平成25年12月定例会(第4号)  一般質問

◯議長(多賀久雄君)
次に、荒巻隆三君に発言を許します。荒巻隆三君。

◯荒巻隆三君
自民党の荒巻隆三でございます。通告に従い、質問いたしたいと存じます。知事並びに関係者の皆様には明快なる御答弁を賜りますようお願いを申し上げます。
初めに、がん対策について質問いたします。
総合的ながん対策の推進につきましては、6月にも質問をさせていただきました。その際、知事からは、「がんの相談窓口の開設や『生命(いのち)のがん教育推進プロジェクト事業』、市町村の休日総合がん検診支援事業を8月から9月にかけて実施していく」との力強い答弁をいただきました。また、受診率の向上についてもいろいろと取り組んでいただいているとのことで力強く感じるとともに、このたびもその成果について、どのようになっているのか改めてお聞きしたいと思う次第であります。
まず、がんの相談窓口についてでありますが、知事の御答弁のとおり、8月に京都テルサ近くに「京都府がん総合相談支援センター」が設置されました。このセンターは、がんは早期発見・早期治療により8割から9割の方が治癒なされ社会に復帰をされておられるものの、検診において、がんという診断を受けることで、かつての治療の困難なイメージを抱いたり、家族にどう話したらよいか悩む方、治療内容がわからなかったり、治療費に対する不安を抱える方などの悩みを聞き、必要な場合には適切な窓口を紹介したりする、がん患者・家族の方々に対する寄り添い型の支援窓口として設置されたものであります。これまでからもがんに対する相談窓口はありましたが、改めて京都府がん総合相談支援センターを設置されようとした目的についてお聞きいたしたいと思います。
また、開設後の利用状況はどの程度あるのか、そしてどのような相談が多いのでしょうか。お示しをいただきたいと思います。
相談内容を分析することで、がんに対して府民が抱えている悩みを精査に把握できることにつながり、その悩みを解決するために必要な事業が見えてくると思いますが、開設後数カ月しかたちませんが、現状をどのように分析され、来年度以降の運営にどう生かしていこうと考えているのか、お聞かせいただきたいと思います。
患者の尊い命はかけがえのないものであります。仮に、相談件数が多いのであれば、府民が待ち望んでいたこうした施設がようやくできたということでもありますので、センター機能の拡充を図るべきと思いますが、いかがでしょうか。
また、6月の御答弁では「生命(いのち)のがん教育推進プロジェクト事業」を進めていくと知事はおっしゃいました。この事業は、がんによる死亡を防ぐため、子どものころから健康的な生活習慣を学び、がん経験者のお話を聞き、命の大切さを学び、子どもへの教育だけでなく、家族でがんの予防や検診について考え、家族全員が意識を高められるようにすることを目的としているとのことであります。がんにかかった体験のある方が講師となり、学校現場でお話もされるとのことであります。がんに対する正しい知識、早期発見の大切さ、そういったものを、実体験を踏まえた話として聞けることは、まさに生きた教育そのものであり、教育委員会との連携も非常に大切になってくると思います。間もなく2学期も終わりを迎えますが、これまで幾つの学校でこの事業を実施され、子どもたちの反応はどのようなものであったのでしょうか。何か課題は出てきたのでしょうか。お聞かせいただきたいと思います。
 がんは早期発見・早期治療が大事であります。そのためには検診は欠かせないものであります。9月には休日総合がん検診支援事業が市町村で実施されるとのことでありました。6月の御答弁では、5つの市町から導入の意向があるとのことでありましたが、市町村は府内に26ございます。5つの市町ということは府内市町村の2割しか休日総合がん検診を実施しないということになります。より多くの方に早期検診をしてもらうためには、この比率を上げることも必要ではないかと思いますが、その後、実施市町村はふえたのでしょうか。ふえないのであれば、府の支援方法に何か課題があるのか、あるいは既に実施しているから不要なのか、医療機関が十分あり、あえて休日の検診は不要なのか、どのようなことが要因と分析されているのでしょうか、教えていただきたいと思います。
また、先月には女性特有のがんである子宮頸がんの検診率向上を目指して「ステキ女子のからだメンテプロジェクト」なる活動を始められたとのことであります。いささか疑問に感じてやまないのですが、がん対策に向き合っていただくことは命の重みに向き合っていただくことにほかならないものであるにもかかわらず、公募で受賞されたプロジェクト名であるとするなら、私の感覚がずれているからなのかもしれません。連想されるのは、女子力アップ、小顔矯正や体幹矯正であり、これらと一緒の次元ではあるはずがないと私は思っております。
プロジェクトの名前からすると、一見してがん検診向上の取り組みとはわからないもので、20代から30代女性に増加傾向である子宮頸がんへの理解を深め、関心を高めて検診受診率を向上する啓発活動を展開することを目的に、女性を取り込みやすい名前になさったのだと思いますが、この事業のコンセプトは、おしゃれや美容による自分磨きと同じように、健康であることが「ステキな女子」の条件だとのことであり、そのこと自体を否定しようとは全く思いませんが、そこにがん対策を織り込むのであるなら、デリケートに、もう少し啓発の内容説明や命名の仕方に工夫が必要じゃないのかと考えますが、いかがでしょうか。
これまでの行政だけで行う啓発事業ではなく、民間企業など100団体が参加されて行われ、シンボルイベントも11月30日に京都高島屋で行われました。これから、いよいよ本格的な取り組みが始まると思いますが、どのような取り組みをされようとしているのか、「ステキ女子のからだメンテプロジェクト」の内容についてお聞かせいただきたいと思います。
がん対策について、最後に先端医療機器についてお聞きいたしたいと思います。
がんの治療には、外科的または内視鏡的手術、抗がん剤治療、放射線療法、がんワクチン療法などの免疫療法、四大治療法と呼ばれているものであります。この中で、放射線療法について大別すると、光子線と粒子線が使われています。光子線が保険診療として認められていて、エックス線を使用するリニアック治療とガンマ線を使用するコバルト治療があります。一方、保険診療として認められてない粒子線治療には、陽子線治療、重粒子線治療、中性子線治療の3つがあります。陽子線治療は水素の原子核である陽子が超高速で飛んで、光の速さの70%の速さに加速した陽子をがん病巣に狙いを絞って照射する治療法であり、重粒子線治療は陽子より重い炭素を超高速に加速して、がん病巣を狙い照射する治療法であります。この陽子線治療と炭素線治療は、がん病巣が一定の場所に集中している場合のみに治療対象となり、照射回数も10回から20回の治療が必要となるのに対して、最後の中性子線治療は、がん細胞のみが破壊されて、周辺の正常細胞が破壊されず、しかも治療は1回のみで終了するので、従来なら治療の対象とならなかった病巣、すなわち転移のあるがん病巣や散在性のがん病巣にも治療が可能となる最新鋭のがん治療機器であります。世界に先駆けて、東京の国立がん研究センター中央病院には、ホウ素中性子捕捉療法の機器が今年度中に設置されると聞いております。あらかじめ、がん患者さんにホウ素を含む薬剤を投与することで、そのホウ素を取り込んだがん細胞の病巣のみを選択的に殺傷し、しかも1回の照射で済み、治療期間が手術と同様にその日で終了するという特徴を持った、患者の立場に寄り添ったクオリティーの高い治療法であります。従来の機器よりコストパフォーマンスにもすぐれて、コンパクトにもなり、難治療性のがん対策にも貢献できる、日本発の革新的な治療法であります。この件につきましても、おおむねを6月に1度お聞きいたしました。知事からいただいた答弁では、運営主体や採算性をどうするのか、治療法が日進月歩する中、どの時点でどういった施設を整備するのが効果的なのかといったことが課題として上げられるとのことであり、京都の場合は府立医大や京都大学医学部があるわけですから、全体として府民のために一番よくなるのは何なのか、医療関係者のお話も聞く中で、本格的な検討体制を考えていきたいとのことでありました。
確かに、課題として上げられたことは一朝一夕に片づくものではなく、ある程度の時間的猶予が必要なことは理解いたします。しかし、がんという病と闘っている方々が安心して先端医療を受けるように、できるだけ早く検討を進めていただき、実際の治療へと進めるよう期待しているところでもあります。
特に府立医科大学では病棟の再整備が進められているとのことであり、府立医科大学での先端医療機器を整備していただくことができないのか。外来診療棟の整備が終わり、新たな病棟建設は難しいかもしれませんが、病棟整備の中で何らかの機器整備ができないものかと思うところであります。少しでも早く、がん治療が必要な方のためにも条件整備ができないか、期待をしております。お考えを再度お聞かせいただきたいと思います。
次に、薬識手帳の活用について質問いたします。
一昔前までは、医療用の薬は医者でもらうというのが当たり前でしたが、近年の医薬分業の進展により、医者が処方した薬を薬局でもらう機会がふえてきました。その際、薬局では薬識手帳、いわゆる「お薬手帳」をつくってくれて、そこに処方薬の名称や用法、用量、効能などが印字されたシールを貼ってくれます。たとえ複数の医者を受診しても、同じ薬識手帳に次々とシールを貼っていくことにより、投薬履歴が一元的に管理できるとともに、それを薬の専門家である薬剤師がチェックすることにより、誤った飲み合わせや不必要な重複投与も防止できます。とりわけ、薬を服用する機会の多い高齢者や、薬の影響を受けやすい子どもにとっては、その恩恵が大きいことから、今後、より一層の普及が望まれるところです。
また、京都府においては、医師会、歯科医師会、薬剤師会が合同で薬識手帳を作成されており、独自の取り組みとして医療機関と薬局間の連絡欄を設けるなど、よりきめ細やかに患者の安心・安全に配慮されておられます。さらに、京都府薬剤師会では、薬識手帳の効果を最大限生かすため、一人一人の患者さんが行きつけの薬局を1つ決めてもらい、そこで、医者でもらった薬を初め、市販薬や健康食品まで、薬や健康管理に関するあらゆる相談に応じる、「かかりつけ薬局制度」を推進しておられます。一方、平成24年度の診療報酬改定により、薬識手帳は原則として薬局で薬をもらう全ての患者に発行されておりますが、1人で何冊もの薬識手帳を所持したり、逆に、薬識手帳の発行を受けたがらないケースも見受けられ、必ずしも、全ての患者さんが効果的な活用をしていないともお聞きをしております。そこで、薬識手帳のさらなる普及や効果的な活用に向け、どのように取り組んでおられるのか、お伺いをいたします。
次に、薬識手帳の災害利用について伺いたいと思います。
去る9月16日、台風18号が京都府を直撃し、我が国で初めて、数十年に一度の被害発生が予想される「特別警報」が発令されました。主要河川の氾濫により、家財が流されるなど、府内各地に甚大な被害をもたらしましたが、こういった災害はいつ何どき発生するかわからないため、平時から各自が可能な備えをしておくことが重要です。そのような中、東日本大震災においては、カルテ等の医療インフラが津波や地震により大きな被害を受けたにもかかわらず、薬識手帳を所持していた方には、スムーズで適切な医療の提供ができたとお聞きしております。また、医療スタッフの間では、カルテ・薬歴がわりとしても活用され、医療スタッフの申し送り、伝言板的な役割も果たし、効果的な医療につながったともお聞きしております。お隣の大阪府では、薬識手帳を電子化する取り組みが始まっているとお聞きしておりますが、京都府が12月補正予算で計上されている「京都電子お薬手帳(e-お薬手帳)導入準備費」において、災害時における活用も含めて、どのような取り組みをされようとしておられるのか、お伺いをいたします。
次に「京焼・清水焼」について質問いたします。
京焼・清水焼は昭和52年に国の伝統的工芸品に指定されて、以降も京都を代表するブランド工芸品の一つとして、平成18年には、京都府の条例により「京もの指定工芸品」にも指定され、製造にかかわる伝統的な技術・技法の維持、そして産地振興を見据えたそれらの向上や継承に向けて、国や府のさまざまな支援措置も活用しながらその振興を図ってまいりました。
京焼・清水焼の今日までの歴史を振り返りますと、その起源は16世紀後半には京焼の生産が始まっていたと考えられております。このころの作品についての詳細や特徴については、不明な点も少なくなく、低温で焼結し、鉛を含む釉薬が使用されていて、技法やデザインの範囲が広かったのが特徴であるとされております。清水焼以前にも、最も京焼の中で最古の部類に入るものでは、三条粟田口かいわいに陶磁器の窯元が集中し、粟田焼が生産されていたほか、清水焼の成立と前後して八坂焼、音羽焼、御室焼、御菩薩池焼(みぞろがいけやき)など京都市内各地に陶磁器の生産が広く行われ、これらを総称して京焼という呼称が使われておりました。現代においては、山科区の清水焼団地や宇治市の炭山などで生産されているものも含めて京焼・清水焼と呼ばれてはいますが、本来は単純に収れんされる成り立ちではなかったくらいに広範囲で行われていたものであります。また、16世紀中ごろには、緑色や赤褐色や藍色の、これらの色をあらわす釉薬を用いた三彩や、生活文化でもある茶の湯の芸道意識を高める上で大変に重宝された交趾焼(こうちやき)などの技術を持った海外からの陶工やその後継者たちが製陶を開始していたことも京焼の成り立ちに深くかかわっております。
安土桃山時代には、茶道の興隆に伴って茶碗などの茶陶の製造が盛んになり、17世紀に入ると、東山地域を中心として色絵陶器が広がり、色彩鮮やかな作陶が活性化しました。江戸時代初期には、茶会に関する記述の中で、絵つけを施した御室焼の登場が確認されております。同じくしてそのころ、赤色系の上絵つけを施した御室焼が、丹波国桑田郡野々村の出身とされる野々村仁清によって初めてつくられました。調合、焼結の困難な赤色系の絵つけを17世紀に成功させたのは、磁器を国内で初めて製造した伊万里焼以外ではこれが唯一の事例であって、かつ陶器では国内初の事例でありました。その後も大ぶりの作品を破綻なく均一な薄さに仕上げるろくろの技術や金彩・銀彩を交えた色絵で絵画的装飾を施した茶つぼに代表される作品など、その華麗でみやびやかな色絵陶器を完成して京焼の第1期黄金時代を形成しました。続く、仁清のもとで作陶技術を学んだ尾形乾山が自由闊達な絵つけや、洗練された中にある素朴な味わいを特徴とした作風で、兄の光琳とともに独自の陶器を創作して、琳派の源ともなる陶器の大衆化を展開しました。非凡な意匠感覚で現代に至るまで、日本の絵画、工芸、意匠などに大きく影響を与えた尾形光琳が、実弟の尾形乾山の作った陶器に絵つけをするなど、その多岐にわたる製作活動は周知のとおりでございます。
明治に入ると、伝統技法を守りながらも、西洋の化学的、工業的な製陶法を全国に先駆けて積極的に導入し、販路開拓や生産の合理化、経営の近代化を図り、明治末から大正中ごろにかけて、京都の陶磁器業界は全盛を迎え、制作地域は粟田、清水から日吉、泉涌寺地区に広がりました。その後、京焼・清水焼業界を取り巻く環境にはさまざまな変化が生じ、登り窯から電気窯、ガス単独窯への急激な転換や、京都市山科区、宇治市炭山地域への移転などを経て今日を迎えているところであります。
多品種少量生産を特色とする京焼・清水焼は、日本の陶磁器界で確固たる地位を築いてきており、先人たちの活躍に加え、今日なおその伝統を守り、さらに新たな意匠を目指す名工たちによって、京焼・清水焼の手づくりのよさが伝えられ、国内はもとより、高級品は海外でも根強い人気を保っております。一方、日本人の生活様式やライフスタイルの変化がもたらした一般消費の下降は、京焼・清水焼産地の実態として、伝統産業界全体を取り巻く状況と同様に厳しい状況にあります。とりわけ、東山区は、京焼・清水焼が重要な地場産業として地元経済を支えてまいりました。業界全体の状況が厳しい中ではありますが、先日も五条坂の陶磁器展を初めとして、各地の陶磁器のイベントや作品展で多くの作家たちが作品の魅力や日本料理やお茶とのかかわり、日本酒とのかかわり、京都が強みを最も放つ分野においても、いかにかけがえのないものであるのかを発信し、そのことを観光誘客にも生かしながら、特に若手の作家たちが積極的、主体的ににぎわしを通じ努力し、地元経済にも大きく貢献しようとする姿を見せてくれました。そのような観点からも、次世代を担う若い世代の育成が大変重要であります。
京都府では、京都府立陶工高等技術専門校を創設するなど、陶芸分野での人材育成に力を注いでこられるとともに、伝統産業分野での職人さんの仕事づくりなどに取り組んでこられました。くしくも琳派400年を2015年に控え、京焼・清水焼が次の黄金期を迎えるために、この分野での若手の担い手育成や、その担い手たちの仕事づくりに向けてどのように取り組んでいかれるのでしょうか。お答えください。
また、今回の補正予算に、京焼・清水焼に対しても、消費税の引き上げにより、一時的な消費の冷え込み等も予想され、この分野でも厳しい状況を迎える可能性があると考えるとし、項目が上がっておりましたが、どのような対策を考えておられるのか、単なる緩和策ではなく、先人たちの築いてきた伝統を確固たる地位に築き上げるためにどうするのか、御所見をお聞かせいただきたいと思います。
時間になりましたので、以上で質問を終わらせていただきます。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)

◯議長(多賀久雄君)
山田知事。

あらまき隆三

荒巻隆三
(あらまきりゅうぞう)

  • 昭和47年10月27日
    京都市生まれ
  • 京都府議会議員
  • 元衆議院議員
  • 農商工労働常任委員会
  • 高齢社会の安心・安全対策特別委員会

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