◯西脇委員
本請願ですけれども、京都障害児・者の生活と教育を豊かにする会を初め、8,533名の皆さんから提出をされております。私も紹介議員として、ぜひ委員の皆様方に賛成していただきたく、少し申し述べたいと思います。
特別支援学校や小中学校の特別支援学級などで学ぶ子どもさんですけれども、その数は1999年の約18万人から、この10年間で約30万人にふえるなど、年々増加の一途です。特別支援学級の在席児は、この10年で約2倍にもなっております。従来から多かった知的障害の子どもさんに加えまして、対人関係をうまく結べない情緒障害や発達障害の子ども、障害の重い子どもなど、障害の状態が多様になっており、本府におきましても同様な実態だと聞いております。こうした特別支援学校や特別支援学級の児童生徒数の増加や実態を踏まえれば、当然、特別支援教育にかかわる教職員の確保や、専門性を持った教職員の育成が重要だということは言うまでもありません。
あわせて、本府では向日が丘支援学校など老朽化した校舎そのものの問題は以前から現場からも再三、早急に抜本的な整備をとの要望が上がっているところです。計画的な整備は今ではもう待ったなしだと思っております。府内の支援学校の条件整備の格差をなくすことは、また切実な生徒や保護者の皆さんの願いでもあります。
国連の障害者権利条約は、障害のある人が障害のない人と平等に人権を保障され、豊かに生きられる社会を実現するために、障害のある子どもが一般の教育制度から排除されず、参加を保障される教育を確立することを提唱しております。
本請願は、京都府と日本の教育制度全体がこういったインクルーシブ教育にふさわしいものとなるように、子どもの急増と障害の多様化に見合った寄宿舎も含めました条件整備等を国と京都府に求めたものでありまして、ぜひとも委員の皆様に賛同していただくようお願いするものです。
◯荒巻委員
私はもちろん特別支援教育の充実を求める立場にございます。ただ、こちらの請願を拝見させていただきまして、真ん中辺については、京都府において次の事項を実現するよう請願するとありますけれども、これは極めて当然というか、もちろんのことだと思うので、というより私が聞き及んでいる限りでは、既にきちんとこの取り組みを進めるべく検討して動いているということを聞いておりまして、では検討して、きちんとその取り組みが正しく動いているものならば、今の動き、その足並みを見守るのが立場かなという思いもあります。
少し理事者に確認をいたしたいのですけれども、少し目につくところでは、例えば1番目、特別支援学級の先生をふやすことについて、現行の学級編成の基準改善等は、むしろ教育というよりかは全国の都道府県教育委員会連合会のほうとかで国へしっかり意見を上げているということも聞いているのですけれども、その辺の中身を聞かせていただきたいことと、2番目は総じて体制整備のことですけれども、こちらもちゃんと検討して、既に今後の教育支援員の増員とか決めているとかいう話も聞いているのですが、その辺の真意と、あと最後、向日が丘支援学校、与謝の海支援学校の全面改築なのですけれども、全面改築という前に、既にいろいろこれまでの経緯で耐震化の補強であったり、いろいろな必要に応じた修繕は随時やってきたかと聞いていたと思うのですけれども、その辺どうなっているのか聞かせていただきたいと思います。
◯岩城特別支援教育課長
ただいまの学級編成基準のところと体制整備のところについて、私からお答えさせていただきます。
特別支援学級の学級編成基準については、上限8名ということで国において定められておるところでございます。京都府の場合は、平均すると大体3名以下の平均学級数でございます。この請願の中身は少し数が多いところをどうするかというところなのですけれども、このケースについては、国から地方交付税措置で各市町村に、学校数以上の特別支援教育支援員を配置活用するための交付税が措置されておるところでございますので、そういうところも活用していただきながらということでございます。
また、京都府独自措置としましては、特別支援教育充実事業ということで、京都府、京都市含めて百数十名の非常勤講師を配置しておりますので、こちらはどちらかというと介助するとか個別支援するというよりも、校内の特別支援教育を体制的に進めていただくための予算でございまして、2億2,000万円は全国でトップの予算でございます。
それから、体制整備については、今言わせていただいたようなところなのですけれども、あと補足しますと、この間、研修もかなり充実しております。特に特別支援学級担任、特に新規担任の研修については基礎講座4つと、それから少し実践を推進するような講座を3つ組ませていただいて、また特別支援教育コーディネーター要請講座、これは3つの講座を修了しますと修了証が出るというものでございますけれども、これについても大体平均しますと各校当たり3名弱の受講修了者が現在出ているというような状況でございます。
◯西村教職員課長
私からは、府立高等学校における実情についてお話をさせていただきたいと思います。
現在、府立高等学校において、肢体不自由の生徒さんたちを支援するために、8校に9名の非常勤職員を配置しているところでございます。それに加えまして、発達障害等の生徒さんに充実した支援を行うために、今議会で予算をお願いいたしまして、来年度から、特別支援の必要な子どもたちの充実に向けた非常勤職員の配置を考えているところでございます。
◯石田管理部理事(管理課長事務取扱)
私から、施設の改修についてお答えをさせていただきたいと思います。
経年年数によります施設の老朽化という部分では、この2校だけに限らず、府立学校全体に共通した課題でもあるわけでございますが、この2校について申し上げますと、向日が丘につきましては耐震性能は十分満たしておる建物でございますので耐震改修は行っておりませんが、老朽度に応じて、例えば平成21年、平成22年には全面的に便所であったり廊下であったりという内装改修もし、教育環境の確保に努めてきたところでございます。また、与謝の海支援学校につきましては、耐震改修を全て終えておりますけれども、それにあわせて内部の改修も一緒にやるなど、教育環境の充実・維持に努めているところでございます。
いずれにいたしましても、全面改築ということにならないまでも、安全性とか優先度合いを十分見きわめながら、しっかり計画的に取り組んできているし、今後も取り組んでまいりたいと思っております。
◯荒巻委員
今のところ聞く限りでありますと、予算措置に係る働きかけであったり、また体制整備に向けた本当に現実可能、いろいろな厳しい事情もあるかと思いますけれども、その中で鋭意工夫はして、体制の充実に向けているなということは感じられます。要は、本当に特別支援教育の充実に対しての問題意識はちゃんと今、本府は持っているなと、そのようにお見受けいたしましたので、そういう観点からしたら、本請願の可否に関して、可決ということの判断を私は個人的に判断しかねるなと感じた次第です。
◯成宮委員
今、いろいろ理事者からお答えがあったのですけれども、実態を委員の皆さん方にもぜひ知っていただきたいと思います。今、特別支援学級で言えば、先ほどもありましたけれども、支援学級に学びたいという子どもさんがふえている。そういう中で、京都府の中でも過大学級、6名以上在学をしている学級が実際にふえているわけです。先ほど理事者の説明の中で、加配があったりとか、コーディネーターをつけたりしているというお話がありましたけれども、実際に例えば8名の子どもさんが学んでおられるところが京都市内に1つありますし、7名というところが京都府域全体で10クラスもあります。6名というところも本当にたくさん、30クラスほどあります。これは小学校の話ですけれども。
そして、その中身なのですけれども、今、現場のことをお聞きしますと、従来の障害種別ということだけではなくて、発達障害、軽度の子どもたちも含めてふえている。つまり知的には高いけれども、自己肯定感が低かったりとか、他人とのコミュニケーション関係を非常に結びづらかったりとか、そして、ときには暴力を振るってしまう、キレてしまうという子どもさんも非常にふえているということなのですよね。そういう中で、軽度と言われているのだけれども、1対1でしっかりと対応しないと授業が成り立たないだとかいうこともいろいろあり、現場では本当に人一倍手がかかるという実態があるわけです。そして、その一人一人の子どもさんの課題に合わせて先生方は教材づくりもして指導しておられるのです。それがクラスの中で6人、7人、8人となりますと、本当にそれぞれの課題を用意することそのものも大変になりますし、その中には、子どもさん1人で例えばトイレに行くことができないから、時間中も含めてついていかんならんとなったら、ほかの子どもに手が回らないとかいうことが実際いろいろと起こっているわけですよね。また、普通学級との交流学級なんかも含めてやるとなれば、残された子どもさんたち一人一人の対応をどうするかということも含めて本当に現場の先生方は心を砕いておられるのですが、それでは本当に回らない、ままならないというようなぐらい過大学級のさまざまな問題が起こっていて、これではせっかく支援学級で学ぼうという子どもたち同士の人間関係だってうまくいかなくなりかねないですし、また、保護者と先生方との関係、子どもさんと先生との関係というのも条件がなかなか十分でないというもとで、いろいろな問題が起こってきているわけです。そういう現場の状況をぜひ知っていただいて、そして趣旨を酌んでいただければ、これは既にやっているということだけでなくて、もっと充実が必要だということで、この請願を採択をするという方向へ賛同していただけると思います。
それから、2つ紹介したいと思います。新しい課題がここに2つあるのではないかということです。
1つは、先ほどありましたけれども、高校での発達障害等の子どもさんの支援という問題です。これは私が承知しているところで言いますと、文部科学省のワーキンググループが先般、提言を出しまして、専門性のある支援員の配置、小学校や中学校の通級指導に類するような指導なんかが必要であるというふうに、これは新しい課題として言っていると思います。高校の現場の状況を聞きますと、それこそ小学校、中学校では支援学級があり、加配もありなのだけれども、高校ではそれ自身の体制がまだまだこれまでなかったわけで、結局、入学をしてきたけれども、原級留置、退学になってしまうというケースが相次いでいて、保護者の皆さんも、また現場の先生方も心を痛めておられるわけです。例えば、ある学校では、これは昨年度の話ですが、1年生で37人入ってきて、2年生に進級ができたのは26人にとどまっていて、学力的にも、それから授業に座っているということも含めて、できないという子どもさんも含めて、実際に今、府立高校なんかの現場に入ってきておられるということなのです。だからこそ文部科学省(文科省)も、これは京都だけではありません。全国的な課題ですから、提言を出しているわけですし、この具体化というのが本当に急務になっている。
先ほど理事者から、来年度は特別支援教育支援員配置事業ということでつけましたというお話がありましたが、これは非常勤で2人だけの予算になっていると承知をしております。府立高校は46校あるわけで、また、そういう発達障害等を含めて集中している学校なんかもあるわけで、2人で全部やれます、非常勤で十分ですという話には到底ならないです。現場で、発達障害等の子どもさんも含めてどう見ていくのか、どうカリキュラムをつくっていくのか、また、卒業させてやって、その卒業後の進路をどう支援していくのか、これはそれこそ支援学校との連携だとか、それから障害者福祉との連携だとかさまざまな問題はこれからという局面になっているわけで、だからこそ請願が出ているのです。
もう一つは、医療的ケアの必要な子どもたちの問題も、府の教育委員会は寄宿舎の位置づけについては教育の場として必要だと言っておられて、これは非常に見識の高い大事な問題だと思っているのです。そうしますと、寄宿舎は教育の場だとしますと、遠距離で通えないかどうかだけでなくて、子どもたちがみんな入れるように、医療ケアの必要な子どもさんも含めて入れるようにとしますと看護師の配置というのが必要になるわけです。そして、スクールバスについてもそうですよね。今、医療的ケアが必要な子どもさんが乗れなくて、例えば、ある新聞で紹介されていますが、丹波支援学校の4年生の子どもさんが、南丹市の八木町から片道20キロ、毎日、親御さんが送迎をしておられます。お母さんが39度の熱があるときにも、スクールバスに乗れないということで必死で送迎をされて、それこそ親の責任ということに頼ってしまっている。努力に頼ってしまっている。これでは本当にままならないと思うのです。
全ての子どもたち、どんな障害があっても教育を受ける権利が等しいということを考えれば、安心してスクールバスにも乗れる、寄宿舎にも入れる。その条件整備というのは教育行政の責任でありますので、看護師配置を含めてぜひやっていただきたいと思います。