◯荒巻委員
森林病害虫等防除事業について質問いたします。
ナラ枯れ被害ですね。ナラ枯れ被害木の間伐であったりカシノナガキクイムシの防虫対策、大いに予算で進めていただいているわけです。被害全体としてどの程度の規模で進捗をなされているのか。一気にここ2年ぐらい前からナラ枯れ被害の拡大があったわけです。被害状況が一定改善しているものなのか、あるいはまだまだ拡大傾向にあるのか。その辺をお聞かせいただきたいと思います。
◯森井林務課長
ナラ枯れ被害でございますけれども、昨年度は京都市から南に拡大しまして、京田辺市まで被害が拡大したというふうなことで、本年も引き続き9月にヘリによる調査をしたのですけれども、木津川市まで拡大している。府の南部まで被害が拡大している状況でございます。面積としては、全体で56ヘクタールという面積がございますけれども、その一方、京都市はこの二、三年前、非常に被害が甚大であったのですけれども若干被害は軽減の方向にある状況でございます。
◯荒巻委員
全体像として、本当にこの被害を終息させる上での施策はでき得る限りは尽力いただいていると思います。この害虫自体が、カシノナガキクイムシ自体がまだ広がるという原因と、根本的にその対策のことも手だてを考えていかなければいけないと思っています。もちろん、府下の里山もそうですし、京都市内西山、また東山のほうも、例えば今、八坂神社の背景になる東山は、5月の新緑の時期を迎えても山がまだらで、まるで紅葉とは言えないですけれども茶色い木々が残っているということで、景観的にも、また森林の機能としても、本当に衰退傾向にある中で、いろいろなNPOであったり地域のボランティアの皆さんと、人がちゃんと森の中に入って手入れしようということで、伐採をしたり、ただでさえ今、林層の改善が課題であったり植生の生態系を守らなければいけないという多くの課題の中で、このナラ枯れ被害というのは本当に甚大な深刻な状態だと思っています。
その辺の施策、また原因の抜本的な改善を目指して、また今後の再生事業に努めていっていただきたいと思います。
ナラ枯れ被害の間伐材の利活用なのですけれども、多く府内産木材の利活用とあわせて、こちらの被害木の間伐材の利用という点も課題だと思っています。切ったものの、切ったこの木材を今後どうしたらいいのだろうということで、みんな山の下で家の前に並べている中で、陶磁器関係の人らが陶器を焼く登り窯とかの材料に使ったりしていますけれども、それは本当にごく微少な量だと思っています。全体としても、府の進める方針の中で、特に大きく柱となってくるのは今後の環境施策への転用というか、バイオマスとか、今ダイオキシンの吸着成分を利用して京都市ではクリーンセンターでパウダー状にして活用する技術とかが利用されているということです。京都府においても、その辺の施策の今後の進展というか、展望についていろいろな委員から指摘があると思いますけれども、今の現状を教えていただけたらと思います。
◯森井林務課長
ナラ枯れの被害木を初めとする、当然人工林の間伐材もございますけれども、それの利活用ということでございます。先生おっしゃるバイオマスの利用は、我々としては非常に大きな課題であると考えております。当然、先ほども御質問ございましたけれども、放置竹林の問題あるいは間伐材の有効活用、さらにカシ、ナラ枯れ被害木の活用を考えますと、燃料のバイオマスだけではなくて、最近ですと発電とかといった取り組みも国のほうでモデル的に進めてきております。
ただ、問題は価格です。搬出して材を出すのに費用が余りにも高過ぎるという現状がございます。その辺のところも含めて、有望な活用策として、バイオマス利用は今後とも研究していかなければいけないと我々も考えておるところでございます。
◯荒巻委員
また、そちらも進めていただきたいと思います。そして、そもそも森林保全に携わる人の人材不足というか、担い手の問題が課題だと思っております。この決算書の中で、林業大学校の運営の、設置の検討が行われていることも成果として出ております。どういった人材を育成されるのか、その辺の目標というか、考え方をお聞かせいただきたいと思っています。
◯今西農林水産部長
先ほど来申し上げましたとおり、今から収穫の時期を迎えるということでございますので、それでも低コストでしっかりやっていく必要があるということで、最近では、京都市の森林組合もそうでございますけれども、高性能の林業機械を随分入れられまして、従来とは随分違った山での作業になっております。そうした高性能の林業機械をしっかり使えるような生徒を少しでも早く育成していきたいと考えております。また、いろいろな形で森林ボランティア等、NPOなんかで森林の保全といったことを守っていこうと、していこうというような方もたくさんいらっしゃいます。そうした方々についても、ここで育てていこうと思っております。
そのほかにも、研修会を予定しておりますので、先ほど来出ておりますような鳥獣害の問題とか、そういった幅広い森林林業にかかわる人材育成も研修会でしっかりやっていきたいと考えております。
◯荒巻委員
技術が高度化する中で、それに対応できるような人材教育ということでは、林業トレーニングセンターでも、新たに就業者になる方に対して短期間で、1年間の中で技術習得を目標にして、それは施策としてなされているわけです。林業大学校ということでは、中・長期的に京都の森林保全の高度な技術であったり理論について、本当に林業で生きていきたいのだというような若い人とかを何とか囲い込んで、総合的、体系的な学習ができる機関であってほしいと思います。
そういう設置目標もちゃんと踏まえた上で、実質的に大体開設というか、その辺の見通しは今現段階ではどのようなものでしょうか。
◯今西農林水産部長
御指摘のとおりでございまして、それから先ほど申し上げなかったのは、京都で開設するということでございますので、先ほどのナラ枯れももちろんでございますけれども、京都らしさというのでしょうか、京都の特性を生かした学校にしていきたいと。本当に、京都には宮大工さんを初め建築の関係の方、例えばいろいろな伝統工芸で木を扱う方も含めて、多くのそうした講師陣がいらっしゃいます。そういう方も十分に活用させていただいて、林業大学校を運営していきたいと考えております。
◯荒巻委員
ぜひ、そこで学ばれる方には京都で働いて修業していただくという、そこでのインセンティブというか、手厚い支援、府の施策として本当に大事なことというスタンスをより一歩出して、また開設に向けて尽力いただきたいと思います。
以上です。