平成24年文教常任委員会閉会中  本文

◯渡邉参考人
東京学芸大学の渡邉と申します。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
早速内容に入りたいのですけれども、皆様のお手元にお配りさせていただいています資料とスライドは同じものですので、細かいところはまたお手元の資料で読んでいただければと思いますので、全体的な概要についてお話ししたいと思います。
きょうお話ししていく内容は、現在、国が行っているといいますか、学校現場で行われている学校安全と危機管理の概要ということでお話ししたいと思います。特に交通安全に限定するということではなく、全般的なお話ということでお聞きいただければと思います。
今、映っております三つの冊子ですけれども、これは文部科学省から出ておりますものでして、真ん中にありますのが、きょうも一部持ってきたのですけれども、学校安全参考資料という形で、学校安全の活動の基本になることを記載しているものです。後でまた出てくるのですけれども、現在出ているものは平成22年に発刊されたものですが、これは第2版でして、第1版は平成13年に出ております。きょうお話しする内容もこの中のものがかなり含まれております。そして、左側がことしの3月に出ました学校防災マニュアルということで、文部科学省(文科省)が初めてつくりました、防災のマニュアルそのものというよりも作成の手引という内容になっております。一番右側が防犯のためのマニュアルということで、これも第2版でして、初版は学校への不審者侵入への対応マニュアルという形で、この第2版はそれに加えて通学路の安全を含めたものとして出されたもので、いずれも全国の学校に配布されているものです。
それでは、中身に入っていきたいと思います。
まず、安全とはどういうことかということなのですけれども、これは今見ていただきました真ん中にあります学校安全参考資料というのを最初につくったときに定義したものです。色を変えたところがその定義ということになりますけれども、実はそれ以前には、安全というのはどういうことかということをきちっと整理したものが少なくとも学校安全の領域ではありませんでした。ですので、これがきちっとそれを示したものということになります。
内容に関しますと二つのことが書いてありまして、一つは危険・災害が防止されるという防止という部分。ただ、これは100%防止するということは難しいので、災害が生じたときに、それに適切に対処するという事件・事故の前後の両方を含むという考え方になっています。
現在、日本の学校安全というのは、この学校保健安全法というのが一つの法的根拠ということになっています。これも新しい法律でして、平成21年に施行されたばかりなのです。これ以前は学校保健法という法律でした。つまり学校保健、ですから健康のことについての、例えば学校の健康診断とか、環境衛生基準とかいったことについて示した法律でしたけれども、この何年かとても安全の問題が重視されてきたということもありまして、安全を含む法律として名称も変えて、平成21年から施行されるということになっています。
例えば、上から2番目にありますけれども、学校安全計画の策定とありますが、それ以前ですと、学校保健計画の中に安全の内容を含めていたり、また学校保健安全計画という形で独立したものではなかったのですが、この法律によって学校安全計画を独立して学校がつくらなければいけないということになりました。
その下にあります危険発生時の対処要領というものは危機管理マニュアルのことを指しています。危機管理マニュアルも学校でつくっていたところが数多かったのですけれども、ただ、法的な根拠というのがそれまではありませんでした。これによって、学校は危機管理マニュアルを策定しなければいけないということになりました。
一番新しい事柄なのですけれども、つい先週、1週間前になりますが、国が「いじめ、学校安全等に関する総合的な取組方針」の策定というものをつくって文部科学大臣が発表しました。主眼は、いじめのところがまずあるわけなのですけれども、2番目に学校安全ということで、学校安全を推進していくことを改めて国が示したということです。実は、ことしの4月になりますけれども、学校安全推進計画。学校安全計画と学校安全推進計画はすごく混乱しやすいのですけれども、国が行う計画を学校安全推進計画と呼びます。小さい字で基本的な考え方の3行目に学校安全の推進に関する計画と書いてありますけれども、このことです。それがことしの4月に閣議決定されて、発表されましたけれども、それと内容はほぼ同じものになっています。それはこれから5年間、国、自治体、そして学校が行う学校安全の活動について示したものですけれども、それをここで改めてもう一度推進する、取り組むという姿勢を示したということだと思います。
学校安全というのは、先ほどは学校保健法とか学校保健安全法という名前で何度も出てきましたけれども、一応、学校保健、学校給食、そして学校安全の三つを合わせて学校健康教育と呼ばれています。これは平成9年の保健体育審議会の答申の中で分類といいますか、3領域によって学校健康教育という領域をなしているということが示されたわけなのですけれども、以前は学校保健の中に学校安全を含むみたいな考え方が結構強かったのですが、今は学校安全が非常に重視されるということで独立した形になりまして、さらに実は、先ほどの9月5日と同じ日だったと思いますが、これまで文科省のスポーツ青少年局にありました学校健康教育課が学校安全健康教育課と名称が変わったのです。それだけ安全のことについてさらに重視することになったということでございます。
学校安全の構造図ですけれども、先ほど教育庁の方がおっしゃられましたように、安全教育、安全管理、組織活動という三つによって示される、これが構造図ということです。これに沿った形で後で御説明したいと思います。
学校安全推進計画ではなくて学校がつくります学校安全計画ですけれども、これは学校保健安全法にこれを策定しなければいけないとなっているというのは先ほど申し上げましたけれども、その中身は、これは長いのでまた読んでいただければと思いますけれども、施設・設備の安全点検のところは安全管理になります。日常生活における安全に関する指導が安全教育、職員の研修等というのが組織活動ということで、すなわち安全教育、安全管理、組織活動の内容を含むものとして学校安全計画は策定しなければいけないということになっています。策定して実施しなければいけないということです。
そして、学校安全の領域は、生活安全、交通安全、災害安全という三つの領域からできている。これも先ほどのお話にあったとおりです。以前は生活安全と交通安全の二つだったのですけれども、生活安全の中にありました防災の内容が独立して災害安全という形で今、位置づいております。また、生活安全の中にこれまでも防犯の内容が入ってはいたのですけれども、徐々にその内容が重要視されるようになってきております。現在はまだ防犯という形で独立してはおりませんけれども、生活安全の一部の中の重要な内容と位置づいております。
それぞれ生活安全、交通安全、災害安全の管理の内容を見てみますと、生活安全の恐らく一番重要なといいますか、日常的に行わなければいけない部分としては、一番上に挙がっています施設・設備、器具・用具等の安全点検のところです。これは学校保健安全法の中にも安全点検しなければいけない、定期的に点検が必要ということが載っていますので、これが必ずやらなければいけないということになります。それ以外にも、例えば学校生活の中の決まり・約束を設定すること。また、そういうことに関しての調査を行うこと、また体制づくりといったものが含まれております。
交通安全は学校安全の中でも特に昔から非常に力を入れて行われているところなのですが、これは通学路の設定、安全点検のこと、また通学に関する決まり・約束の設定、そして特に自転車の問題です。これは道路交通法も改正されたということもありましたので、自転車を安全に乗るにはどうするかということについて小学校、中学校では特に力を入れて指導しております。また、交通安全と通学路ということでかぶるところがあるのが犯罪防止ということ。これは生活安全の部分ですけれども、登下校に関しては交通安全及び防犯の両方の視点で管理を行うということになります。
ここで誤解されやすい部分があるのですが、実は学校の管理下という言葉がよく使われます。これはスポーツ振興センターの災害共済給付、これも後で出てきますけれども、そのための対象となる時間帯、範囲を示したものなのですが、通学路というのは実は学校の管理下となるのですけれども、ただ、これは学校が管理責任があるという意味ではないのです。よく保護者の方はそこら辺を誤解される方がいるのですが、そういうわけではなくて、あくまでも通学中に交通事故に遭ったというところも災害共済給付の対象になるという意味合いで使われているということになります。
そして災害安全です。災害安全は全体としては自然災害を想定しておりますけれども、原子力災害についても、これは先ほどお話しした平成13年の最初の学校安全参考資料が出たときに初めて含まれました。
そして、この管理に関しては、法律で言いますと「学校環境の安全の確保」というところで示されております。これは、学校は施設・設備について安全点検を行い、支障があるということがわかった場合はそれをすぐに改善を図らなければいけないということ、これは校長の責務ということになっています。ただ、学校の施設というのはお金のかかる問題ですので、すぐにできないという場合もあります。その場合は学校設置者、具体的には教育委員会に申し入れるという形になっております。
安全管理の法的根拠とその種類ということなのですが、定期点検は毎学期1回以上行うということ。臨時の安全点検、これは例えば運動会とか体育祭とかいう行事のある前後、あるいは自然災害が発生したときに臨時の安全点検を行う。それ以外に日常の安全点検ということで、授業のあるときには教員が、安全点検というのは目視をしたりして、問題がないかどうかを見るということが挙がっております。
施設・設備に関しての点検につきましては、一つは学校施設整備指針という文科省が大体四、五年に一度出しているものがあります。学校の施設はどういうふうに整えていけばよいかということについて示したものなのですが、学校施設における事故防止の留意点という形で、2009年に一つ冊子を出しております。これはきっかけは東京の杉並区の小学校で起きました天窓からの転落事故がありまして、あれが一つのきっかけになりまして、学校の施設をもう一度見直そうという形になりました。
例えば天窓の写真が載っておりますけれども、このように施設を変えることによって天窓からの落下事故が防げる。右側は、転落事故ですと窓からの転落というのが非常に多いわけですが、手すりをつけたり、あるいはもっと窓の開口部を狭くして、子どもがここから落ちないようにするなど、具体的な対策とともに、点検の仕方なども示したものを出しております。ただ、これがどの程度学校で活用されているかということはわからないのですけれども、過去に起きた事故をもとにしてさまざまな対策が立てられているということです。
今回の震災に関しましては、「東日本大震災の被害を踏まえた」ということで、学校施設の整備についてというものが昨年の7月に出ております。これは耐震化のこと。実は今回の東日本大震災では建物の倒壊等による死者、行方不明者は、岩手、宮城、福島に関しては1人も出ておりません。全て津波による犠牲ということになっておりますが、それだけ日本の学校の耐震化というのはかなり進んでいる、効果的であるということが一つわかると思います。
ただ、建物自体はしっかりとしていても、このように天井材とか照明などの非構造部材、あと窓ガラスとかいったものの被害というのはかなり出ているということで、現在、これについては過去に一度、文科省から平成22年に、過去と言っても割と最近ですけれども、この対策に関しての冊子を出しているのですが、現在もこれについての会議が続いております。
これらはどちらかといえば管理でも対物管理、物に対する管理なのですが、人の管理、人間のほうの管理ということで、学校で事故・事件等の被害に遭った子どもに対する対応ということで、学校保健安全法の中に心理的外傷とありますけれども、特に例えばPTSDとか、そういうことを想定してつくられているものですが、もちろん心の問題だけではなくて、体の問題もあわせて回復を図るための取り組みを行うということについて、必要な支援を行うということが決められております。
学校の事故に関しては、現在、日本スポーツ振興センターが学校安全についての取り組みを行っておりますけれども、特に重要なものは災害共済給付というものです。これは日本スポーツ振興センターに至るまでには何度か名称が変わっているのですけれども、最初は日本学校安全会という名前でスタートしました。そのときに始まった災害共済給付、これは先ほど少しお話ししましたように、学校の管理下で起きましたけがに対してお金を、治療費等を支給するというものです。
これが一番新しい平成23年度のものですけれども、医療費が出たものが112万件です。このところ大体この数でずっと続いておりますけれども、この学校管理下の事故に関しましては、死亡事故はかなり減っています。ですが、比較的軽微なけがは続いています。ちなみに、これは学校で起きたけが全部に出ているわけではなくて、治療費に応じて、基準を超えたものに関して支給するという形になっております。
この災害共済給付をするに当たって、学校はスポーツ振興センターにその給付の申請をするのです。申請をするときに、どういう状況で、どんなけがが発生したかを報告しないといけません。それを振興センターでは学校事故事例のデータベースにまとめて発表しております。このデータベースができる前は冊子体で出ていたのですけれども、冊子体でも今でも続いておりますが、このデータベースで簡単に、例えば小学校ではどんな事故が起きただろうかとか、授業中だったらどうだろうかとか、そういうふうに条件をつけて検索することができます。実はこれが非常に重要でして、つまり学校管理下における事故というものは実はほとんどの場合、過去にも発生しています。同じことが繰り返して発生しているのです。ですから、ここで出てきているような事例を学校で利用することによって、自分の学校では大丈夫だろうかとか、そういう教育をするための重要なデータとして使うことができるということです。ですから、スポーツ振興センターは単に共済給付をやっているだけではなくて、事故防止という非常に重要な活動もしているということになります。
以上が管理の話です。
時間も大分過ぎているので急いでお話ししますけれども、安全教育のほうにお話を移したいと思います。
安全教育のほうは、これも先ほどお話がありましたように、安全学習と安全指導という二つの柱になっています。安全学習は、どちらかといえば教科の内容です。安全指導は特別活動の内容ということになります。
安全教育では、今お見せしているものは中教審の答申ですけれども、この中に書かれていますように、安全教育は何を目指すかということで、この次に安全教育の目標が出てきますけれども、今、一番重視しているのが危険予測・危険回避の能力ということです。子どもたちが自分で自分の身を守る力をつけるということが特に重視されています。それに基づいて学習指導要領の改訂も行われているわけです。
今お見せしていますのが安全教育の目標ということで、三つ挙がっています。京都府の三つの目標とちょうど対応するようになっていると思いますけれども、ア、イ、ウのうち、アが、どちらかといえば知識を身につけて、そして意思決定、行動選択ができるということ。イは、目の前にある危険を予測し、回避する。具体的に自分が対応しなければいけないことです。もう一つが安全で安心な社会づくりということで、これは地域社会のために、安全活動に進んで参加するという内容を含んでおります。
あとは細かいことになりますので、また見ていただければと思いますが、生活安全の内容としては、学校の生活の安全、また登下校中の安全、特に防犯です。最近ですと、情報ネットワークのこととかいうものについての犯罪防止というものも含まれております。
交通安全は従来どおりなのですけれども、自分自身が事故に遭わないようにするということに加えて、このア、イ、ウ、エ、オの並びで言いますとクになりますが、要するに加害者にならないということです。これは運転者となっていますけれども、別に自動車だけではなくて、自転車に乗っていて子どもが加害者になることもありますので、そういうことを防ぐということ。そして交通弱者に対する配慮というものも含んでおります。
そして災害安全は、火災及び自然災害、そして原子力災害といったことを含む内容になっています。これらの内容を安全教育として扱うということですが、現在、安全教育として学校教育で位置づいている部分というのは必ずしも多いわけではありません。
例えば小学校で言いますと、1年生の生活科の中に安全な通学という内容が含まれていますが、きちっと学ぶのは小学校5年生の体育科の中にある、けがの防止です。ただ、このけがの防止も4時間か5時間ぐらいという程度なのですが、交通事故、身の回りの生活の危険というのは学校生活のものと、そして防犯のものが含まれております。犯罪被害を防ぐということです。それと簡単なけがの手当てが入っております。
中学校になりますと、交通安全と災害安全ということで自然災害のことを取り上げるのですが、これは中学校の指導要領解説ですが、そのほかにも犯罪被害のことも必要に応じて取り上げるということになっています。高校の分は入れていないのですが、高校は交通安全の部分はかなりあるのですが、防犯や自然災害の部分はほとんど含まれていないという内容です。ほかの教科でも、例えば地震については理科で扱っていたり、社会でも防犯に関するものは扱ってはいますけれども、安全ということと例えば避難の仕方とかいうことを学ぶというのは、教科として行っているのは体育科、保健体育科です。そうなりますと、例えば避難訓練とかいったものは特別活動の中で行うという形になっています。
最後に、危機管理についてお話ししておきたいと思います。危機管理も、先ほど安全については定義をつくったというのは学校安全参考資料をつくったときに初めて行ったということですけれども、実は危機管理はこういうことだと定義をしたのも2003年の文科省から出ました事例集で初めてつくりました。内容を見ていただきますと、安全の定義と非常によく似ています。基本的には同じなのですが、安全というのは状態をあらわす定義で、危機管理は対処することとあるように、対処の仕方のことについて書かれています。
そのときにつけたイラストがこれなのですけれども、事件・事故の発生を防ぐということと、発生したときに適切に対処するという二つの内容を含むということでこの定義をつくりました。
危機管理につきましては、具体的にそれを実施するためにはマニュアルを必要としています。このマニュアルにつきましては、先ほど最初にお話ししましたように、学校保健安全法で作成しなければいけないというものが、初めて法的根拠ができたということになります。ただ、ここでは何についてつくるということが書いてありません。これはそれぞれの学校において必要とされる危機管理マニュアルです。防犯と防災は確実につくられると思いますけれども、必要に応じて、例えば学校行事のときの危機管理マニュアルとかいうものも中にはつくるということもあり得るわけです。
これは不審者侵入における危機管理マニュアルのフローチャートです。文科が最初につくったものです。
そして、次のフローチャートが登下校時における緊急事態発生時。基本的には犯罪被害ということを想定してつくっております。
そして、ことしの3月に出ました防災マニュアル作成の手引の中にあるフローチャートです。これは少し形が違うのですけれども、どうしても防災のマニュアルといいますと地震が起きた直後の対応だけを示しているマニュアルが圧倒的に多いのですけれども、そうではなくて、体制整備や備蓄、あるいは避難訓練、そして事後対応というか、発生直後に対応しなければいけない例えば引き渡し、安否確認、避難所協力といったものを含む形でマニュアルをつくる必要がありますということをこの中で示しております。
そして、これは全体にかかわることですけれども、安全という問題は学校だけではなくて、保護者はもちろんですけれども、地域の関係機関、例えば防犯であれば警察、そして防災であれば消防署、そしてその他の関係団体、当該地域の住民、これは例えばボランティア活動をしている団体との協力を図るということ。ですから、学校の安全の活動というのは地域の安全の活動と非常にリンクしてくるというか、関係してくるということを示したもので、それを推進してくださいということを示したものです。
そして、まとめたいと思いますけれども、今お話ししてきましたように、実は学校安全の活動というのは恐らく先進国の中でも日本は非常に進んでいると思いますが、幾つかの問題点も指摘できます。
まずは、先ほどもちょっとお話ししましたように、過去に類似した事件・事故が繰り返し発生しています。ただ、それがなかなか解決できていないという状況です。これは根本的に解決できないというものもなくはないのですけれども、基本的には、どこかで起きた事件・事故は自分のところでも起こるだろうという危機感というのがある意味薄いのかなという感じはしています。
そしてもう一つ、2番目は、危機管理が扱っているのは事件・事故発生直後に限定されていることが多い。これは特に防災がそうなのですけれども、危機管理というのは防止というところから始まっているわけですので、ただ何か起きたときに対応するだけではなく、もっと幅広く扱っていかなければいけないということです。
3番目は、これはずっと前からの課題なのですけれども、学校には学校安全の中核になる教員が必ずしも配置されていない。例えば学校保健であれば保健主事という役職があるのですけれども、学校安全にはそれがないのです。例えば都道府県によっては、千葉県ですと公立小中学校には必ず安全主任を置いています。ですから、置けないということはないと思います。ですが現実には全国的に見るとそれは非常に珍しい例であって、この中核の教員がいますと、例えば危機管理マニュアルを作成する中心になったり、あるいは学校安全計画をつくる中心になったりということができると思いますが、これがどうもちゃんとつくられていないということです。そして、安全教育が体系的に行われていないというのは、現在行うことができる教科、また特別活動(特活)の部分で行えているのですが、ただ、例えば教科で行おうとすると、小学校5年生でやるとしても、でも実際にはもっと低学年でも必要だと思いますが、それが実際には行われていない。これに関しては中央教育審議会(中教審)ももっと時間を充実させるべきだということを示しているのですけれども、まだ現実には今のところ解決されていません。
そして最後に、教職員の学校安全・危機管理に関する知識・技能が十分とは言えないというのは、私も教員養成の大学にいますけれども、例えば学校で行われている避難訓練というのはどういうふうにやるのかとか、マニュアルはどうつくればいいかということを学ばないで教育現場に行っているという学生がかなりいると思います。例えば大阪教育大学みたいに、教職を取る学生は必ず学校安全についての授業、単位を取らなければいけないというところもあるのですが、それは非常に例外的なものであって、教員になる人はもっと学校安全・危機管理をちゃんと学んで教育現場に出ていく必要があるだろう。これも中教審のときに発言したのですけれども、なかなか現実にならないというものがあります。
最後に少しだけ情報提供ということで。実は文科省では、このような教職員向けの校内研修で使う学校安全についてのDVDをつくっています。左が小学校の先生向け、右が中学校、高校の先生向けのものです。内容は、学校安全にかかわるさまざまな課題に対してどう対応するかということがDVD、画像つきで入っています。例えば小学校で言えば、遊具はどう管理すればいいかということとかが載っています。ただ、これの活用率は非常に低いということで、いろいろなところで調査されておりますけれども、多分10%以下ぐらい。これが学校に届いていることも気づいていない学校もかなりあるのだと思います。このようなさまざまなものをつくってもなかなか活用されていないというのが一つ大きな課題としてあります。ですから、先生方、まずは特に管理職の方にこの学校安全・危機管理についての意識を高めていただいて、また実際に活動する中核になる先生を置いていただくというのがまずは必要なことかなと思っています。
とりあえずここで終了させていただきます。

◯荒巻委員
考え方なり、また運用マニュアルを細かく教えていただいて、ありがとうございました。
京都府の文教常任委員の我々としては、所管である京都府内の学校でもある程度安全の確保というか、その水準が保たれていないといけないと思いますけれども、個々に学校で児童に対しては、みずから自分たちでできるレベルの中でしっかりリスクを回避していくいろんな知恵や教育を施していくし、また、学校の地域によっては地域のボランティアと連携する中でそういうものをしっかりカバーしていく取り組みがあるのですけれども、それは地域や学校によってもいろいろ事情やあれも違うと思いますし、安全な環境にほぼ満足のいく環境の場所もあれば、結構厳しいところもあって、今回いろいろ安全箇所点検とかしています。
今、交通安全の方向性で話していますけれども、ちゃんとその中で個別にアドバイザーを派遣していろいろコーディネートしていただいているのもわかっていますけれども、その辺、全体としてちゃんと水準がどこも等しくこちらが求めている一定のレベルに達しているのかとか、そういう検証というか、チェックとかはどのような体制でやっていったらいいのか。また逆に、理事者の方には、その辺はどう踏まえて今後展望していくのか、教えていただきたいと思います。

◯渡邉参考人
この安全の問題というので一つ難しい問題が、何も起きなければ安全と考えてしまうところがあるのです。ですので、例えば大きな事故・事件が起きますとそこで大変だとなるのですが、実はよく考えてみると、非常に危険な状態がそれまでも続いているということが多々あります。例えば、数年前でしたけれども、学校ではないのですが、市営プールで小学生が吸い込まれて死亡するというのがありました。そのときに全国の学校はどうだろうということで点検したところ、すごい数の不備が出てきて、事故は起きていないのですけれども、危険な状態が続いていたということがわかったということがありました。ですので、その点検をするというときにどれだけ危機感を持って行えるか。要するに、何も起きていないからいいのじゃないかという気持ちで見てしまうとどうしても、見落としが出てくるというところがあります。
そういうときに、学校の中であれば点検ということで、大体この冊子も学校の施設・設備の点検の仕方というか、リストも載っているのですけれども、難しいのは通学路だと思います。通学路の点検というのは学校に任せられている。先ほど言いましたように、学校は通学路の管理責任があるということでは必ずしもないので、その辺のところは学校だけでは非常に難しいので、その地域、道路管理者とともに、きちっとした方針を立てていかないと難しいと思います。現実にどのぐらいやっているかというと、余りされていないというのが現実ではないかと思います。

◯橋本教育次長兼学校安全対策監
さまざまな安全について水準を満たしているか、チェックについてどうだというお話でした。先ほどの先生のお話ではないのですが、大体、事が起きて、その後に、昔でしたらエレベーターの事故があればそこで、またプールの事故があればそこで、今は特にことしの亀岡市の事故もありまして、通学路の点検をということになっております。その際に一つ危機感を持ってというお話もございました。
そういうこととあわせて、これは私どもの教育長がいつも言っている言葉なのですけれども、想像力を働かす。起きたその事実だけではなくて、そこから周辺で起こる可能性というのも想定しながらチェックをしていく必要があるのではないかと思います。
その中で、特に具体的なお話として、今回、通学路の安全点検ということを具体的に亀岡の事故を契機としてやっておるわけですけれども、これも本来ですと、何もない時点から、関係する道路管理者や、また警察、一緒になってやらないとこれは本当に対策の打ちようもないということで、もともと必要なことではあったのですけれども、この事故を契機にようやく本当に三者が一体となって会議も持ち、それから先ほども報告させていただきましたけれども、危険箇所の洗い出しもしながら、具体的に一つ一つ潰していく、そのかわり少し時間がかかっておりまして申しわけございませんけれども、ようやくそういう形に入ってきたかな。緒についたということであるのですけれども、これを今の起きたときだけではなくて、ずっと継続して取り組んでいくことが重要だと思っておりますし、我々もしっかりとこの取り組みが続くようにかかわっていきたいと考えております。

◯荒巻委員
今、いみじくも渡邉先生がおっしゃってくださったのですけれども、本当に結果安全であったという、ただ結果だけのことで、本当に何が危ないか基準がないのです。危ないところを今、洗い出しして、危険箇所が1,500カ所あったわけですけれども、本当に客観的にどう危ないのか、どの程度から危ない。完全に危ないレベルから、何となく、よそでは危ないけれども、地域力でカバーし切っていて、その地域からは上がってこないようなレベルもあるし、何か等しく客観的に検証するときに、そういう基準で照らし合わせて出てきた対策必要箇所数なのか、その辺ももう一回整理しないと、今、我々、亀岡の事故が起きてから間もなく季節も変わって半年たっていく中で、府民の皆さんに、今どう取り組みしているのかというときの考え方として、安全ではないという、どういう状態をもって、場所によっては道路管理者だけで標識だけで改善できているところもあれば、拡幅しなければいけなかったところもあるでしょう。それって全然状態が内容面ですごい差だなと思うのです。だから、その辺もう一回、今後、安全対策を構築していく上で、どういう状態がはっきり危ないか、そこからどの辺まで改善しなければいけないのかという目安というか、指針ということについてどう考えているのかお聞きしたいのと、さっき御答弁漏れで、学校側の子どもたちにリスク回避していくところの教育を施していく中で、アドバイザーとかがいろいろ見ていると思いますけれども、学校でそのように、こちらが求める程度の教育を子どもにちゃんと果たしているのか。そういう全体的に管理して、本当に水準をちゃんと高めてほしいと思いますので、そこをもう一回答えてほしいと思います。

◯渡邉参考人
実は今、お話があって、手元に資料があるので御紹介します。実は昭和43年になるのですけれども、昭和43年に文科省から通知が出ていまして、集団登下校の実施について交通事故に遭う危険性があるのでということで、実はかなり具体的に書いたものがその時点で出ております。例えば通学路の安全を検討する上では、過去の事故の例から見ると歩道やガードレール等、歩道と車道を区分する交通安全施設が整備されて、かつ自動車が高速度で走行するような道路を集団で歩行することとか、いろいろ事例的に書いているのです。その時点でそういう分析をして、危険なところでは集団登下校は避けたほうがいいという通知が出ています。ですから今も全然変わっていないといいますか、かなりわかっている部分があると思います。ですが、多分これが出たときは同じような今回の亀岡のような事故が起きて出たと思いますけれども、そのときはやるのです。でも、なかなか時間がたってしまうとそのまま解決されないまま、放置されたままで終わってしまうということになりますので、継続的に少しずつ、例えば道路を改善するなら道路を改善する、通学路を見直すということを常に行うということを少しずつでもやっていかないと難しいのかなと思います。

◯川合保健体育課長
失礼いたします。京都府の取り組みでございますけれども、先ほどアドバイザーということで各学校で学校安全指導者講習会をやっておりまして、各学校から約250名、京都府北部・南部から集まっていただいて講習会をしております。その中で学校安全全体について説明をして、それを各学校で実践するということの体制を整えております。その中でアドバイザー的な方から学校安全の内容について御指摘をいただきながら、今日の課題などをお話ししていただきながら研修を積んでいるということで、それを学校にフィードバックしているというのが現状でございます。これは毎年やっております。

◯荒巻委員
そういう専門的知見のある人の知識をうまく児童、また関係者に還元をしていく体制は、より進めていっていただきたいと思います。特に不審者とかいった面も、通学の話だけではなくて、中でも危険性というものも今、本当に何があるかわからないということを考えると思いますので、よろしくお願いします。
先ほど渡邉先生がおっしゃっていただいたように、そういう基準が明確に具体的にあるならば、そういう部分からの説明も、例えば見守りをしてくれているボランティアの人とかに話さないと、ここはこういう状態で危ないから、こういうボランティア、見守りが必要ですとか、何かあったときの責任の問題とかも気になさるし、それは見守り方が弱かったのかというだけではなくてハード面で何か怠りがあったのではないかとか、いろいろ個別の通学路を見ていて切りがないのですけれども、もう少し整理して、みんなで理屈を持って安全対策を体制構築しなければいけないということはいつも、私、地元のところを見ていても思うし、また、それぞれの学校、それぞれの地域でもあるのだろうと推測しますので、もうちょっと何か体系立てて、より多くの人がそういう安全活動に参加しやすい仕組みづくりを心がけていただきたいと思います。

◯多賀委員
小学校の新学習指導要領を拝見させていただきますと、5年生の保健領域で、るる書いてあるのですが、先生から見られて、発達段階、5年生という年齢でこういうことを教え込んだときに、きっちり成果があらわれるとお考えでしょうか。

あらまき隆三

荒巻隆三
(あらまきりゅうぞう)

  • 昭和47年10月27日
    京都市生まれ
  • 自民党府議団 代表幹事
  • 議会運営委員会 理事
  • 議会運営委員会 議会改革検討小委員会 委員長
  • 農商工労働常任委員会 副委員長
  • 持続可能な地域社会に関する特別委員会 委員
  • 京都地方税機構議会議員
  • 元衆議院議員
  • 元株式会社ワコール社員

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