増して聞かれるようになり、京都での開催の意味と責任を改めて見詰め直したいと思っております。
知事には先頭に立っていただき、鋭意、開催準備に当たられていることに対し、改めて敬意を表します。年頭から京都文化年がスタートしたという勢いを衰えさせることなく、オール京都による盛り上げと秋の本番に向けて、全力を挙げて取り組んでいただくことを期待しております。
ちょうどつい先日、前回の国文祭についての報告が岡山県よりなされておりまして、昨年の岡山県における国文祭の総参加者は、目標の160万人を大きく上回り、195万人を動員し、経済波及効果は、県が支出した事業費15億円に加え、参加者の宿泊や飲食、お土産や名産品などの消費額や、それらに誘発された生産額を含めた114億円を合わせると129億円に上り、事前予想とする100億円を上回って、経済的にも大きな効果をもたらしたとする試算も発表されておりました。
もちろん、国文祭はアマチュアを中心とした日本最大の文化の祭典と言われており、幅広い国民の文化活動への参加促進を目的としているものですが、一方で、京都は日本文化の中心地として多くのプロが集まっているという特性を持っております。常々、知事は、京都の国文祭は日本の文化祭であり、「ほんまもん」に触れてもらう特別な役割があるとおっしゃっておられますが、そうしたプロの方々の参加や協力についても積極的に考えていくべきではないかと考えます。
京都にあこがれを持つ多くの方々は、京都という言葉を聞いて、長い歴史の中で培われてきた優雅な伝統行事やわび・さびの世界、荘厳なる神社仏閣、さらには自然と共生する暮らしの文化、そして四季折々の山紫水明の景観などを思い浮かべ、そういった日本人の心を呼び覚ます本物の世界観を与えてくれるものに対して強い価値を見出しているのだと思います。
例えば、私の地元、東山をとってみても、八坂神社や世界遺産である清水寺、石畳や白川、鴨川の流れ、伝統芸能を保存継承する花街、歌舞伎の伝統を受け継ぐ南座などが美しい町並みとしてあり、伝統技芸に通じる芸舞妓たちが、こういった町並みの中で生き、そこで暮らす京都らしさを象徴する本物の存在であるからこそ、観光客が芸舞妓の姿に「これぞ京都である」と関心を抱き、京舞を見たい、着物を着てみたい、彼女たちにまつわる工芸品や化粧品を手に入れてみたいといった価値を見出すことにつながり、あるいは、茶道や生け花、生活文化と密着して愛されてきた京焼・清水焼を初めとする伝統工芸に対して、観光客が、自然の素材のぬくもりや精緻な技術、色合いや感性に目を向け、ものづくりの心に思いをはせるといったように、ほんまもんが息づくまち京都には、世界の人々に対し求心力を発揮するプロフェッショナルな魅力が数え切れないほど凝縮されていると言っても過言ではありません。
こうした日本文化のほんまもんが織りなす地で開催される国文祭は、私たち府民が全国からの来訪者に誇りを持って京都の魅力を伝える絶好の機会であります。これまでの国文祭とは違い、アマチュアが中心となりつつも、京都ゆかりのプロの芸術家や職人の方にいろんな形で参加していただくことで、より内容の深い京都ならではの国文祭となると思われますし、また、全国からの参加者に対しても、ふだんは容易に接することのできない、ほんまもんの文化に触れる機会を提供できるのではないかと思っております。そして、こうした期待にこたえることが、結果として、知事が表明されました国民文化祭での観客動員400万人につながっていくものと考えます。
そこで、お伺いいたします。国文祭において、日本の文化を代表し、伝統文化を継承されているプロの方々の参加について、どのように取り組まれようとされているのかお聞きいたします。
さらに、幅広い層が国文祭への関心を高め、参加していただくため、京都ゆかりの著名人、プロの方々の協力を得ることも効果的であると考えますが、どのような取り組みを考えておられるのかお聞きいたします。
また、本年一年間を通じて京都文化年と位置づけて、京都文化の魅力を発信することとされていますが、その内容はどのようなものなのでしょうか。
また、京都は世界に誇る伝統工芸のまちでもあります。織物や陶磁器、そして京の名を冠するさまざまな工芸品や京料理まで、国文祭は、こうした職人さんの技を内外に情報発信する絶好の機会と考えます。ぜひとも、京都の伝統工芸の技や京都の文化を担っていただいている皆様の技術をアピールする取り組みを展開していただきたいのでありますが、いかがでしょうか。分割いたします。

◯議長(林田洋君) 山田知事。
〔知事山田啓二君登壇〕

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あらまき隆三

荒巻隆三
(あらまきりゅうぞう)

  • 昭和47年10月27日
    京都市生まれ
  • 自民党府議団 代表幹事
  • 議会運営委員長
  • 京都地方税機構議会 議長
  • 京都実業団剣道連盟 会長
  • 京都府カヌー協会 会長
  • 元衆議院議員
  • 元株式会社ワコール社員

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