◯田中委員長
間もなく午後5時になりますが、このまま審査を続けますので御了承を願います。
◯荒巻委員
私は、伝統産業(伝産)の中で陶磁器産業の立て直しについて質問させていただきます。
議員になって8年間ずっと山下副知事が部長のときから訴え続けて、伝産の基盤強化の対策に関しては本当に御尽力いただいているし、PRに関しても、また工芸展の開催にしても、いずれにしても本当にいい形で盛況にしてすばらしいプロモーションをしてきているなという点はもう本当に感謝をしています。今ちょうど琳派と絡める形での補助事業もありますし、また和食が世界遺産ということで、まさに日本の文化を支えてきたのは京文化、今また世界の中でも最も行きたい都市ナンバーワンに京都が選ばれて、京都には入洛者5,000万人という中で、その半分の2,500万人が清水とかあの辺に行っている計算になるんですが、そこを拠点とするこの伝統産業が、日本を代表する産業に育ってほしいと私はずっと願って、皆さん、山下副知事もそのように思ってやっていただいているんですけれども、まだその実りが出てこないのはなぜなのか、今、認識を聞かせていただきたいと思います。
◯岡本商工労働観光部長
きのう去る表彰者の祝賀会があったんですが、京都市さんの条例のおかげで日本酒で乾杯というのが最近すっかり定着しています。そのときに、乾杯する器が何であったかというと、先生方もよくホテルでそういうのがあるときに感づかれると思いますが、残念ながらガラスのコップである場合が多いですね。そこでどうして日本酒のおちょこで乾杯できないのかな、足元でそういうことができないのかなと、そういうところから私どももう少し一生懸命やっていかないと僕らが望んでいる京焼・清水焼の発展というのはないのではないかなと思います。そういったことと、本当に、先ほども二之湯委員の質問にありましたが、マーケットが求めている、バイヤーが求めている京焼・清水焼の器というのがありますし、そういったところをきっちりお話を聞いて売っていく、ものづくりを進めていくというところにもっと力を注いでいきたいし、今までとは全然違うような形で産地の構造を変えるぐらいの覚悟で業界の方とも協議会をつくらせていただいて、これからの京焼・清水焼をどうやってやっていくんや、ものづくりから売るところまで含めて真剣に議論をさせていただきたいなということもありまして、伝統産業再構築支援事業という予算をお願いしているのですけれども、その中の一つのテーマとして京焼・清水焼を取り上げて新しい方法を考えていきたいと思っています。
◯荒巻委員
確かに消費も減少傾向の中で、日本酒にちなんでという形もありますし、そもそもライフスタイルが変容してしまったことで消費が減少してきたのはこの数年の流れでしたけれども、そこを復元していこうということ、また原点回帰の中で使っていこうというそのムーブメントは非常に大事だと思います。じゃあ生産者のほうで全員が厳しいわけではなくて、京都府も頑張って世界でも展示してくださっているからだと思いますけれども、ちゃんと世界の富裕層の人たちの購買があると、買ってくれるということです。だからあれは何かマーケットインという発想というか、プロダクトアウトしたものがこれはすばらしいという付加価値を本当に理解しているかわからないうちに富裕層の人はもう勢いで買っているところもあるんで、そこのセオリーというのは実はわかってないんですよ。それがわかれば多分みんなある程度の産業育成はできる一つの手がかりやヒントにもなると思いますが、現状、今この業界を何とかしたいというのは卸の人たちが小売業者に対して、毎回季節ごとの展示会の発注の場で今どんどんお客さんが減っていくし、消費も見合わせている、発注が少ないという中で、それと並行してじゃあいいものをつくれといってもつくれるだけの生産体制もない、生産者中を見渡しても一部そういう富裕層相手の特化した人たちが売れているだけで、ほとんどの人がうちらの京焼・清水焼のエリアだったら200ぐらいの中小企業が、従業員5人以下の零細企業とかも入れたら300ぐらいになると思いますけれども、まとまって何かしたいとか思うけれどもどうしたらいいのかという、多分組織的に中核になる人材や何か、そういうプラットホームを、意欲を醸成させるものを何かつくってあげないと、こっちは待ち構えてどうぞと、「いろいろな制度を用意していますよ」といっても向こうがその綱引きの綱を引けない状態で、これはもう衰退していくような気がするんですよね。陶磁器市も夏にやっていたり、春もやっていますが、もう見ていたらプロパーの品が本来ある中で掘り出し物が、「あ、こんないいものが残っていた」と言って買うものが、もうあらかじめバーゲン品をつくっているかのような状態で今、展開しているんで、もうほんまに疲弊しているなというのがよくわかるんですよね。だから、今、背景としていろいろこの日本文化、特にそれを支えた京文化、それに付随する食文化に不可欠な陶磁器というもの、また別にお茶やお花やいろいろなものに転化できる可能性もあるものを、何かもう少し生産者側に何かアドバイスやこういう方向にしていってという立て直しを働きかける部分と、あと京都府自体が何かインフォメーションを、これだけ多くの人が来てくれるという中で、京焼・清水焼がいっぱいあるがどこにどういう作陶家がいて、そのお店があって、どこにそういう窯があるかとか、そういうインフォメーションがないのもネックなのかなというように地元に住んでると思ってしまうんですけれども、その辺の何か課題と展望を最後に聞かせていただいて質問を終わります。
◯岡本商工労働観光部長
委員がおっしゃるとおり、卸のプロデュース機能の弱体化とかいろいろな要素がありますし、実際、多くの方はなかなか厳しい状況にあっても、一部の作家の方は全然困ってはらへんというのも現実問題としてあるのです。先ほど申し上げましたが、例えばホテルで乾杯するときに、あるいは外食チェーンで京焼・清水焼を使っていただこうとすると、ある程度同じ物をいっぱいつくるとか、そういったことも必要になってくると思います。今のところ、どちらかというとそういう方向ではなしに作家としてやっていこうという方が多いように見受けられるのですが、そこらあたりでは委員おっしゃるとおり産業としての限界が恐らくあると思いますので、先ほど申し上げました伝統産業再構築支援事業の中で、例えば共同工房のようなものをつくって、それで品ぞろえをやって量をはけるところで活用していただくとか、販路を求めるとか、一つはそういうことも考えられると思いますが、それも含めて、業界もかなり弱くなってきているのが現実だと思いますので、そこらあたりとしっかりと議論をさせていただいて、京焼・清水焼産地が将来に向かって維持されて伸びていくような仕組みを皆さんと納得ずくでどういうように構築していくかというのを真剣にその事業の中で協議をさせていただいて具体的なチャレンジまで進められるように取り組んでいきたいなと思っています。
◯荒巻委員
きちんと中小零細企業をまとめ上げて、入洛者に対するきちんとしたインフォメーションができたら、もう本当に日本を代表する産業に化けると僕は思っていますので、ぜひそこの重点化を最後にお願いして、終わります。
◯田中委員長
時間は11分です。