◯荒巻委員
自由民主党の荒巻隆三でございます。通告に従い、数点にわたって質問いたしたいと存じ上げます。
まず、関西広域連合について質問いたします。
府県域を超える広域連合としては全国初の取り組みとして、新たな地方自治体の重要性にかんがみ、この京都府議会においても、さまざまな観点から議論を積み重ねた中で、ようやく昨年12月に設立に至り、全国に先駆けて広域行政組織としてスタートを切ったところであります。
関西広域連合は、府県域を超える広域課題に迅速に対応するほか、国の出先機関の受け皿を目指すことも見据えて設立されたものであります。中央集権や東京一極集中の中から、しっかり関西圏を地方分権の今後の突破口として、自己責任そしてまた意思決定のそういったものを今後の広域課題に主体的に取り組む仕組みづくりの中にしっかり生かして、立ち上げた我々の今後の地方自治のあるべき姿の実現に向けて本当に大変大きな意義のある連合組織であると思っております。
設立から間もなく1年を迎えようとしておりますが、月に1度のペースで開催される、構成府県である2府5県の知事で構成される「広域連合委員会」、そういう最高意思決定機関である委員会などなどを通じ、防災や観光・文化振興、また産業振興、医療、環境保全、資格試験・免許等、職員研修など7つの事業分野での広域連携を推し進めるとともに、カウンタパート方式をとって東日本大震災の被災地支援を初め、今夏や今冬の電力不足に対する節電の呼びかけなど、議論の経緯はさておき、幅広く直面する課題に迅速に対応されておられることに、私はしっかり評価をいたし、広域連合設立のねらいに沿ったところで推移をしていると考えております。
そこで、まず、国の出先機関の事務・権限移譲について御質問いたします。
関西広域連合の設立に際しては、各構成府県との広域的な事業連携もさることながら、国の出先機関の受け皿となることも当初の大きな目的であったと認識しております。
関西広域連合においては、九州地方知事会とも共闘し、近畿地方整備局、近畿経済産業局、近畿地方環境事務所の3機関の「丸ごと」移譲を第1ステップとして、アクションプラン推進委員会などを通じ国への働きかけを行ってきたところでありますが、国の動きをさかのぼると、菅内閣のあたりから国の出先機関改革が大きく後退した感があります。国へ改めて反論を行うなど、強い取り組み姿勢を山田知事を初め広域連合の皆さんで示されてきたところで、その効果もあってでしょうか、野田内閣となって、先月20日の地域主権戦略会議での決意表明に続き、28日の野田総理大臣の所信表明の中でも国の出先機関改革に対し前向きな発言がなされるなど、先送りぎみであった国の動きが進む感も見受けられます。閣僚のしりをひっぱたいても進めると、原則出先の廃止を掲げた政権でございました。そういった山田知事を先頭とした地方の奮闘を高く評価するものであります。
そこで、国がきちんと権限の移譲に動いて、今後、広域連合が国の権限の真の受け皿となり得ることができるのかどうか、知事にお伺いいたしたいと思います。
また、国がきちんと本腰を入れることを今度こそ期待し、関西広域連合がイニシアチブを発揮して地方が団結し、今こそ改革の推進を強く求めていくべきときと考えますが、これまでの取り組みも含め、関西広域連合の国出先機関対策委員会副委員長としてのお立場と、また全国知事会長としてのお立場で、この国の出先機関の改革にかける山田知事の思いをお聞かせいただきたいと思っております。
また、10月27日に開催されました広域連合委員会では、徳島県が資格試験・免許等分野への追加参加の、鳥取県が広域産業振興分野への追加参加の表明が行われたところであります。また、今後、構成府県の参加事業分野の拡大のほか、不参加県や政令市の参画、エネルギーの問題など、広域行政を考える上で避けて通れない今日的な課題等にも的確に対応していく必要があると考えております。
知事は、「成長する関西広域連合」とおっしゃっておられますが、こうしたことを踏まえ、関西広域連合を今後どのように展開されていこうとしているのかを伺いたいと思います。
この1年のしっかりとした推移を検証し、広域連合議会とのかかわりや、設立当初からの懸念でもあった住民とのかかわりやそのガバナンスをきっちりと持ち合わせたものとして機能を果たし発展しているものなのかどうか。そしてまた、構成府県との役割分担の課題であったり、構成府県の抱える事情も実に多様な中でございます。これからの地方自治のあり方については、参加県の中で大阪府のように首長間で対立しているところも見受けられます。「大阪市という組織はこうあるべきだ」とか、「大阪府はこうあるべきだ」とか、いろいろな議論がなされる政令市を抱えた府県もあるわけで。また一方で、不参加県の中では奈良県のように、住民サービスというものは住民に近い行政組織が行えばいいというとで、参加を見合わせているところもございます。
大阪とは大きく異なって、政令市は抱えているものの、いろんな府市行政協働パネル等で類似する事業の連携等いい形で進めている府県もあるわけですが、そういったさまざまに独自路線を模索する動きがある中であったり、地方自治から見た課題も含まれる広域連合を、今後どのように発展させていくべきものなのか。また、関係自治体に今後どのようにかかわり方を提起していったらよいものなのか。私は山田知事に、その辺の役割をしっかり認識なされて、京都府が果たしていく役割というものについて聞かせていただきたいと思います。
◯中小路委員長
山田知事。
◯山田知事
荒巻委員の御質問にお答えいたします。
まず、国の出先機関の問題でありますけれども、私はずっと知事をやっておりまして感じますのは、どうしても我々のことを我々で決められない部分が多過ぎるということであります。例えば、先ほどもお答えしました新名神高速道路(新名神)の問題。国のほうの税金を一銭も使わないのに、なぜ我々は民間会社が採算でやると言っているのにできないのだろう。舞鶴港の日本海側拠点港の問題でも、やはり出先機関に行って陳情することはありません。全部、国へ行って、東京へ行って陳情していかなければならない。しかしながら、残念なことに東京に住んでいる限りはやはり東京の意識で物事を考えるのですね。やはり人間の限界だと思います。ですから、新名神の問題と首都圏環状とが、いつの間にか後から来たはずのものが追いついて追い越すような状況になってしまっている。そうしたことが起こってくると、どうしても本当の意味で府民のニーズをしっかりととらえるためには、できる限り自分の地域で決めなければいけないことは自分の地域で決められるようにしていくということを、我々はやはり言い続けなければいけないのではないか。ですから、出先機関の移管というものができるかどうかということではなくて、それに向かって絶対に我々は主張していかなければならないのではないか、そしてそのための交渉というものを続けていかなければならないのではないかということであるというふうに考えております。
その思いで続けてきました結果、本当はできる限り住民に近いところにどんどん国の権限や財源を移していかなければいけないのですけれども、これをやりますと卵か鶏かの議論になっていくことや、国家公務員の身分・資格の問題等がございまして隘路に入ってしまって、にっちもさっちも動かなくなりました。それならば、やはり丸ごとに移管をしなければいけない。丸ごとに移管をするためには都道府県の連合組織がどうしても必要である。こうした中で広域連合を立ち上げ、議会の皆様にも御理解いただいてきょうまで来たわけであります。
こうした努力というものは、やはり一定の成果を上げつつありまして、地域主権戦略会議でこの前、野田総理が通常国会に法案提出を言明されました。私は、これは大変大きな時代の転換だというふうに受けとめております。しかし、今まで何十年もかけてできなかったものでありますから、まだまだハードルは高い、たくさんの課題はあると思っておりまして、例えば奈良県の問題はどうなんだとか、広域連合のガバナンスの問題はどうなんだとかさまざまな問題に直面をしておりますので、こうしたもの一つ一つを私は議会の皆様と御相談をしながらしっかりと解決に向かって全力を挙げていきたいと思っております。
広域連合というものの一番大きな基本は何かと申しますと、都道府県というものを基礎に置いているということであります。都道府県での意思決定というものを、それを今度は関西全体に持っていくというものの順番ができている点が、道州制とは基本的に違うことであります。したがいまして、例えば広域インフラというものについては、関西としてまとまって行動しなければ効果的ではない。しかし、それぞれの府県の意思がしっかりしていなければ関西としてもまとまれない。つまり、両方のガバナンスというもの、両方の意思というものが試されているのが関西広域連合であると考えております。
そうした面から申しますと、成長というのは、やはり私どもがまず関西広域連合のガバナンスをしっかりしていくことであり、同時に、それぞれの府県が関西という視点で物事を考えて、何が一番いいのかということを議論していくことだというふうにも考えているところであります。そうしたことが成長につながっていくことだと思っておりまして、この間、実は、やはり東日本大震災ですとか節電対策など、当初余り考えていなかった問題ができてくる中で、府民の皆様にも関西広域連合というのは非常に身近な組織になってきたのではないかと思っております。それだけに、これからも議会の皆様の意見をいただき、しっかりと京都としての足場を固めて、関西広域連合としての成長をつくり上げていく必要があると思っております。それは、単に京都府だけではなくて、京都府の場合は京都市との協調であり、オール京都体制をつくり上げていく中で意思を決定しなければ砂上の楼閣に終わると思っておりまして、それが私は京都府の歩み方ではないか、少々大阪府の場合には何か複雑なことになってしまいましたけれども、そうした協調ができない中での問題じゃないかなと感じているところであります。
◯中小路委員長
荒巻委員。
◯荒巻委員
御答弁ありがとうございました。確かに、広域行政の需要は本当に3月11日以降大いに高まっていると思います。防災や危機管理、そしてまた社会的要請として河川であるとか道路の一体的な今後の管理、そういったものはやはり大きくこたえていかなければいけないと思いますし、そういった面でいち早く効果が出てくるものだと認識をしております。
ただ、片一方で、今後の、今カジノの話とかもありました、首都圏のバックアップ機能とかの話もあります。やはり府議会であるとか府民、住民の意思というものをどのように反映していくのか、地方自治の本旨と照らし合わせて考えてみても、しっかり国の権限を広域連合のほうに拡充していくのとあわせて、やはり住民自治の部分もしっかり担保していかないといけないと思っています。広域連合議会のほう、今いろんな形で1年間運営なされる中での課題のほうも聞いておりますので、しっかり団体自治と住民自治が車の両輪となって機能するように、民主主義の実現というか、しっかりそういったものが広域連合の中でも発達し得るように、また知事には御奮迅をいただきたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。
続きまして、原子力防災対策について質問いたしたいと思っております。
東日本大震災というこれまで予想できなかった巨大広域複合災害を経験し、地域防災計画の見直しやさらなる危機管理体制の充実に、本府においてもこれは喫緊の課題として認識をしております。
東日本大震災の発生から8カ月以上が経過し、東京電力福島第一原子力発電所事故により設定されていた半径20キロから30キロ圏内の緊急時避難準備区域が、9月末に約5カ月ぶりに解除され、現在、住民のふるさとへの帰還と、復旧計画に沿った除染などが鋭意進められているところであります。半径20キロメートルの警戒区域は設定されたままであり、住民の避難生活も今もなお継続している状況であります。
このような中で、11月17日には、国の原子力安全委員会において、従来8キロから10キロ圏を目安としてきたEPZ(緊急時計画区域)を見直し、事故が発生した場合に、予防的観点から直ちに避難を実施するおおむね5キロをを範囲とするPAZ(予防的防護措置を準備する区域)、緊急時の屋内退避や避難等の防護措置を準備しておくおおむね30キロ圏を範囲とするUPZ(緊急時防護措置を準備する区域)という新たな概念などの導入が了承されたところであります。
本府では、全国に先駆け、EPZを独自に20キロメートルに拡大する原子力発電所防災対策暫定計画を5月に定められ、放射線モニタリングや被曝医療体制の充実などを進められたところであり、その迅速な対応には敬意を表するところであります。現在、国において進められているこれらの見直しを受け、本府として今後どのように対応していくのか、2点にわたり知事の御所見をお伺いいたします。
まず、市町村への対応についてでありますが、舞鶴市を初めとする暫定20キロ圏内の5市町において、住民避難計画を策定中とお聞きしておりますが、今回、UPZ30キロメートルが示されたことにより、新たにこの範囲に含まれる市町も含めて、どのように対応していかれるのでしようか。本府においては、暫定20キロ圏を基軸とし、国のスピーディ(SPEEDI)や我々のモニタリングポストを基軸に、季節風や風向き、常時監視データをきちっと踏まえ、空間放射線量の広がりや分布の事前予測の精度向上に努めて、災害時に適切な避難や事態対処に臨むとしておりますが、具体的にどのような緊急時放射線観測網を構築するのか。30キロ圏の市町にモニタリングポストを各地配備するのか。また、測定機器の扱い等、体制構築の人材配置や測定従事者の育成や確保の体制はいかがでしょうか。そしてまた、防護服や個人線量計の確保であったり、モニタリングポストは固定式、移動式等いろいろあります。人の被曝、人体に係ることですから、ポスト設置の地上からの高さの位置についても今、被災地においては大きく見直しをしているというふうにも聞き及んでおります。そしてまた、避難場所の確保や移動手段、高齢者や入院患者の受け入れ施設等における市町村との調整はどのような考え方で進められるのでしょうか。被曝医療機関についても、どのようにお考えをなされているのか、お聞かせを願いたいと思います。
2点目は、関西電力との原子力発電所の安全協定締結についてでありますが、9月に協議を開始されたところであります。こうした国の見直しなどを受けて、どのように進めていかれるのでしょうか。
◯中小路委員長
山田知事。
◯山田知事
原子力防災対策についてでありますけれども、委員御指摘のとおり、このたび国の原子力安全委員会で、事故発生時に直ちに避難を行う地域であるPAZ5キロメートルや、緊急時の避難、屋内退避等を準備しておく地域であるUPZ30キロメール等の見直しが正式に報告されたところであります。この原子力安全・保安院の説明によると、こうした区域における屋内退避や避難の判断評価基準等の具体的な防護措置についてはまだ検討段階である、それから、年度内に中間報告をまとめ、来年度中を目途に防災指針等の改定を行うということが、今明らかににされている事実であります。
一方、国の平成24年度の原子力防災対策予算につきましては、UPZの30キロメートルの拡大を見据えた概算要求を行っている旨の説明がありました。
京都府では、これまでから、防護服や個人線量計など資機材の追加整備ですとか、モニタリングポストを固定・可搬両方含めまして7基から23基へと大幅に増設をいたしまして、保健所職員等のモニタリング実施研修も拡充、さらに初期被曝医療機関を30キロメートル圏外も含め5機関から16機関へ追加指定するといったような形で、暫定的な取り組みを今進めているところであります。
関係市町の避難計画につきましても、住民説明会やワーキングを重ねる中で、市域のほぼ全体が対象となる舞鶴市を除きましては策定作業がかなり進んでいて終盤に来ております。UPZ30キロ圏内に新たに含まれる京都市、福知山市、伊根町も加えて、今後取り組まれる予定の30キロ圏内の避難計画の策定について私どもは支援をしてまいりたいというふうに考えておりますけれども、ただ、福島の事例でもわかりますように、前は20キロだったら20キロでぴたっとつくっていたわけです。しかし、30キロなら問題で30キロを超えたら安全だとか、30キロのうちだったら全部危なくなるとかいう話ではないわけであります。したがいまして、モニタリングの状況やスピーディ(SPEEDI)の予測を活用しながら柔軟な対応ができるように検討を進めていくということが、今回一番大きな変化になるんじゃないかなというふうに思っております。そうした中で、入院患者や福祉施設の入所者などの要配慮者につきましては、受け入れとなる病院や福祉施設などの調整を要するために、私ども、関係市町村を積極的に支援してまいりたいと考えているところであります。
安全協定でありますけれども、9月20日に京都府と関西電力で4項目を確認いたしました。1つは、原子力施設の安全性と府民の安心・安全の確保は最重要課題である、もう1つは、福井県の安全協定を基本として協議をする、3つ目は福井県との連携・調整が必要であること、4つ目は当面年度内を目途に整備を目指すということでありまして、10月21日には関西電力の社長が京都府との安全協定締結を表明したところであります。今回、隣接府県としては全国唯一、事故発生時に直ちに避難を行うPAZの対象区域と私どもはなりますので、その点から申しますと、ますます立地県、隣接県に安全の面では私は差異はないというふうに、少なくとも高浜原発については考えております。したがいまして、同等の安全対策を求めるために、立地県並みの協定締結に向けて、これは協議をしてまいりたいと考えているところであります。
◯中小路委員長
荒巻委員。
◯荒巻委員
御答弁ありがとうございました。いかなる事故の規模に応じてでも機動的に対応できる措置を講じていただきたいと思いますし、その中で努力をしていただいていると思っております。ハード面、ソフト面両方の整備が必要だと思っておりますし、ぜひとも、また原子力の安全性の向上の面、そしてまた、今後、防災また避難計画とさまざまに市町村と連携する中で、基礎自治体の能力を超える指揮系統を京都府がしっかりリーダーシップを発揮して、今後の安全性に臨んでいただきたいと思っております。
そしてまた、ソフト面でよく言われることですが、本当に公助・自助・互助・共助という中で、やはり地域力というものが大いに大事であると思っております。行政は、公助だけでなく、そういった自助・共助という形で住民一人一人がともに、防災のため、安心・安全のために行動をともにしていくというその促しや環境整備というものも整えていただきたいと思っておりますし、そのためのまた支援のほうも強力に推進していただきたいと思っております。
次に、繁華街の治安対策について質問いたします。
京都府内で9日間にわたり盛大に開催された第26回国民文化祭・京都2011に加え、秋の行楽シーズンが本格化を迎えましたこの時期、京都の繁華街の顔とも言える祇園地域には、古都の風情あふれる町並みや行き交う舞妓さんの姿などを楽しみに、国内だけでなく海外からも多くの観光客が訪れております。祇園地域が、国際観光都市である京都の発展に大きく貢献していることを誇りに思っております。また、京都には、日本文化の優美な世界や荘厳なる神社仏閣の姿、そういった観光客を引きつける魅力の源泉がまさに集積していると思っております。
しかしながら、こういったすばらしい京都の品質は、治安のよしあしに大きく左右されるものであり、良好な治安環境があってこそ生きてくるものであります。祇園地域においては、街路灯へのピンクビラや風俗店従業員による悪質な客引きが横行した時期がありましたが、まちづくり組織「フォーラム祇園」を初めとする地元の方々の熱心な取り組みと、祇園・木屋町特別警察隊等による深夜・早朝にわたる懸命なパトロール活動や取り締まりの結果、こうした違法行為が激減しました。これは、まさに地域と警察とが一致協力してなし得た大きな成果であると、心より感謝を申し上げる次第でございます。
こうした中、長年にわたり祇園・木屋町地域の風俗環境を乱す要因でありました風俗案内所を規制する「京都府風俗案内所の規制に関する条例」が昨年の11月に施行されたことにより、風俗案内所が今までの営業をやめるなど、祇園・木屋町地域の浄化に大きな成果があったと感じております。しかしながら、懸念されるのは、規制逃れの風俗案内所の出現や、客引き行為の増加、あるいは違法風俗店のアングラ化など、犯罪が潜在化、悪質化することであります。
そこで、警察本部長にお聞きいたします。「京都府風俗案内所の規制に関する条例」が施行されて約1年が経過いたしますが、祇園・木屋町地域における風俗案内所の取り締まり状況と現状、客引き行為の取り締まり状況、さらには今後の祇園・木屋町地域の風俗環境浄化対策についてお教えを願います。
また、祇園・木屋町地域において、危倶されるもう一つの要因として暴力団の進出が挙げられます。歓楽街というと、用心棒代や所場代というような暴力団の利権が連想されますが、平成4年、暴力団対策法の施行を契機とした暴力団排除機運の高まりと警察当局の取り締まりの強化により、暴力団は社会から孤立しつつあります。しかしながら、暴力団は、社会情勢の変化に応じて資金獲得活動を多様化させるとともに、組織実態を隠ぺいし、企業活動を装ったり、政治活動等を標榜して活動するなど、不透明化・潜在化の傾向を強めていると聞き及んでおります。
こうした情勢を受け、本年4月に、公共工事からの暴力団の排除や暴力団に対する用心棒代、みかじめ料等の授受の禁止、さらには祇園・木屋町地区を暴力団排除特別強化地域に指定する「京都府暴力団排除条例」が施行され、徹底した暴力団排除が行われているところであります。
条例施行後、府警は府内のさまざまな業界団体に、さらなる暴力団排除の働きかけを行ってきた結果、大型百貨店が暴力団からの歳暮の受注を断る方向を示すなど、暴力団排除の波はこれまでにない大きなものになってきていると実感しているところであります。祇園・木屋町地域はもとより、国際観光都市京都のさらなる発展のためには、府警の徹底した取り締まりや暴力団対策法、京都府暴力団排除条例の効果的な運用はもちろんのこと、地域住民と事業者が一体となった暴力団排除活動を強力に推進していただくことも極めて重要であると考えております。
そこで、警察本部長にお聞きします。京都府暴力団排除条例の施行後、この条例の適用状況及び府警の取り組み状況についてお伺いいたします。
出会い喫茶の撲滅に始まり無料案内所と、これまでの府警の御尽力はとうとく、京都の顔である祇園・木屋町を活性化する上で、風情にそぐわないものをはびこらせてはいけないという古都にふさわしい環境整備がさらに必要と考えております。その中で、無店舗風俗の送迎車にも一定のルールが必要じゃないかと考えております。夜間の駐停車の周りにたむろしている方たちに、ひとり住まいの御老人が不安視をしております。観光客が求める風情を壊し、路上で何か密談であったり商談であったり、いろんな通報も受けていると思いますが、本当に不正行為も見受けられるんじゃないかという地域の声もございます。パーキング等での不正乗り入れや踏み倒しもあるということも聞いております。そういった意味で、無店舗風俗の送迎車は地域の犯罪の温床につながっているというふうに見られております。
そこで、これらの現状を府警はどのように認識しているのか。また、無店舗型風俗関係者の違法行為に対する取り締まりなど、風俗環境の浄化に対して、どのように取り組んでいくのかをお伺いいたしたいと思います。
◯中小路委員長
安森警察本部長。
◯安森警察本部長
荒巻委員の御質問にお答えします。
まず、祇園・木屋町地域における風俗関係事犯の取り締まりについてであります。この条例が昨年11月1日に施行されまして、その後、24店舗ありました風俗案内所はすべて閉店しましたが、本年に入りまして、古着店、うどん店等を仮装した店舗が3店舗ございまして、それを検挙いたしております。その後、新たな風俗案内所の把握はございません。
次に、客引き行為の取り締まりについてでありますが、条例施行に伴い祇園・木屋町地域を管轄する東山及び五条警察署の体制を強化しまして集中取り締まりを実施した結果、昨年の11月から本年の9月末にかけてでありますが、29件47名を検挙し、昨年に比べて13件33名の増加となっております。
続きまして、無店舗型性風俗特殊営業に関する取り締まりについてであります。これは東山五条警察署管内で47件の事務所がございます。これに対しまして、客引き、ピンクビラの配布などの検挙をしたほか、昨年11月には、この無店舗型性風俗特殊営業を隠れみのにした売春事犯を検挙しているところでございます。また、9件の行政処分も行っております。
今後の祇園・木屋町地域の風俗環境浄化対策についてでありますが、一斉取り締まり日を設定するなどして取り締まりを強化するとともに、祇園・木屋町特別警察隊による特別パトロールを実施しているところであります。今後、府警の総力を発揮しまして、違法駐車の排除や、あらゆる法令を駆使した風俗関係事犯の集中的な取り締まりを行っていきたいと考えております。
今後とも、風俗関係の浄化に向けた取り組みを強化し、安全で安心な繁華街づくりに努めてまいる所存でございます。
続きまして、京都府暴力団排除条例施行後の適用状況及び取り締まり状況であります。条例の適用状況でありますが、本年6月に亀岡警察署管内にある暴力団組織が事務所移転を計画しており、これに対しまして、幼稚園が所在しておりますことから、条例第18条を根拠に開設を阻止しております。また、京都府の事務事業から暴力団を排除するために、暴力団と社会的に非難される関係を有してきた企業2社を知事部局に通知し、それぞれ入札参加資格の停止。また、それに加えまして府の公園から暴力団が関係する露店の排除をしております。
次に、取り組み状況でありますが、委員御指摘のとおり、京都府下の百貨店に対しまして贈答品の受注を断るように要請を行うとともに、料理・飲食業界、印刷業界、旅館業界、あらゆる業界に対して暴力団排除宣言の採択や暴力団排除条項の導入に向けた検討を進めていただいております。
当府警といたしまして、委員の御指摘のように潜在化・多様化する暴力団の活動に対し、各種法令を適用した取り締まりを初めとして、京都府関係部局、地域住民及び各種業界と連携して、さらなる暴力団排除対策を講じてまいる所存でございます。
◯中小路委員長
荒巻委員。
◯荒巻委員
ぜひとも、対策の推進を引き続き強化してお願いいたします。
以上で質問を終わります。御清聴ありがとうございました。