◯議長(多賀久雄君)
次に、荒巻隆三君に発言を許します。荒巻隆三君。
〔荒巻隆三君登壇〕(拍手)
◯荒巻隆三君
自由民主党京都府議団の荒巻隆三でございます。数点にわたり、知事並びに関係理事者に質問をいたします。明快な御答弁をお願いいたします。
8月の豪雨災害は福知山市を中心に大きな被害をもたらしましたが、9月になっても天候は安定せず、数キロ先の違いで大雨の地域が発生するなど、日常生活にも今なお大きな影響を与えております。被災された方々に改めてお見舞いを申し上げますとともに、8月議会を臨時に開催され、対策を講じられた知事の迅速な対応に改めて敬意を表したいと思います。
それでは、通告に従い質問いたします。
まず、大災害事態下の医療体制について質問をいたします。
全国各地で局地的豪雨などによる水害や土砂崩壊などによって歴史的な被害が起き、多くの犠牲者に対して哀悼の意を表します。このような災害時における京都府の医療体制及び大災害時の受け入れ病院のネットワークづくりが府民を守る観点から重要であると痛感しております。
福知山市の市街地を襲った豪雨災害で、災害拠点病院に指定されている福知山市民病院の周辺道路が冠水し、6時間以上救急車が入れない状態になったことが判明し、あわせて電気システムの故障で手術に必要な検査機器の一部も24時間使用が不可能であった等、大規模災害時の機能の確保に課題を残したことについての質問は、先週の本会議場において多く聞かせていただきましたので、その中で知事の答弁にも出てまいりましたDMAT(ディーマット)(ディザスター・メディカル・アシスタント・チーム:災害時派遣医療チーム)の体制整備や受け入れ体制等について質問してまいりたいと思います。やはり、システムの中でDMATを動かしていく準備をしていくことが非常に大事であると思うとの立場から質問いたします。
京都府内で幾つかのDMATが3年前の東日本大震災3・11の際に駆けつけて活動をしていただいた報道を知り、かねてよりその大切さを感じていたところ、昨年は福知山の花火事故の際にも福知山市民病院を中心に、この日、宿直であったDMATの担当部長がその緊急事態に対処し、その個人の持つDMAT間のネットワークや、それらを活用し患者さんの受け入れ病院の病床のカウントやキャパシティの把握を行い、搬送先のかじとり等、迅速に対応していただいた結果、大阪・神戸からのDMATの応援と同時に、大阪・神戸の病院にも患者さんの受け入れをしていただき、被害を最小に抑えられたとの報告を受け、関係者に深く敬意を表する次第であります。
そこで、それらの事故をはるかに超える人数が被害を受けた場合、すなわち、いわゆる大災害が生じたことを想定して、京都府では京都第一赤十字病院、京都市立病院、済生会京都府病院等8病院が災害拠点病院に指定されているところでありますが、まず、大災害発生時において、これらの災害拠点病院で全ての患者を受け入れることができるのか、分析できているのかをお聞かせください。
また、仮に患者を全て受け切れない場合には、患者の搬入を関西圏のどの病院にするか、その連絡体制のネットワークをどのようにするのか等を平常時にシミュレーションしていくことで非常事態に備える必要があると痛感しているところでございますが、京都府内の災害医療体制、関西圏の広域連合における災害医療連携体制の2つの観点について、医療関係者である医師、看護師、薬剤師、事務調整員、救急救命士、検査技師、放射線技師、理学療法士、それらの人的なソフト面と、患者受け入れ病院のハード面における体制整備と、そのネットワークのシミュレーションをどのようにするのか、どうお考えか、御所見をお伺いいたします。
次に、治水や防災対策諸般について質問いたします。
災害に関係しまして、このたびの福知山市、綾部市の水害を見ますと、従来であれば考えられない局地的豪雨が続いたため、排水が間に合わずに生じたものと考えられます。温暖化により気候が亜熱帯化してきているための気象現象だとすると、ことしだけでなく今後も毎年続くものと考えられます。そうしますと、今後の防災対策の一つとして、市街地における排水路の再検討と再整備が必要と思われます。雨水対策において大きな役割を果たす下水道における浸水対策については、市町村が整備を進めることとなりますが、京都府からの支援も必要ということで、今後の対策について先週の代表質問や一般質問での各質問に対する御答弁をおおむね聞かせていただきましたが、さらに府民の安心・安全を第一に掲げる本府行政の立ち位置はどうなのか、御所見をお伺いいたしたいと思います。
次に、京都市内の中心を流れる鴨川の治水対策についてであります。
平成25年の台風18号で、鴨川の伏見区下鳥羽で越水したことは記憶に新しいところである中、繁華街を流れる鴨川が氾濫すれば甚大な被害を及ぼすことになります。かつては昭和10年6月の豪雨により起きた鴨川大洪水においては、鴨川から水があふれ、家屋や橋梁が流出するなどの大災害をこうむりました。100棟を超える家屋流出、2万4,000棟を超える床上・床下浸水等の大きな被害を受け、それを契機として本府は抜本的な河川改修計画を進めてまいりましたが、今後も予期せぬ集中豪雨等にも鴨川からの浸水被害を受けない整備水準に高めていかなければならないと思っております。
治水や河川管理という点に、特に京都府に対して求められる備えは、京都市からも大きなものがあります。本府は30年に一度の大雨に耐えられるよう河川改修を進められていると伺っておりますが、近年の豪雨災害を目の当たりにすると、災害に備える必要が喫緊にあると存じます。鴨川の治水対策について、現在どのような取り組みを行っているのか、また今後どのように進めていくのか、お伺いをいたします。
次に、災害時の京都市との連携、防災訓練についてお尋ねをします。
去る8月30日、京都市では東山区の高台寺地域、清水寺地域、京都国立博物館地域などを会場にして、花折断層を震源とする地震が発生したとの想定のもとに、総合防災訓練が実施されたところであります。
これは、平成26年度京都市総合防災訓練でありまして、「自らの身の安全は自らが守る」「自らのまちは自らが守る」という地域防災計画の基本理念をもとに、東山区一帯を訓練会場とした市民、事業所、地域及び防災関係機関による自助・共助・公助の役割分担と、相互の連携に基づく総合防災訓練を実施し、東日本大震災の教訓を踏まえた防災体制のより一層の強化を図ることを目的としており、東日本大震災を教訓としたこれまで取り組んできた課題に対応する訓練を住民主体で実施し、東山区民はもとより、他行政区訓練参加者の「我が事意識」の向上を目指し、あわせて防災力を支える関係機関の連携を強固にし、防災体制の万全を図るといった、そのような基本コンセプトに基づいた有意義な訓練でございました。
東山区は、京都市を代表する観光地であり、国宝や重要文化財が集積していることから、帰宅困難者対策、文化財防災などの訓練にも重点を置いて実施されたところであります。大勢の観光客の方が見守る中で、清水寺での放水による消火訓練の報道は、皆様の記憶にも新しいところであると思っております。
一たび甚大な災害が発生すれば、負傷者の救出・救助、自衛隊の災害派遣要請、広域応援の要請、避難所の開設・運営、食料品、飲料水など生活必需品の確保などの災害対応業務に加え、観光客の保護、文化財の保全といった、古都・京都に特有の対応も必要となりますが、京都市での大規模災害が発生した場合の府と市の役割分担や、府が果たすべき役割などについて、いかがお考えか、御所見をお伺いいたします。
次に、京都経済についてです。
4月の消費税引き上げ、原油や原材料費等の高騰に伴う対応についても、本府が当初予算、6月補正予算と切れ目なく対応されるなど、京都経済に対して細やかな目配りをされていることは非常に大事であると評価をしておる次第でございますが、まだまだ厳しい経済状況が続いていますことから、まず初めに、景気対策について質問したいと思います。
4月の消費税引き上げに伴う反動減の影響について、おおむね想定の範囲内との報道が数多くあった中、京都府内の景気動向について、せんだっての6月の予算特別委員会の総括質疑でも私も一度お聞きいたしましたが、その後の報道等を見ていますと、「緩やかな回復傾向にある」との内容も多くありますが、その歩みは遅く、「足踏み状態」との声も一方でお聞きします。これまでの駆け込み需要に伴う反動減は想定の範囲内であり、景気は順調に回復するといった楽観できる状況から少し変化が生じ、何らかの手だてを講じる必要があるのではないかという思いを最近持っております。
加えて8月になり、台風11号を初めとする豪雨災害が府内各地を襲い、多くの方が被災され、景気回復がより先の向こうに行ってしまったのではないかと実感をしておられる方々が多いのが実情ではないでしょうか。業種業態により景気の回復を実感できるタイミングは異なると思います。しかも、京都は中小企業・小売業が数多く、新聞報道の中心となるような大手企業の景気回復からはワンテンポおくれた形でその波がくるでしょうから、景気回復への対策をまだまだ講じる必要があるものと思っております。
私の地元であります東山区を中心に京都市内は多くの観光客でにぎわい、外国人観光客も多く見られ、消費が拡大しているのではないかと一見映りますが、実際はどのような状況となっているのか分析をしてみないといけないと思っております。
景気回復を実感するのはいろいろな指標があるでしょうが、わかりやすいのは消費行動であると思います。いわゆる、お財布のひもがどれだけ緩むのか。心理的にまだまだ景気回復が実感できない状況の中、支出をふやす行動はなかなかできにくいものでありますが、一方で消費活動が活発にならなければ小売業の景気は回復しませんし、ものづくりも回復しないわけであり、そのための手だてを京都府としても講じるべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。現在の経済状況の認識と消費活動を活発化させる方策についてどのようにお考えか、御所見をお伺いいたします。
あわせて、今後の京都経済の活性化についてお聞きしたいと思います。
このことも先週の代表質問で、おおむね御答弁は聞かせていただいてしまったものの、さらにお伺いいたします。7月に京都産業会館を建てかえ、京都経済センターを建設するとの発表がありました。けさの朝刊のとおり、今後の京都経済のさまざまな分野での中心としての役割が多く期待されるものでありますが、今後、建設に向けて多くのハードルを越えていかなければならないものと思っております。とりわけ行政と経済団体が協調して建設するという、他には見られないものであり、これからの行政の新たな取り組みであると大いに期待するものであります。そのためには、行政サイドであります府と市が経済界と一体となって取り組んでいくことが大切であります。
そこで、お聞きいたしますが、京都市とどのような形で協調されようとしているのか、資金面・機能面での府市の考え方についてはどのように考えておられるのか。先週の御答弁の中にも、「府と市が経済団体と連携し中小企業を支援していく」とおっしゃいましたが、行政としての立ち位置はどうするのか、その覚悟のほどをお聞かせください。
次に、東京オリンピックの文化プログラムについて質問をいたします。
この点につきましても、6月の予算特別委員会の総括質疑でも少し触れさせていただきました。来年が琳派400年に当たりますことから、その流れを生かし、琳派400年を1年限りの単なるイベントとせず、2020年の東京オリンピックにつなげていくべきとの思いから質問をさせていただいたとき、知事も「まさしくそのとおりだ」とおっしゃっていただきました。
最近では、まちの施設の中で琳派400年のプロモーションビデオを見ることもありまして、本阿弥光悦が光悦村を1615年に開いてから2015年で400年ですよとか、琳派とは何かとか、あと俵屋宗達、尾形光琳・乾山云々と、今ポスターを張ったり、幅広く紹介を受けていることで日本の美の一大水脈であるという存在感のアピールの準備が始まっているなということを実感しております。9月5日にも琳派400年に向けたシンポジウムも開催され、いよいよ琳派関連事業も本格化してくれるものと期待しております。
そのような中、繰り返しになりますが2020年に開催されます東京オリンピックの文化プログラムが2016年から事実上始まることとなります。時間はあるようで短く、2016年からの取り組みは、来年度には準備に入る必要があります。また、2016年からの取り組みの仕上げが2020年東京オリンピックでの文化プログラムでありますから、毎年、実施事業は異なるものであるかもしれませんが、それは一つの流れとなって進められるべきものであると思っております。
そうであれば、来年2015年はいろいろな意味で仕込みの年になります。そのためには、既に東京オリンピックまでの企画案的なものがあり、来年度の予算獲得に向けての下準備が進められていないと、場当たり的な催しの繰り返しになるのではないかと危惧しております。せっかく京都で文化プログラムを行うのであれば、世界に対し世界中の衣食住、美術、工芸、技術品に影響を与えてきた京都の文化力、また、それらを裏打ちする日本人の美意識、世界観を京都から世界にしっかりと発信し、このすばらしい日本の文化の確固たる地位を知らしめていくことが大事であると思っております。文化プログラムの進捗状況、コンセプト等、現在の状況について御所見をお伺いいたします。
以上をもちまして質問を終了いたします。
御清聴、まことにありがとうございました。(拍手)
◯議長(多賀久雄君)
山田知事。
〔知事山田啓二君登壇〕