◯田中英夫委員長
次に、荒巻委員に発言を許可いたします。荒巻委員。
◯荒巻委員
自由民主党の荒巻隆三でございます。まず、通告に従いまして、京都府の医療政策の充実と推進について知事に質問をいたします。
まずは、京都府北部の地域医療について、京都府立与謝の海病院を平成25年4月から京都府立医科大学の附属病院とし、京都府立医科大学北部医療センターとして出発することで、北部地域への医師派遣時間数が、附属病院化する前と比べて、平成26年3月では約5倍の医師派遣機能を果たしたとの報告を聞いて、京都府北部への医師派遣の問題解決への方向性が開けてきたと判断をしまして、附属病院化を決断した山田知事の先見性と英断に深く敬意を表します。
それとともに、京都府立医科大学を初め、関係された各位にも敬意を表し、京都府議会としても大変うれしく思い感謝を申し上げます。
地域医療において重要となる点は、救急医療の充実、がん治療の充実、認知症に対するリハビリを含めたリハビリテーションの充実の3点であると考えます。
京都府立医科大学北部医療センターについて質問させていただきますと、第一に、救急医療についてでありますが、北部医療センターが開設される折には、救急医療を含む総合診療部門に教授を置き、救急を含んだ総合診療を充実することで若手医師を北部に集める計画であるとの説明を受けました。しかしながら、1年3カ月経過した現在でも、当該教授が選任されていないのは残念であります。いまだに教授が選任されていない理由について伺いたく存じ上げます。また、救急では脳疾患と心臓疾患が多いと伺っていますが、北部医療センターには心臓の手術や脳の手術ができるだけの心臓外科医、脳外科医が配置されているのかどうかを伺いたく存じ上げます。
2つ目のがん医療についてですが、2人に1人ががんにかかる時代で、しかも3人に1人ががんで死亡する統計となっていますので、1つに最先端のがん治療機能整備、そしてもう1つ、がんの終末期医療の充実が望まれます。最先端のがん治療については、後で質問させていただきます。
まず、伺いますのは、がんの終末期医療の受け入れ体制、すなわち緩和医療病棟の設置の計画はあるのでしょうか。予定をしているとしたら、いつごろをお考えかをお答えいただきたいと思います。と申しますのも、山田知事の第3期目の立候補の際のマニフェストに、「緩和医療の京都府内への均衡化」を挙げておられました。確かに河原町の京都府立医大には、ことしの1月に緩和ケア病棟ができて、府民は大変喜んでおります。北部の人々にも、できるだけ早期に同じ恩恵を与えていただきたく、お願いをする次第であります。
3つ目の認知症に対する脳のリハビリテーションを含めて、北部医療センターでのリハビリテーション対策はどのように進められているかを教えていただきたいと思います。
次に、みとり対策についてであります。6月28日付、京都新聞の朝刊にも大きく「看取り対策本格化」との見出しが躍っております。それによりますと、団塊世代が75歳以上を迎える2025年には、府内の年間死者数が2012年の2万5,416人から約5,000人ふえるとされ、ひとり暮らしの高齢者数も2010年の1.4倍となり、孤独死の増加が見込まれるとされています。今回の補正予算では、「看取りプロジェクト」として2025年にふさわしいみとり社会の絵姿、みとりビジョンを検討し、緩和ケアで使用する麻薬等、薬剤供給システムの構築、訪問相談の実施、多床室型特養でもみとり期に家族が一緒に過ごせる施設改修助成制度の創設が提案されています。死というものを直視することは、なかなかしやすくないものですが、多死化社会が到来することは事実であることを我々一人一人が直視しなければならないことは事実であり、それだけに、しっかりとした対策を今から講じておくことが必要であります。行政として、多死化社会を直視した対策を講じられたことには頭が下がる思いでありますが、一番大切なのは、これらに取り組む人材の育成ではないかと思います。介護・医療に携わる方々とみとり側の家族が、これまで頑張ってこられた方を同じ思いで送り出せる社会づくりが必要だと思いますが、この事業にかける知事の思いについてお聞かせください。
そして、いつものシリーズものです。私の申しております、最先端がん治療のできる京都府への期待についてでありますが、昨年の本会議において以降、私が代表質問や一般質問でさせていただいていたことですが、京都府以外では、がんの陽子線治療、炭素線治療は既に行われておりますし、取り入れていない府県では具体的な設置計画が進んでいると聞いております。陽子線、炭素線治療は、1カ所に限局しているがん治療に対してのみの治療であるのに対して、中性子治療はがん細胞1個分のみを破壊して、正常細胞には全く影響を及ぼさないという、今までの粒子線治療とは原理的に全く異なる治療法でありまして、散在性に転移している転移巣にも治療できるという「夢のがん治療器」であります。近く、東京の国立がん研究センター中央病院に、この夢の治療施設が設置されるそうですので、「関東のがんセンターの次には関西圏でも」と、私が先般の府議会の一般質問で質問させていただきました折に、「京都府立医科大学に設置を含めて検討を進めてみますので、もう少し待ってください」と、山田知事から伺っていましたので、あれから数カ月を経過していますし、第4期目のマニフェストで医療福祉の安心の項目の中に、「最新のがん治療設備の導入などにより、最先端のがん医療の提供体制を整備します」と書かれております。これは、まさに中性子がん治療を意味しているものと私は理解をしております。だとするならば、その後の京都府立医科大学への夢の中性子がん治療器の導入計画がどこまで進んでいて、いつごろ京都府民がその恩恵を受けられるのかを教えていただきたくお伺いをいたします。
◯山田知事
荒巻委員の御質問にお答えいたします。
府立医大附属の北部医療センターについてでありますけれども、北部の与謝の海病院を北部医療センターにしたというのは、1つは、やはり北部の医療拠点としていくということがある。もう1つは、やはり、ここから地域医療の人材を育成していく総合的な拠点にしていきたいという2つの狙いがあったわけであります。
ただ、この地域医療学講座のほうにつきましては、まさに、ここにすばらしい教授を置くことによって、全国からその教授を慕って若手医師が集まってくるような方を選びたいということでやってまいりました。医大にも狙いはあったようでありますけれども、「これだ」という人がうまく採用できていない状況もあります。そうなってまいりますと、これは誰でもいいというわけにはいきませんので、やはり中途半端な人を選ぶよりは、ここは時間をかけても、よい人を選ぶべきだというのが、医大のほうの考え方でありまして、私はそれはそうだろうなというふうに思っているところであります。ただ、大学も探しているだけはなくて、この4月からは2名増員し、地域医療学講座に携わる医師を5名体制に強化をして、また総合診療科の診療体制の充実にも努めているところでありますので、そうした目で中長期的に見ていけばいいのではないかなというふうに思っているところであります。
心臓外科医及び脳神経外科医の配置についてでありますが、心臓外科には医師2名、脳外科では医師4名を配置しまして、脳外科につきましては平成25年度から外来の診療日を週3日から週4日に拡充したところであります。
また、こうしたこともありまして、救急診療での脳血管疾患や心疾患などの件数は、平成25年度では年間2,155件と、平成24年度の1,746件から大幅にふえておりますけれども、このうち緊急手術が必要な患者は、脳疾患では16件、心疾患では3件となっております。手術が必要な場合には、これは365日いつでも速やかに対応できるよう、舞鶴医療センターと舞鶴共済病院とのオンコールによる24時間受け入れ体制を整備したところであります。この北部の医療センターで全てできることが理想でありますけれども、まずは地域全体で万全の診療体制を整えることによって、府民の安心・安全を守っていきたいということで行っているところであります。
次に、緩和ケア病棟についてでありますけれども、医科大学におきましては、本年1月に整備したところであります。実は、ここは病床数は16床という極めて小規模な施設であります。というのも、ここはこの府立医大で緩和医療を提供するということよりも、緩和ケアを行う専門的な医師や看護師等の人材育成を行っていきたいということを主目的にしたためであります。緩和医療というのは、多分、今後それぞれの地域において、できるならば在宅で家族とともに過ごしながらとか、そうした中でどうしてもというときになって施設に入るという形で行われることが、私は望ましいと思うんですけれども、そのためにもまず必要なのは人材育成であるということで、その人材育成拠点をこの府立医大に整備したところであります。今後、府内の医療従事者をこの緩和病棟に受け入れまして、実地研修を行うなど、人材育成に努めておりますけども、こうした取り組み状況を踏まえまして、丹後を含む京都全域で緩和ケアのあり方をさらに進めていきたいというふうに考えているところであります。
脳のリハビリテーション(リハビリ)についてでありますが、老化や疾病による脳の機能を改善するために行うリハビリでありまして、認知症では学習療法、回想療法などの認知訓練と運動訓練を組み合わせ、認知機能の向上に努めるものであります。
府内では、北部地域の4施設も含め、介護老人保健施設で取り組みが始まっているところでありまして、京都府ではこうした取り組みが進むよう、認知症短期集中リハビリ研修を実施しております。
北部地域では、脳卒中等の急性期リハビリにつきましては舞鶴医療センター、回復期リハビリでは丹後中央病院、福知山市民病院などで実施されているところでありますけれども、北部医療センターでも、歩行や言語訓練などを行うさまざまなリハビリに取り組んでおりまして、平成25年度で申し上げますと、患者数は年間1万人を超えているところであります。
府北部地域は、これはやはり高齢者が多く、心臓疾患や脳血管疾患治療のニーズが高いことから、北部医療センターでは昨年度、心臓運動負荷モニタリングシステムを導入いたしまして、心筋梗塞などの重症度の診断ですとか、運動療法を実施するなど、まさに北部地域の急性期リハビリの拠点として取り組んでいるところでありまして、これからもさらにその点を強化してまいりたいと考えているところであります。
次に、みとり対策についてでありますけれども、2025年になりますと、京都府でも年間3万人を超える方が亡くなると。そのときに、実は介護人材は2万人が不足するのではという推計が出ております。こうした点から申しますと、今から将来を見据えた一歩先の取り組みが大変重要になってまいりますので、その点から2025年を見据えたみとり社会のビジョンを策定し、ソフト面では看護師、ケアマネジャー等を対象にしたみとりの研修実施ですとか、府立医科大学の緩和ケア推進センターでの人材育成や、先ほどお話がありましたような在宅用麻薬の管理供給システムの構築。ハード面では、特別養護老人ホームにおいても家族が最後に一緒に過ごす、みとりができる宿泊室の改修助成等に取り組むこととして、必要な予算をお願いをしているところであります。
在宅、病院、施設のバランスのよいみとり体制をしっかりと構築し、そして、そのための人材育成からハード整備までを、これからビジョンに基づいて重点的に取り組んでいきたいというふうに考えているところであります。
次に、荒巻委員がいつもシリーズで質問をされております、最先端のがん治療でありますけれども、陽子線や中性子線治療等の最先端がん治療につきまして、府民からも本当に大きな期待が寄せられておりますし、現実に多くの人たちが、今は兵庫とかそうしたところで治療を受けている現状にありますので、私どもも何とか早く導入をしたいというふうに考えているところであります。
こうした検討を進めていくときには、御指摘ありましたように、まず陽子、中性子、重粒子、どれをやっていくんだということ。そして、それぞれについて、これはやはりかなり状況が違います。重粒子線というのは、これは建設費が膨大でありまして、施設には体育館のような規模のものが要ると。陽子線治療につきましては、これは経費を抑えることができるんですけれども、同じような効果を得るためには、患者さんへの照射回数が多くなる。また、中性子治療につきましては、お話がありましたように、がんの細胞1個分のみを選択的に破壊するなど、効果的でありますけれども、まだまだ治験例が少なくて、これから内容というものが固まってくるというものであります。
それだけに、私どもは資金調達、場所の確保、運営体制といった面の課題について、話を進めていかなければいけないというふうに思っているところでありますけれども、特に京都の場合には京大と府立医大の両方がありますので、京都市も含め、京都全体としてどのような枠組みで医療体制を構築していくかについても、十分な調整が必要であるというふうに考えております。
今まで幾つか話がありましたけれども、今も実は幾つか話があるんですけれども、このあたりがネックとなって、途中でなかなかうまくいかないという現状がございます。ただ、今般、京都府全域が国家戦略特区の対象区域となりまして、先端医療を柔軟に行うことが可能となるなど、私は導入に向けた環境が整備されつつあると思います。
現在、京都府としましては、導入の検討に向けて、京大、府立医大、京都市と府の4者におきまして、国際戦略特区の事業に関連をして、協議を始めたところでございますし、また府立医大におきましても、検討プロジェクトチームを立ち上げまして、今、導入についての研究を開始しているところであります。今後、こうした取り組みをこの戦略特区の進展と相まって加速させていきたいというふうに考えているところであります。
◯荒巻委員
御答弁ありがとうございました。
今、北部医療センターのこれからの人材を育成するためのキーマンとなる教授の人選、いろいろ困難があるということをお伺いしましたので、精査の上、きちんと選任をお願いいたしたいと思います。
また、自民党府議団でこの正月明けに北部医療全般を見てきまして、もちろん地域でいろいろ役割とか連携というものを医療体制の中で構築しているのも見てきましたけれども、やっぱり医科大学という、いみじくも知事もおっしゃった、人材を育成して地域医療に輩出していくという、その役割を発揮するためには、豊岡とか舞鶴の4病院のほうもありますけれども、やはり自力で心臓外科医とか、きちんと総合診療できる拠点となっていただくことが、真に若い医者を集めて、これから巣立っていく、そして役に立っていく、そういう医療体制の拠点になるということを、もう一度私はそこを指摘して、重点化をしていただきたいと思っております。
みとりについてなんですけれども、こちらもやはり、今、痛みを訴える患者さん、これはみとりの前に、まず在宅緩和があって、在宅緩和の前にやはり病院できちんと緩和病棟なりケアがあるという、そういう段階的な体制がちゃんとあればこそ地域包括の基本体制が構築されると私は思っておりますので、ぜひともそこを、いま一度、大学病院の役割というものを見詰める中で、施策を推進していっていただきたいと思います。
がんの治療につきましては、一言だけ申し上げますと、私はホウ素中性子捕捉治療を、コストと効果と、そしてまた一番最新鋭ということでお勧めをしたいと思います。
北部医療センターについては、地域の皆様からちょっとお声がありまして、病棟のほうが老朽化や液状化が始まりつつあって、危険であるということなので、改修や移転も含めた検討をぜひともお願いを申し上げておきます。
次の質問に移ります。
文化力と経済の活性化についてお尋ねをします。
先ほど、前波委員のほうからもお話がありましたが、やはり京都の活力は文化力ということを知事もいつも選挙でもマニフェストでもおっしゃっていましたが、ついこの間、東京都知事が京都にやってきて、日本の文化の発信を京都と一緒にやりましょうという呼びかけがありました。京都は本当に持てる伝統文化や産業や、また、おもてなしの心であったり、匠の技というものをしっかり活躍させることで、日本の国際的な価値を高める、その貢献ができるのは我々にとって望外の喜びですので、ぜひともそれを生かした活力を上げていただきたいと思います。
この間、京都市は世界で一番訪れてみたい都市ということで、アメリカの旅行雑誌に載りました。一昨年はベストテン入りして、パリを超えて9位で、去年はローマを超えて5位とか、一気にうなぎ登りに日本の評価は特に高いということで、京都はやはりその中心でありますし、本当に伝統文化だけではなくて、まちの様相、景観、ごみが少なくきれい、そしてモラルが高い、そして人が優しい、やはり日本人の美意識や哲学というのは、これは世界に共通して発揮できる魅力だなという、その証左だなと私は誉れに思っておりますので、その点を踏まえて質問の本題に移ります。
文化力と経済の活性化についてお聞きをいたしますが、まず府内の経済状況については、4月に消費税が引き上げられ、その影響がどのようになるのかを大変危惧しておりましたが、報道等によりますと、3月の駆け込み需要の反動から4月は消費減の影響があったものの、おおむね想定内の範囲であり、徐々にではありますが回復傾向にあるとのことであります。一方で電気料金が大幅に値上がりするなど、原材料費や燃料費などが収益を圧迫しつつあるとの声もお聞きします。6月補正予算でも、消費税反動減・原材料費高騰対策等緊急金融支援費や、秋の商工・農林水産業祭開催事業費が提案されていますが、現在の京都府の景気動向をどのような状況にあると考え、これらの事業を提案されたのか、お考えをお聞かせください。
関連して、私たちは常々、文化力を生かした経済の活性化を図ることが京都経済にとって重要であると考えておりますが、来年には琳派400年を迎えることから、文化力を経済活性化に生かす絶好の機会が到来いたします。その機を逸しないためには、伝統産業分野の発展が不可欠であり、その基盤をしっかりと支えることが重要であると考えます。
今回、伝統産業育成基盤強化事業費が提案されておりますが、当初予算でも同様に、伝統産業生産基盤支援事業費として2,000万円が計上され、多くの要望があったことから、今回改めて事業化をされたとのことであります。力織機などの老朽化設備や、はけ、陶磁器製造窯などの道具類の更新を府が3分の1を支援するものであり、これまでにない画期的な支援制度であると、産地組合など業界からは大変感謝しているとの声を私もお聞きをしております。設備の更新は、ことしで全ての事業者が行えるわけでもございません。恒久制度とまでは申しませんが、願わくば、あと数年、できれば5年程度はこの事業を継続していくべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
次に、琳派に関連して質問します。
本阿弥光悦が徳川家康から京都市北区鷹峯の地を拝領した1615年が琳派誕生の始まりとされ、来年は琳派誕生から400年になります。去る6月2日には、琳派を代表する俵屋宗達の国宝、風神雷神図屏風が伝わる建仁寺において、村田純一京都文化交流コンベンションビューロー理事長、山田啓二京都府知事、門川大作京都市長、立石義雄京都商工会議所会頭による「琳派400年記念祭委員会」設立記者会見が行われました。その中で、21世紀の琳派を創出することを目指すこと、国内外との交流を通じて琳派が秘める日本の文化や、ものづくりの力を広く発信すること、京都のものづくり産業の活性化や新産業が生まれるきっかけとなることなどを目的に、京都各所で記念事業を行うとされております。また、6月27日には琳派400年記念祭の公式ポスターの発表も行われました。これから、いよいよ琳派400年に向けたさまざまな活動、事業が本格化していくわけでありますが、まさに6月補正予算での知事会見で知事がおっしゃった、「京都の活力は文化から」を実践していくことになります。
そこで、数点お聞きします。
まず、琳派400年記念祭開催費についてでありますが、あと半年余りで琳派誕生から400年であります2015年となります。今回、提案されている記念祭事業の内容は、「現代作家200人による日本画・工芸展(仮称)」の開催、各界著名人による琳派連続フォーラムの開催、京都環境フェスティバル2014など、府主催の各種イベントで琳派コーナーを設け、パネル展示等でPRとされております。来年度の事業の準備と、それに向けたPRでありますが、いま一つ琳派400年だといった盛り上がりがない中、琳派についてもっと積極的に発信すべきではないかと考えます。「現代作家200人による日本画・工芸展(仮称)」は、現代琳派作家の粋が見られる絶好の機会でありますが、それだけではなく、地域を挙げ、府民が一体となるような取り組みも必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。時間は多く残されておりませんので、どんなことをやりたいとお考えなのか、それを示していただき準備を始めてはと思いますが、いかがでしょうか。
さらに言えば、琳派400年ということに、ついつい目が行きがちでありますが、2020年に開催されます東京オリンピックの文化プログラムの準備が、2016年から事実上始まることとなります。2015年だけで琳派の取り組みを終わらせることは、余りにももったいない話だと思います。東京オリンピックのときには、京都文化フェアを開催されるわけでありますが、来年の琳派事業を脈々と受け継ぐ形で進めていくべきと思いますが、いかがでしょうか。
これからコンセプトづくりということでありますが、琳派と東京オリンピックでの取り組みをどのように関連させて、新たな京都の文化力を育もうとされているのか、お考えをお聞かせ願いたいと思います。
また、琳派400年に関連して、販売力を持つマーケットクリエーターと中小企業・業界団体等が行う共同プロジェクトを支援し、新たなクール京都としてのマーケットを創出するための琳派商品開発支援事業費が計上されています。琳派関連商品を新たなクール京都と位置づけて、開発支援を行うとのことでありますが、私たちの頭の中では、琳派と言えば俵屋宗達の風神雷神図屏風や、尾形光琳の紅白梅図屏風などがあり、それがどのようにクール京都となるのか、いま一つぴんとこないところがあります。知事が考えておられる、琳派を新たなクール京都として商品開発をしていくとはどのようなことを考えておられるのか、わかりやすくお話しいただきたいと思います。
◯山田知事
京都府の景気動向についてでありますけれども、中小企業応援隊の調査とか、それから実際の百貨店やスーパーの販売額を見ましても、ほとんど影響がなかったという企業は過半数で、駆け込み需要や反動減があったとする企業も大きな影響はなかったとしているということや、4月の落ち込み幅というのは駆け込み需要の反動もあって、大体、前回の消費税の値上げのときと同じぐらいだったということで、想定の範囲内だったとしている人が多いようであります。
しかしながら、6月のガソリン価格が5年9カ月ぶりの高値をつけるとか、電力料金などの単価も上がり、小麦の価格も上昇するなど、こうした燃料費や原材料費の高騰というのが中小企業の経営を非常に圧迫しているのではないかと思っておりまして、どうもDI(景気動向指数)の値を見ましても、若干悪化傾向にあるということで、非常に注意が必要だというふうに思っております。
このため、当初予算に計上しました中小企業経営安定・改善支援事業をいち早く交付決定したところでありまして、今回の補正におきましても、こうした中でも消費税の影響よりも原材料の高騰に重点を置いた形で、それを要件に入れた形での新しい中小企業経営安定化等支援事業をお願いしているところであります。
さらに、消費税の反動減・原材料費高騰対策等緊急金融支援費としての新たな制度融資メニューを創設したところであります。
また、春に実施して非常に盛況でありました商工・農林水産業祭、これは大変好評でありまして、開催の希望も多かったので、秋にも開催いたしまして、消費の拡大に努めていきたいというふうに思っております。
それから、伝統産業生産基盤支援事業でありますけれども、京都市、京丹後市も補助をつけていただきましたので、3分の2の補助率になるという、大変高い率になりまして、今までにない形で申請が出てきております。
特に丹後では、府や市町、応援隊、業界団体一体となって、きめ細かなサポートによりまして、申請件数全体の半分以上を占める状況にありますので、これから、さらに私どもは、新商品の開発とか、新規設備の導入に向けた形で、新たに6月補正で伝統産業育成基盤強化支援事業をお願いしております。まずは、こうした状況を踏まえていかなければなりませんけれども、これは組合等を含めて産地から需要があれば積極的に対応していきたいというふうに考えているところであります。
次に、文化力のほうの琳派の話でありますけれども、琳派というのは国民的な小説であります源氏物語と比べますと、これは知名度は高くなく、盛り上がりというよりは、まず知られていないというのが現状だというふうに私は思っております。ただ、琳派自身の広がりというのは、これはどちらかというと源氏物語の愛好家などが観光に来るといったような源氏物語千年紀とは違って、例えば生活文化の中で商工業の活性化とか、そうした点に比べますと、非常に大きな可能性を秘めている分野であるというふうに思っております。
それだけに、琳派400年に当たりましては、琳派をまず知ってもらうこと。そして、そのすばらしさを感じてもらうこと。そして、それを新しい京都のものづくりにつなげていくこと、この3つを中心に考えていきたいと思っておりまして、そのために知ってもらう取り組みとしまして、フォーラムとかPR活動を行う。そして、感じてもらう取り組みといたしましては、日本画・工芸展の開催ですとか、まち中に琳派があふれるような多彩な商店街や、子どもたちも巻き込んだ取り組み、さらには植物園におけるプロジェクションマッピングなどの府の施設イベント展などでのイベントを積極的に行っていき、その上で、創作につなげる取り組みといたしましては、市場創造力のあるマーケットクリエーターとのコラボ等による新しい創造を行いまして、まさに今まで琳派が持っている繊細なデザインと京都のものづくりの技術を集めた新しい商品を、クール京都としてしっかりと取り組んでいけたらなというふうに思っております。
そして、こうした琳派の取り組みは単年度で終わることなく、2015年には現代芸術祭もありますから、それとも連携しながら京都全体の文化力をアップして、そして、それを2020年につなげていきたいというふうに考えているところであります。
◯荒巻委員
ありがとうございます。琳派は単なる手法ではなくて造形芸術上の流派であります。誰かから教わるとかではなくて、時間や場所を超えて、そして、また身分の異なる人にも受け継がれていくという、琳派というアイデンティティーはみんな同じなんですけれども、それぞれの画家が自分なりの独自性で解釈して、新しい芸術を再構成していくというおもしろみが特徴だと思います。クール京都ということで、コピーじゃない、ほんまのもの、琳派の本質はそれなんで、そこをぜひちゃんと伝えていただきたいし、尾形光琳さんの兄弟の尾形乾山さんは、陶器と絵画とのコラボで、いろんな伝統産業に職人さんの魂としていっぱい残っているので、それをぜひとも発信していってほしいと思います。
次の質問に移ります。
子ども・子育て支援新制度についてお伺いします。
子ども・子育て支援新制度につきましては、国の子ども・子育て会議による制度設計がほぼまとまり、今後は実施主体となる市町村、それを支援する都道府県の計画策定が本格化することとなります。幼稚園、保育所、認定こども園などの多様な施設・事業者からそれぞれの特性を生かした、良質かつ適切な教育、保育、子育て支援を、子どもや保護者の置かれている環境に応じて総合的に提供することを目的としていると承知しています。
一方、この新制度については、いまだ不明な点も多いため、幼児教育・保育の現場から、不安、懸念の声をよくお聞きします。特に、私立幼稚園の設置者からは、基本的には新制度に移行することが想定されている保育所の設置者とは異なり、新制度に移行するか否かの選択肢があるかわりに、移行するか否かの経営判断が迫られるため、不安の声が大きいものとなっています。
私立幼稚園関係者にお話をお伺いすると、来年度の園児募集は9月ごろから始まるが、新制度の実施主体である市町村における公定価格及び利用者負担の額も確定していないため、来年度からの新制度への移行は現実的ではないとのことです。今後、新制度への移行を希望する私立幼稚園の円滑な移行に向けて、府としてどのように取り組むのかお考えをお聞かせください。
また、京都府では、従来からの幼稚園教育を重視する幼稚園が多いという地域的な特徴がございます。新制度施行後もすぐに移行するかどうかを判断できない私立幼稚園や、現行制度のまま残られる私立幼稚園に対する十分な配慮が必要です。引き続き、各園の取り組みを尊重し、私立幼稚園に対する私学助成の維持・充実を図るべきと考えますが、知事のお考えをお聞かせください。
◯山田知事
子ども・子育ての支援新制度でありますけれども、今回、京都府認定こども園の認定の要件等に関する条例の一部改正を行いまして、府議会には、今までの4類型を、しっかりとまた新しい制度に合わせた形の条例をお願いしているところであります。
もちろんこれから公費負担の問題が出てまいりますので、それがないとなかなかどれが一番いい制度なのかというのは言えないという状況があるんですけれども、幼稚園は幼児教育というものに非常に重点を置いてきた。保育園はまた、保育ということに重点を置いてきた。そして、それぞれのよいところを合わせた形で、またいろいろな連携型とかが出てきている。大切なのは、保護者、子どもたちが自分の状況に合った制度を選べることだと思います。これに対して、行政がしろとか、あれしろということではなくて、そういうそれぞれの特色を持った幼稚園や保育園や新しい認定こども園などがある。それをどうやってやれば一番子どもたちが自分の状況に応じて選べるか、私はその観点を重視して、これから各幼稚園や保育園や、そうした団体とお話をしていきたいと思います。
いずれにしろ、公費負担の額が確定するのが、12月になってしまいますので、その点からすると、多くの園にとって、来年度から移行したいと思っても移行できるような状況にないのではないかなというふうに思っておりまして、国に対しましてはその点はしっかりと早く提示をして、混乱のないようにするように、さらに要請をしていきたいというふうに思っております。
◯荒巻委員
ありがとうございます。引き続き、よろしくお願いします。
最後に、安全な通学路対策について質問いたします。教育長に答弁を求めます。
例えばなんですが、私のいます東山区においては、子どもたちが今、少子化の中で、学校統廃合が進み、小中校が2校ということになります。学校を統合する推進協議会自体が自治会なので、そういった各地域のシニアクラブやら、いろんな各種団体が見守りとして、子どもたちの通学路を新しく設計するに当たって協力的で、また警察のほうも地域課やまた生活安全課も全面的に出てきて、「子どもたちにけがをさせない」と、そのようなことで全力を投球しているわけなんですけれども、今、府下でもいろいろ、ゾーン30という形で交通安全対策が取り組まれておりますけれども、それの有益性について一言だけお答えいただきたくお願いを申して、質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。
◯田中英夫委員長
小田垣教育長。