◯議長(多賀久雄君)
次に、荒巻隆三君に発言を許します。荒巻隆三君。
◯荒巻隆三君
自民党の荒巻隆三でございます。議長のお許しをいただきまして、一言申し上げます。
間もなく数日の間に祇園祭の始まりを告げる吉符入りの儀が行われ、暑い京都の夏がやってまいります。町衆の方々はもう既に準備を開始なされており、この時代においても変わらず京の都を災厄から守り、国家の安寧を祈るといった古くからのしきたりやならわしをいちずに守っておられます。私は微力ではございますが、1カ月間しっかりと御奉仕いたしたいと思っております。
このように私たちは心の通った、人々に思いやりと、そしてやさしい地域社会を原点としながら、1,000年以上も前からの先人たちの慈しみの心を後の世に紡いでいかねばならないと思っております。府民や国民の皆さんの安心と安全を守っていく、このことを大事にしながら、通告に従い質問に移りたいと存じ上げます。
まず初めに、がん対策推進にかかわる先端医療の導入について伺います。
がん対策推進条例に基づいて、総合的ながん対策の推進にかかわる質問をいたします。本府では条例制定後、早期発見、予防、そしてまた緩和ケアにあわせてがん医療の充実という点で進展を重ねていただいておりますが、私も一昨年の本会議以降たびたび質問させていただいておりますけれども、知事に答弁を賜る中で、先進医療技術の導入についての一層の促進に関して要望いたしましたら、今後ともしっかりと高度な治療に対応するため、治療機器を整備して機能強化に努めるということを御答弁で以前もいただいているわけでありますけれども、現代医学の流れとして、がん先進医療提供体制の充実における粒子線治療の導入は喫緊なる課題であると思っております。
粒子線がん治療を行っている施設は、きょう現在のところ、日本全国のうち稼働している施設が11カ所、そして今建設中の施設もまた3カ所ありますということで、この数年間のうち粒子線がん治療が行える施設は増加傾向にあります。関西においては兵庫県立粒子線医療センターで炭素線(重粒子線)治療を採用し、福井県では陽子線治療を採用しております。つい最近においては、全国でも京阪地域だけ粒子線がん治療が行える施設が存在しないということでしたが、大阪府も炭素線(重粒子線)を設置するということで決まったという報告を受けております。ただしかし、大阪府は炭素線を採用するに当たっては、さまざまな種類の粒子線がん治療を検討した結果、本当はホウ素中性子を用いたがん治療が今後の日進月歩の医療の世界の中において一番治療に効果が高いという評価をしたのでありますけれども、昨年の段階では実用性の点で向こう10年ぐらいかかるからやめておこうということで、結論、炭素線治療を選んだという経緯があったということを聞いておる次第でございます。
しかし一方、実はその間に東京の国立がんセンターでは、ホウ素中性子の治療を平成26年から開始するという前提で今現在施設の建設を始めているということであります。つい先ごろまで実用化に年月がかかるとみなされ、これまで原子炉のそばでしか実施できないという点で普及を妨げてきたホウ素中性子の治療が、ここに来て日本のメーカーが原子炉を必要としない装置を開発し、世界をリードする形でここ数カ月、半年間のうちで、がん対策における先端医療を大幅に促進し、その普及の可能性の道筋をつけたことは今後のがん治療のあり方を大きく変えるかもしれないと、そのように思う次第であります。
今日までの各府県の粒子線治療の導入を振り返って考察するに当たっては、炭素線と陽子線の違いにはそれぞれ一長一短があって、炭素線治療は陽子線の約3倍の強さがあるため、照射回数が少ないけれども放射線が強過ぎて子どもの腫瘍に使用が控えられていたり、一方、陽子線治療のほうが汎用性はあるけれども照射回数が多くかかってしまうなど、それぞれに特徴があるとともに、設置における経費も、陽子線治療の整備が90億円、炭素線治療の整備は120億円と、比較しつつも両者ともに高価格でありました。
これに対して新しいホウ素中性子捕捉治療は、建設と設置を合わせて20億円程度でできるというコストパフォーマンスに非常にすぐれており、そしてまた、正常な細胞を全く転移巣を傷つけないでがん細胞だけ焼却するという点で注目をされております。陽子線・炭素線治療は転移のない腫瘍に対して治療適応があるのに対して、ホウ素中性子捕捉治療は転移のある腫瘍に対してでも治療ができるという最先端の技術であります。今後を考えるに当たっては、大阪や他府県でも開始していることを、京都においても府民の健康を守るため、よりよい形で体制構築を開始してほしいと切に願う次第であります。
今やがんは府民の死亡原因の第1位であり、毎年7,000人を超える府民の方々ががんで亡くなられております。がんにかかる割合も男性で5割以上、女性は約4割が一生のうちにかかると言われており、府民の生命や健康にとって大きな脅威となっております。特に加齢によりがんは発生リスクが高まることから、高齢化社会を迎える中で、がんになる方は増加していくことが予測されます。一方で、がんは決して不治の病ではなく、早期発見・早期治療により再発率が低くなり、たとえがんになったとしても治療により健康な人生を送ることもできるようになっております。
京都府では、これまでから早期発見・早期治療に対する啓発活動には熱心に取り組んでこられておりますが、不幸にも発見がおくれ治療しなければならなくなったとき、本当に治るのか、どのような手段があるのかと思い悩む方々が多いのも事実であります。
この3月に策定されました京都府がん対策推進計画でも、がんの治療のため、手術、放射線療法及び化学療法を個々のがん患者の状況に応じて一番適切な治療方法を選ぶとともに、これらの治療法を効果的に組み合わせた治療を行う必要があるとし、最先端治療の提供体制についても検討するとされております。
京都ではまだ実現がされておりませんが、がんの最先端治療として陽子線・炭素線治療、ホウ素中性子捕捉治療などの治療法が他府県では採用され、実際に医療として行われております。ただ、新たな治療方法の導入には多額な投資も必要となることから、それぞれの治療のメリット、デメリットをよく考えた上で導入に踏み切る必要があることは理解をいたしております。しかし、患者の尊い命はかけがえのないものであります。患者には待つ時間はありません。京都府には、こうした新たな治療方法について待ち望んでおられる患者も多く、最先端治療を受けるため、他府県にまで出向いておられるケースも見受けられます。これ以上検討を重ねているいとまはないのかもしれません。
さきに述べました推進計画でも、最先端治療の提供体制については検討するとなっております。一方で、同じ計画の中で高度な手術、放射線治療、希少がんの治療等については大学病院等での集約化を目指し、府内のみでの完結が難しいがん治療等については近隣府県等との連携の仕組みを構築するとされております。全ての病院が最先端治療を行うことが難しいのは当然であります。だからこそ府立医科大学や京都大学医学部といった大学病院の役割が重要となり、高度な治療体制を構築していただきたいと思っております。高度な治療体制を構築していく中で最先端治療の提供は不可欠であると私は思っております。
そこでお伺いをいたします。府民の健康を守る上でも、今後どのように取り組みを進めようとされているのか、御所見をお聞かせください。
また、もし仮に導入に際した場合は多額の投資が必要なことから、採算面での懸念は理解をしております。民間病院ではなく公立の病院としての役割を考えたとき、行政支援があっても問題はないのではないでしょうか。京都大学医学部はまだしも、府立医科大学は府民の税金の上で成り立つ施設であります。府民の健康を守る最先端治療の提供は早急に構築されることを切に望む次第であります。
また仮に、陽子線・炭素線治療のような最先端医療が提供されたとしても、現在の公的保険制度では自由診療となり多額の治療費が必要となります。設備を導入しても治療費がネックとなり、投資額が回収できる治療人数が確保できない、保険適用になるまでは導入しないといった算術的な医療の考え方はしたくありません。必要とされる方が使うことができるように、医療費の助成等を導入に向けてセットで検討すべきと考えます。既に最先端治療である陽子線治療を導入している静岡県では、医療費に対する県独自の助成と金融機関から治療費を借りた場合にはその利子補給をされているとお聞きをしております。
そこでお伺いいたします。京都府においても最先端治療の導入に当たっては、あわせて府民負担の軽減の取り組みについても講じるべきと考えますが、いかがでしょうか。御所見をお願いいたします。
次に、本年度におけるがん対策の取り組みについてお伺いをいたします。早期発見・早期治療によりがんは不治の病ではなくなっています。京都府のがん検診受診率は低く、早期発見が課題であるとの認識のもと、さまざまな啓発活動が行われています。特に乳がんは、ピンクリボン運動など地道な活動の成果があり、検診受診率が大きく向上したとお聞きをしております。
京都府がん対策推進計画は、がん対策推進条例で定める予防、早期発見、医療提供体制の充実、情報提供・相談支援の4つの柱について、今後5年間のがん対策の方向性、目標を掲げたものであり、まさに今年度がその始まりの年に当たるわけですから、スタートダッシュが非常に大事となります。がん総合相談窓口の設置を初め、がん教育の導入、休日総合がん検診の推進など当初予算にも多くの新規施策を盛り込まれておりますが、現時点での各事業の進捗状況と今後の事業展開はどのようになっておるのでしょうか。
また、先ほども述べましたように、早期発見・早期治療によりがんは8割から9割の方が治癒され社会に復帰されており、不治の病でなくなっています。しかしながら、京都府のがん検診受診率は低く、早期発見が課題であるとの認識のもと、さまざまな啓発活動を継続しております。NPOや民間団体等と協働して行う、先ほど申しましたピンクリボン運動の成果により検診受診率が全国平均を上回るまで大きく向上したとお聞きをしております。このように早期発見・早期治療につながる検診受診率の向上のためには、昨年、京都市内で行われたNPOと協働したリレーフォーラムイベントの取り組みのように、府や市町村といった行政だけの取り組みではなく、多くの幅広い方々との連携・協働による府民運動の構築が不可欠であると思っております。今後、府民、NPO、事業者等との受診率向上に向けた協働など、府民運動の展開についてはどのように進めていこうと考えておられるのか、御所見をお聞かせください。
次に、防災への取り組みについてお伺いいたします。
府民生活や経済活動にとって低廉で安定的な電力供給は必要不可欠であり、現行のエネルギー事情等から原子力発電所の再稼働問題や原子力災害に備えた防災対策は、我が国のエネルギー政策の根幹にかかわる国民的課題となっております。
こうした中で、現在、全国で唯一稼働している大飯発電所については、国の原子力規制委員会において7月にも施行が予定されている新たな規制基準に適合しているか、事前の確認作業が始められております。過酷事故対策としての非常用発電機や注水ポンプの設置、緊急時対策所の整備等、関西電力の対策の実施状況、活断層の有無や連動性などについて評価が実施されており、安全上重大な問題があると認められる場合には停止を求める可能性があるとしております。
一方、府民の安心と安全確保を図る観点から、京都府では福島第一原発事故の後、直ちに専門家会議を立ち上げ、地域防災計画の暫定計画を策定し、EPZの拡大、環境放射線モニタリング体制の拡充、初期被曝医療機関の追加指定などにいち早く取り組んでこられました。また、本年2月には防災会議において原子力防災計画を正式に改定され、高浜発電所からおおむね5キロメートルの範囲をPAZ、高浜発電所からおおむね30キロメートル、大飯発電所からおおむね32.5キロメートルの範囲をUPZに設定されるとともに、原子力災害発生時の広域避難計画を策定し、市町の区域を越えて避難しなければならない場合の広域避難先についての枠組みを定められたところであり、これら一連の全国に先駆けたこれまでの知事の積極的な取り組みに敬意を表するものであります。
このPAZ及びUPZの範囲には、高浜でおよそ12万7,000人、大飯でおよそ8万9,000人に上る多くの府民が生活しておられ、万一の事故が発生した場合には大量の避難者の移動と長期間にわたる避難が必要なケースが想定され、避難所の確保だけでなく避難手段の確保、避難ルートの設定、避難誘導を行う職員の動員、交通規制のあり方など、多くの課題があるものと存じております。また、入院しておられる方や高齢の方など、災害時要配慮者の避難についても数多くの検討事項があるものと考えますが、これらのことに本府だけで対応するのは余りにも困難であり、まさしく国の全面的な支援が不可欠であると考えます。
さらに、避難計画の内容については、住民に広報・啓発を行うとともに、訓練を実施して万一に備えておくことが大変重要であると考えます。
そこで、お伺いをいたします。原子力災害が発生した場合の広域避難について、京都府として現在どのような検討を行っており、今後どのように取り組まれる予定であるのか、御所見をお伺いいたします。
次に、本府は言うまでもなく国際観光都市京都であります。地域住民の生命を守る本府の役割を果たすための体制構築に引き続きの邁進を要望いたしますとともに、災害の際に観光客にも善処できる体制構築も本府の責務であると考えます。そのことが大規模災害の際、混乱から府民の安全をより確実に守ることにつながり、かつ観光客にも安心して京都に訪問してもらうことにもつながると考えるからであります。
観光地の地域によっては東山区のように4万人の住民を超えた、ピーク5万人近い、しかも言語も習慣も異なるさまざまな外国人を含む観光客をきちんと対応しないと、日ごろの地域防災の機能も麻痺してしまいます。極端な例ではございましたが、京都府全体が観光地であります。本府としての各市町村への指導並びに体制把握はいかほどでしょうか、御所見をお伺いいたします。
例えば、京都市においては基本的な考え方として、観光地における大規模災害に対応した広範囲の交通麻痺などが予測され、大量の帰宅困難者が発生した際に地域住民とは別の地区避難誘導計画を想定し、一斉帰宅抑制、滞留場所への誘導、情報提供、収容施設での支援や帰宅支援の事態対処に向けたイメージを京都府も含む関係機関や関係者での協議に入ったと聞き及んでおります。協議の場において、国際観光都市京都は多数の観光客が都市部の観光地に集中して訪れることが特徴であり、そのため大規模災害時などに観光客が帰宅困難者となることを想定し、その支援と避難誘導の考え方を京都市観光地避難誘導取組指針としてまとめたと伺っております。そこでは国際観光都市京都における帰宅困難者の発生と課題として、京都市においては大きな被害が予測される花折断層系都市直下型地震や広範囲の交通麻痺などが予測される南海トラフ地震などにより、観光地では大量の帰宅困難者が発生しさまざまな対処が想定されるとしておりますが、関係機関である本府としての今後の展望と現在の御認識をお伺いいたします。
次に、TPY-2レーダー、いわゆるXバンドレーダーの配備について質問いたします。
去る2月22日に米国・ワシントンで開催された日米首脳会談において、北朝鮮の核ミサイル活動も踏まえ、弾道ミサイル防衛協力を進め、米軍のTPY-2レーダーを我が国に追加配備する方針で一致されたものであり、これを受けて、2月26日に当時の金澤防衛事務次官が京丹後市長に対し、航空自衛隊経ヶ岬分屯基地周辺が日本国内2基目のTPY-2レーダーの配備候補地となった旨の説明と協力要請がなされたものであります。その後、3月22日に防衛省佐藤政務官が京都府へ来庁され、山田知事へ説明と協力要請をされたものであります。協力要請以降、防衛省は地元住民説明会において鋭意説明を行ってきており、また京丹後市議会などでも説明が行われているとのことであります。
知事はこの間、みずから国内1基目の配備先であります青森県つがる市の米軍車力通信所の視察や京丹後市の配備候補地周辺の調査、地元代表の方々との会談なども行い、直接現場の状況や地元の声を聞かれ、車力との違いなども踏まえ防衛省へ質問を投げかけ、回答があったものに対して不明な点についてはさらに質問をし、回答を求められているところであります。
そこで、お伺いをいたします。一説にはTPY-2レーダーにまつわる話として、「米国本土防衛のために開発されたものであり、米国本土を守るためのものだ」という声があるとも聞いているところでありますが、一方で、レーダーの情報は自衛隊へリアルタイムで共有されるとされており、我が国の防衛システムにも大いに役立つものであると考えます。レーダーシステムなどは米軍が整備するものでありますから、米国の立場で見ますと自国のレーダーを日本の防衛に提供するということになるのではないでしょうか。防衛は国の専権事項でありますが、この点について知事の所感をお聞かせください。
住民説明会では、米軍レーダー基地配備により危険にさらされるのではないか、電磁波が住民生活へ影響を及ぼすのではないか、軍人及び軍属が居住することにより治安が悪くなるのではないか、水の問題を初めとする住民生活や観光、景観へ影響があるのではないかなどの声が上がっているとお聞きをしております。私は、京都府、ひいては近畿で初めての米軍施設ということや、戦後の米国統治下の背景もあり、これらの住民の方々の不安は当然のことと理解しております。山田知事は政務官との会談の中で、「安心・安全については妥協なく、納得のいかない限り前へ進む気はない」と発言をされており、府民の生命と財産を守る立場の知事として、この姿勢は大変重要であると考えます。住民の不安な点の解消について、防衛省とのやりとりなどを含め、現時点における知事の考えはどのようなものか、お聞かせを願いたいと思います。
特に、電磁波の影響については、知事は去る5月28日に専門家の方々を京都府参与に委嘱し、「参与会」などで専門的知見からの意見を伺っておられますが、参与からの意見も踏まえ、電磁波の影響について知事はどのように考えているのかお聞かせを願いたいと思います。
以上、これらの懸念を受けた上で、知事はいつごろ態度表明を行うのか、御所見をお伺いいたしたいと思います。
次に、京料理と文化の振興についてお伺いをいたします。
我が国には多様で豊富な旬の食材や食品、栄養バランスのとれた食事、そして年中行事・人生儀礼と食事の密接な結びつきなど、特徴あるすばらしい食文化があり、海外からも高い評価を受けております。このことがユネスコの無形文化遺産として認められることは、世界の文化的多様性を豊かにすることにもつながり、大変大きな意義を持つことだと思っております。
昨年の政府のユネスコへの提案に先立っては、京都府として日本料理アカデミーと連携して、いわゆる「京料理」、あるいは「懐石料理」を政府にいち早く提案されました。しかしながら、政府の日本食文化の世界無形遺産登録に向けた検討会において調査、検討が重ねられた結果、最終的には「和食;日本人の伝統的な食文化」として、昨年3月にユネスコに登録の提案がなされました。和食という国民全体に支持されるような形でなければ登録はかなわないとの理由から、最終的にこのような形になったと伺っております。これには私自身いろんな思いがありますが、京都の強みを生かした和食の文化、そして、日本料理の頂点、さらには根幹というべき京都の料理がなければ、政府としてのユネスコへの提案には至らなかったと思っているわけでございます。
その後、昨年9月に文化庁は既に数件の審査待ちの案件がある中で、この和食を我が国最優先審査案件としてユネスコに提案することを決定されました。和食を保護し、価値を高め、子どもや孫の世代に伝えることが広く国民の支持を得るとともに、東日本大震災により風評被害を受けている日本食に対する信頼の回復や、日本全体の復興のシンボルとして、この和食を世界に向けてアピールする狙いが背景にあり、今後、異例のスピードで審査されることになっていると聞いておりますので、早期に世界遺産登録が実現することを期待しているところであります。
このような中、京都府では昨年11月、ユネスコの無形文化遺産登録を目指す日本の食文化の普及啓発を図ることを目的として、世界遺産条約採択40周年記念最終会合に合わせて「日本料理文化博覧会」を開催されました。食文化展示会、京文化セッション、きょうと食育フォーラム、京の食文化体験、宇治茶・伏見の酒の郷を訪ねる取り組みなど、国とも一体となったさまざまな取り組みを実施され、日本料理の真髄である京料理、そして京都の文化を国内外の方々にアピールし、この機会にユネスコへの申請の趣旨の普及啓発や、日本の伝統文化の中心である京都として、京料理をコアとしてさまざまな形で食文化を発信されました。
また、本年3月、京都府教育委員会は府文化財保護審議会の答申を受けて、京料理の老舗であります瓢亭(ひょうてい)第14代当主で料理人の高橋英一さんが、国や都道府県を通じて初めて府の無形文化財保持者(京料理・懐石料理)に指定されるなど、「京料理」をさらに発展させていこうという機運の高まりを感じているところであります。
そこで知事にお伺いをいたします。京都府として、こうした京料理の機運の高まりを捉えて、まずは観光などと結びつけ、京都の活性化を図る取り組みが重要ではないかと考えますが、今後どのような取り組みをされていくのか、知事の御所見をお伺いします。
また、この機会を捉えて京料理の魅力を世界に発信するとともに、日本酒や宇治茶などの京都物産の販路拡大に向けた取り組みを進められると伺っておりますが、具体的な事業の計画はどのようなものになっておりますでしょうか。
さらには、京料理という食文化をこれからの若い世代に引き継ぐことも大変重要であり、京都府では日本初の高等教育機関の検討を開始したと伺っております。実践・伝承者育成に係る教育機関の設置や大学や大学院の学部、学科設置に向けた取り組みを開始することは大変高く評価をいたすところでございます。
そこでお伺いをいたします。現在の検討状況と今後の見通しはどうなっておりますでしょうか、御所見をお示し願います。
以上で質問を終了いたします。明確な御答弁をお願いいたしまして結びといたしたいと思います。
御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
◯議長(多賀久雄君)
山田知事。