平成27年6月定例会

◯議長(植田喜裕君)
次に、日程第2、一般質問を行います。
まず、荒巻隆三君に発言を許します。荒巻隆三君。
〔荒巻隆三君登壇〕(拍手)

◯荒巻隆三
自由民主京都府議会議員団の荒巻隆三でございます。数点にわたり、知事並びに関係理事者に質問をいたします。明快な御答弁をお願いいたします。
議長のお許しを得て、一言申し上げます。
本日は大祓式が御斎行され、あしたよりはここ京都にて祇園祭の始まりを告げる吉符入りが行われ、7月の1カ月間、日本の三大祭りの1つである祇園祭の幕が開けます。京都を災厄から守り、国家の安寧を祈りつつ、しきたりやならわしをいちずに守って、美しく、風情ある京都の夏の催しに微力ながら貢献してまいりたいと思います。
まず初めに、琳派400年と伝統産業の振興についてお伺いいたします。
我々は先人たちの偉業に敬服し、琳派とは何ぞや、そして今にどう紡ぐか。伝統産業の振興も踏まえ、正しく認識しなくてはならないし、受け継いだものを糧とし、我々現代人も芸術性に精通し、成長する使命があると私は思っております。
理解の仕方は個々人に委ねますが、1615年に本阿弥光悦が徳川家康より京都洛北の鷹峯の土地を拝領してから400年のことし、京都国立博物館や京都文化博物館を初め、京都市内各地で琳派をテーマにしたさまざまな催し事や展覧会が行われております。琳派補助事業の応募が殺到したことが話題に上がったり、祇園祭が御斎行される祇園商店街の振興組合が3月に、八坂神社を中心に円山公園等で秀吉公の時代をほうふつとさせる大茶会をにぎにぎしく盛会に開催させるなど、各地で琳派400年は盛り上がりを見せています。この秋には10月10日から11月23日まで京都国立博物館で「大琳派展」が開催されることから、秋の観光シーズンとも重なり、琳派400年のさまざまな催しは一層注目を集めるものと思います。
一方、琳派はそのすぐれたデザイン性から、着物や陶磁器のデザインはもちろん、食やしつらえなど生活文化の中にも息づいているものであり、美術館や博物館の中でこれまでの琳派を楽しむだけでなく、その理念を京都の伝統産業や伝統工芸の振興に結びつけ、現代に息づく琳派として取り組んでいくことも必要であります。
生活の洋風化の進展などの影響もあり、伝統産業の需要は減少を続けていますが、この琳派400年を契機に、現代の生活にマッチする新たな創作活動によって、京都の伝統工芸品のデザイン性や品質を国内外から京都を訪れる多くの方々に再度見直していただくだけでなく、京都の方のふだんの生活の中にも改めて日本のものづくりの原点とも言える京都の伝統産業産品の需要に結びつけていく取り組みが必要と考えております。琳派400年のクライマックスを迎える秋に向けて、伝統産業の需要拡大にどのように取り組まれようとしているのか、お伺いをいたします。
また、伝統産業の需要拡大のためには従来どおりの製品をつくり続けるのではなく、琳派のデザイン性を現代に生かしながら、消費者やマーケットに受け入れられる新たな商品づくりが必須です。
昨年7月の予算特別委員会総括質疑において、私は琳派を契機に新たな「クール京都」として、商品開発を進めていく取り組みの必要性について質問させていただきました。その後、陶磁器業界の若手職人グループでは京都府の支援も受けながら飲食店とのコラボレーションに取り組まれ、飲食店のニーズに合ったデザインや機能を備えた新たな京焼・清水焼の器の共同開発に結びつけるというような事例も出てきております。若手職人の皆さんは「何回も試作を繰り返しながら、つくり手側だけでは気づかなかった飲食店側や顧客満足のリアルなニーズを学ぶきっかけとなり、大変勉強になった」と言っておられます。
琳派は標榜して再現することではなく、スタイルを踏まえつつも定義することなく、新たな試みへ挑む姿勢に立ち返ることが原点であることをおのおののアーティストが再考し、今のこの時代に新しい価値創造を行ってくれる伝統産業の人材を支援し、育成していかねばならないと思いましたし、京都にとってもさらなる魅力の発信となる琳派400年事業であります。
世界中の美術、工芸、さらには衣食住に影響を与えてきた日本の文化力など裏打ちしてきた京都の美意識や世界観を京都から世界にきちんと発信し、このすばらしい日本の文化の確固たる地位を知らしめていくことが大事であると考えております。この琳派400年をきっかけとしたこのような成功例を単発で終わらせることなく、継続させていく必要があると考えますが、どのように取り組まれようとされているのか、お伺いいたします。
次に、がん対策推進についてお伺いいたします。
府民の健康を守るため、がん対策の体制構築は喫緊の課題であります。がんは府民の死亡原因の第1位であり、毎年7,000人を超える府民の皆様ががんで亡くなられております。一生のうちにがんにかかる割合は男性で50%以上、女性は約40%と言われており、府民の生命や健康にとって大きな脅威となっております。特に加齢によりがんは発生リスクが高まることから、高齢化社会を迎える中で、がんになる方は増加していくことが予測されます。
最先端がん治療研究施設について、本府は日本電産会長兼社長の永守氏の寄附により、京都府立医科大学に最先端の陽子線がん治療施設を建設するとしてくださいました。治療施設が開設される折には、この粒子線治療を含むがん診療部門に専門医を置き、最先端のがん医療の提供体制を整備することで、若手医師やこれらの最先端治療機器の運用に取り組む人材の育成が可能となることは、まさに医科大学としての役割を果たすことに大きく貢献することと期待をいたしております。
このたびの陽子線がん治療施設の建設に当たって、いただく寄附の総額は70億円で、2017年に完成予定と京都府内で初めての陽子線治療施設になるとしており、本府は府民を対象に治療費を他の一般の施設よりも安く設定する方向で検討を開始していくとのことであります。このことは実にありがたいことで、府民が最先端治療機器の恩恵を受けるに当たり、容易ではない高額な治療を安価で提供してもらえることはもとより、建設に当たっても府民の税金による設置という選択ではなく、70億円の御寄附を賜ったという民間からの浄財での建設を実現できる運びになったことの意義の深さについて、そこまでの本府関係者の並々ならぬ御尽力、さまざまに乗り越えなければならない御事情もあったとお察しいたします。
陽子線治療施設は地上4階地下1階とし、1台から2台の陽子線治療装置と臓器の動きを追尾できる高精度放射線治療装置を併設すると検討されており、また、敷地内での容積率確保に向けて、敷地をまたがってきた都市計画道路下のライフラインの移動等、府市協調、京都市や関係機関等との調整が整ったため、建設予定地に係る水道管等の公共インフラの移設や整地費を今議会で予算計上されるなど、整備が具体的に進められようとしておりますが、今後の整備スケジュールはどうなっているのか、そして当施設で取り組まれる治療やその効果はどのようなものになる予定かをお伺いいたします。
永守氏の「京都で生まれ育って創業し、京都に何か恩返しをしたいと考え、大勢の方に貢献できるよい寄附ができるならば」とのお言葉に深い敬意と感謝の意を表しますと同時に、その永守氏が御希望なさった陽子線治療機器を府民の皆様にきちんと役に立たせる責務を果たさなければならないと思っております。陽子線治療は一般には280万円程度かかりますが、府民には数十万円から100万円近く安価に設定しようと検討に御尽力いただくことに感謝を申し上げる次第であります。
そして、いつも申して恐縮ですが、最先端がん治療のできる京都府立医大への期待について、京都府以外ではがんの陽子線治療・炭素線治療は既に行われており、取り入れていない府県では具体的な設置計画が進んでいると聞いております。陽子線・炭素線治療は1カ所に限局しているがんに対してのみの治療であるのに対して、ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)はがん細胞のみを破壊して正常細胞には全く影響を及ぼさないという、今までの粒子線治療とは原理的に全く異なる治療法でありまして、散在性に転移している転移巣も治療できるという超高性能ながん治療機器であります。
近々、東京の国立がん研究センター中央病院でBNCTの臨床試験が開始され、薬事申請へと運び、間もなく運用が開始されるであろうと聞き及んでおります。これまでのBNCTは低エネルギー中性子源として原子炉施設が必要とされ、巨大性と安全性の問題で普及不可とされてきましたが、加速器を用いた核物質必要なしの超小型化で、高い安全性による低エネルギー中性子源の開発により、高い普及性かつ低コストな治療機器として、より完成度を高めつつ、日本発の日本の独自技術による世界的な普及が期待されております。
一昨年の6月定例会の質問ではコストが100億円と申しておりましたが、科学の歩みは日進月歩であり、現在では40億円くらいにコストダウンしているとのことであります。京都のがん治療施設が関西圏でのおくれを取り戻し、陽子線のみにとどまらず、引き続きBNCTも京都府立医科大学に設置の検討を進めて、先駆けて世界で唯一の2つそろった最先端のがん医療の提供体制を整備して、府民がその恩恵を受けることができるなら殊さらにありがたく、京都府立医科大学としての世界に通じる人材育成は大いなる魅力でありますことを1点要望いたします。
続いて、胃がん予防事業についてもお伺いいたします。
2人に1人ががんにかかる時代にあって、胃がんは日本人が最も多くかかるがんで、死亡者数も肺がんに次いで2位であります。京都府内でも年間1,000人を超える方が胃がんによりお亡くなりになっておられます。
WHOによると、胃がんの約8割はピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)の感染が原因とされており、除菌により胃がんを予防することが重要と考えます。京都府では、今年度、胃がん予防事業として高校生や中高年層を対象としたピロリ菌検査のモデル事業に取り組んでいますが、その取り組み状況はどのようであるのか、また本事業を今後のがん予防対策にどう生かしていくのかをお伺いいたします。
次に、出水期に向けた水害対策の強化についてです。
京都府では、平成24年南部豪雨で堤防が決壊した宇治市の弥陀次郎川や平成25年台風18号では南丹市の園部川で大きな浸水被害が発生したのを初め、由良川や桂川の直轄区間でも浸水被害が発生しました。さらに平成26年8月豪雨では福知山市の弘法川、法川で大きな浸水被害が発生するなど、3年連続して豪雨による甚大な被害を受けております。
このような状況の中で今年度の出水期を迎え、府民の安心・安全を確保していくに当たり、これらの河川のその後の対応についてどうなっているのか、また出水期に備えてどのような対策をとっているのかをお伺いいたします。
国では本年1月に土砂災害防止法の改正、5月に水防法の改正が国会で可決されるなど、防災に関する法律改正が行われております。土砂災害防止法に関しては、土砂災害から国民の生命及び身体を保護するため、都道府県に対する警戒区域等の基礎調査結果の公表や、土砂災害警戒情報の市町村長への通知及び一般への周知の義務づけなどが規定されたものであり、また、水防法に関しては多発する浸水被害への対応を図るため、現行の河川洪水に係る浸水想定区域について、想定し得る最大規模の降雨を前提とした区域に拡充するとともに、新たに内水及び高潮に係る浸水想定区域制度を設けることなどが規定されたところであります。
このように豪雨から住民の生命及び身体を守るためには、適切な情報の提供や市町村と協力した住民への周知と府民の防災意識を向上させるための啓発活動などが重要と考えられます。本府においては情報提供などのソフト対策について、ことしの出水期に向けてどのような対策を考えているのか。またこうした防災対策のさらなる充実が必要と思われますが、今後どのように取り組みを行っていくのか。中でも多くの人口・資産のある京都市の中心部を流れる鴨川について、府市の役割分担と相互の連携に基づく体制強化を図り、住民の命や財産、日本の誇る文化財、観光客の安全を守るといった古都・京都に特有の対応も必要となりますが、さらに精緻に、的確に本府として果たすべき役割を担っていただくよう求めます。
昭和10年6月の大豪雨により起きた鴨川大洪水においては鴨川から水があふれ、家屋や橋梁が流出するなどの大災害をこうむりました。100棟を超える家屋流出、2万4,000棟を超える床上・床下浸水等の大きな被害を受け、それを契機として本府は抜本的な河川改修計画を進めてまいりましたが、今後も予期せぬ集中豪雨等でも鴨川からの浸水被害を受けない整備水準に高めていかなければならないと考えます。過去の教訓に加え、また2年前の台風18号の教訓も生かし、防災・減災に係る想定についてどのような対策を考えているのかをお伺いいたします。
以上をもちまして、私の質問を終わります。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)

◯議長(植田喜裕君)
山田知事。
〔知事山田啓二君登壇〕

知事(山田啓二君)
荒巻議員の御質問にお答えいたします。
琳派400年を契機とした伝統産業の需要拡大についてでありますが、京もの工芸品は非常に品質にすぐれるものの、洋風化した現代の生活スタイルの中で機能性が発揮されているのかとか、その点からいって消費者ニーズとマッチしているのかというと、そのあたりで大きな問題を抱えている中で生産額は年々減少しております。京もの工芸品に息づく琳派を初めとした伝統的な美意識は本当にすばらしいものがありまして、こうした質の高さを現代の生活における機能性との間でどういう形でバランスをとるかということが新たな展開軸になろうかと思っております。まさにデザインとは機能性と美の融合ではないかと思いますので、すぐれた工芸芸術でもあった琳派に対する期待というのは、新しいデザインをつくることによってさらに高まっていると思います。琳派400年のことし、京もの工芸品の復権につなげるためには単に過去の模倣ではなく、こうした機能美を持って生活の中に入っていけるものづくりと販路開拓に取り組むことが必要であると考えております。
したがって、こうしたものづくりについて、消費者ニーズを把握したマーケットクリエーターと中小企業等による新商品開発を支援するとともに、昨年度、陶磁器業界の若手グループと飲食店がコラボいたしまして、まさに清水焼をそうした飲食店で使っていただくという形の成功例がございます。これは生産側とユーザーが一体となった体制をつくってきたことが成功に結びついたと思っております。今年度はこの例を生かして、府と業界団体が一体となって、飲食店等で京もの工芸品が広く使用されるシステムづくりを進めているところであります。また、既に京都の生活情報誌と連携し、京都市内の有名菓子店や町家日本料理店などと協働した器の開発に取り組んでいるところであります。
販路開拓については地元飲食店等を対象とした取り組みのほか、この秋に「大琳派祭」として京もの工芸品の魅力発信と販売促進のキャンペーンを展開してまいります。府内一円で産地組合、商店街、百貨店等とも連携した琳派新商品などの展示販売会の開催、京もの工芸品の購入に使えるプレミアム商品券の発行などを行いますとともに、琳派をテーマとした展覧会が開催される京都国立博物館とその周辺で、西陣織や京友禅の技術を生かした衣装による「琳派ファッションショー」、プロのコーディネートによる京焼・清水焼などを生かした「テーブルウエアフェスティバル」などを開催することにより、琳派の息吹が機能美として表現された京もの工芸品を発信し、ブランドイメージを高めていきたいと思っております。
また、先日訪問したミラノでの展示販売やASEAN各国での物産展開催、さらには首都圏での「琳派400年記念京都知恵産業フェア2015」の開催などを通じて、国内外でも京もの工芸品の質の高さをこれから発信していきたいと思います。
そしてさらに、こうした新商品開発や販路拡大の支援に加え、生産基盤に対する支援、人材育成、分業化された生産工程の見直しや維持に向けた協議会の設立等を通じ、今後とも伝統産業の振興に全力で取り組んでまいりたいと思います。
その他の御質問につきましては、関係理事者から答弁させていただきます。

◯議長(植田喜裕君)
森下文化スポーツ部長。
〔文化スポーツ部長森下徹君登壇〕

文化スポーツ部長(森下徹君)
最先端がん治療研究施設の整備についてでありますが、昨年、永守日本電産会長兼社長から京都府に対して施設及び機器の寄附の申し出をいただき、府立医科大学の敷地内に建設するため、関係機関などとの調整を進めてきたところでありますが、今般、協議が整いましたので、建設予定地である附属病院駐車場に隣接する市道のつけかえ等に伴う水道管等の公共インフラの移設や整地等に着手するため、本議会で関係の予算をお願いしているところであります。
今後の整備スケジュールにつきましては、予算の御議決をいただいた後、府において公共インフラの移設や整地等に着手し、それを終えた後、10月には日本電産側において本体施設の建設工事に着工され、2機の陽子線治療機器の発注なども行い、平成29年9月の完成に向け、整備を進めることとなっております。
当施設で行う治療や効果につきましては、動く臓器にも対応し、がん病巣に集中して照射できるため治療効果が高く、正常組織への障害が少ないこと、治療に伴う痛みが少なく、乳児から高齢者までの治療に適する上、副作用も低減できること、手術と比較して身体にかかる負担も少なく、日帰り治療が可能であるため通院治療もできること、化学療法や温熱療法などの治療法と組み合わせて行う集学的治療が可能となり、治療効果が向上すること、そして2機の陽子線治療機器を設けることで患者の治療がスムーズに行われ、またメンテナンス等による休止期間がないなど効率的な治療が行えることなど、これまでの次元を超えた大きながん治療効果が期待されております。
今回の施設整備を機にがん診療連携拠点病院・小児がん拠点病院として、さらに高度ながんの治療・研究を行い、世界トップレベルの医療の提供に取り組んでまいります。

議長(植田喜裕君)
松村健康福祉部長。
〔健康福祉部長松村淳子君登壇〕

健康福祉部長(松村淳子君)
胃がん予防対策についてでありますが、胃がんの約8割はピロリ菌の持続感染による胃の萎縮が原因との報告があることから、京都府では全国初となる取り組みとして、若年層において効果的なピロリ菌感染の早期把握と除菌治療のため、今年度3カ所の高校の1年生を対象に尿中ピロリ菌抗体検査を実施し、陽性者に対しては府立医大の協力を得て、治療へとつなげているところです。
また、ピロリ菌に数十年感染されている中高年層に対してはピロリ菌抗体と胃の萎縮度の検査を組み合わせ、胃がんのハイリスク者をスクリーニングし、精密検査や除菌治療を促す市町村モデル事業に取り組んでいるところです。
今後、これらの検診結果や治療結果を踏まえ、胃がん予防のための体系的で効果的な検診システムの検討を進めてまいりたいと考えております。

議長(植田喜裕君)
東川建設交通部長。
〔建設交通部長東川直正君登壇〕

建設交通部長(東川直正君) 
被害を受けた河川への対応、また出水期に向けての対応についてでございますけれども、平成24年に被災いたしました弥陀次郎川につきましては、ことし5月末までに天井川区間の540メートルの切り下げ工事を完了いたしました。引き続き上流の河川改修を進める一方、平成25年に被災した園部川については、南丹市横田地区の決壊箇所約30メートルの復旧を昨年の出水期までに完了したところでございます。
国が管理する区間の緊急治水対策としては、由良川において、平成25年度からおおむね10年以内に下流部の宅地かさ上げを320戸、輪中堤3カ所の整備、また中流部で連続堤等6.8キロメートルの整備を目標として、現在、用地買収のための測量・設計などが進められているところでございます。
また、桂川においても平成25年度からおおむね5年間で、伏見区久我地区や溢水で周辺旅館等が浸水した嵐山地区において約100万立方メートルの河道掘削を行う予定であり、これまでに約27万立方メートルについて掘削を終えたところでございます。
また、平成26年8月豪雨で甚大な被害を受けた福知山市の弘法川、法川につきましては、被災直後から国、府、福知山市の3者が協議会を設置いたしまして、総合的な治水対策を取りまとめ、今年度からおおむね5年間で対策を実施していくこととしておりまして、京都府では今年度から弘法川、法川の河川改修、調整池、ポンプ施設等の整備に取り組んでいるところでございます。
なお、弘法川、法川につきましては緊急対策として平成26年度末までに流水の阻害となっている土砂のしゅんせつを完了し、河道断面の確保を実施したところでございます。
また、出水期を迎えるに当たり、天井川を初めとする重要河川の点検を行い、落差工の修繕など当面必要な補修や被害を受けた河川の堆積土砂を除去するとともに、水防活動時に必要となる土のうなどの水防資材の点検や、京都府と防災協定を締結している建設業協会などと緊急時の連絡体制を確認したところでございます。
しかしながら、ハード対策には時間を要することから、府民の皆様に水害から生命を守る適切な避難行動をとっていただくための情報提供・伝達などの体制を充実するソフト対策が重要と考えておりまして、去る5月の防災会議や知事・市町村長会議、京都府防災情報等の共有会議におきまして、国、京都府、市町村が力を合わせて災害予防型の対策を進めるとともに、防災意識の向上に向けて、府民に対する周知・啓発をすることを確認したところでございます。
ソフト対策といたしまして、3年連続となる大きな被災を受け、天井川や浸水被害を受けた河川などに雨量計6基、水位計37基、河川防災カメラ17基を増設するとともに、水防警報20河川、水位周知7河川を追加指定したところでございます。
また、本年1月の土砂災害防止法の改正に基づきまして、法施行の翌月には基礎調査結果の公表を行うとともに、その後も警戒区域などの指定を進め、3月末現在、最終指定見込みの約1万7,000カ所に対しまして、81%の1万3,877カ所を指定したところであり、今後も指定を鋭意進めていきたいと考えているところでございます。
また、こうした防災情報を広くホームページで府民の方々に提供することにより、適切な避難行動をとっていただけるよう、広報・啓発にも取り組んでまいる所存でございます。
鴨川についてでございますが、現在、河川整備計画に基づきまして、七条大橋より下流の築堤区間において低水路の拡幅などを実施しているところでございますけれども、流域の人口・資産等の集積状況、また近年頻発している集中豪雨などを踏まえまして、治水安全度のさらなる向上策について、京都市とも連携しつつ、検討を進めているところでございます。
また、ソフト対策につきましても、平成25年の台風18号による浸水被害を受けまして、下流の小枝橋に水位計を増設し、現在、雨量計5カ所、水位計9カ所、河川防災カメラ5カ所で警戒監視を行うとともに、水位の予測情報を府のホームページで順次更新し、広く府民の方々に提供しているところでございます。
本年7月に施行予定の改正水防法により、鴨川においても想定し得る最大規模の降雨を前提とした浸水想定区域の見直しが必要となることから、避難体制の整備を担当する京都市との連携をさらに強め、防災・減災対策の充実を図っていきたいと考えているところでございます。

あらまき隆三

荒巻隆三
(あらまきりゅうぞう)

  • 昭和47年10月27日
    京都市生まれ
  • 自民党府議団 代表幹事
  • 議会運営委員長
  • 京都地方税機構議会 議長
  • 京都実業団剣道連盟 会長
  • 京都府カヌー協会 会長
  • 元衆議院議員
  • 元株式会社ワコール社員

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