平成28年環境・建設交通常任委員会閉会中

所管事項の調査
下記のテーマについて、参考人から説明を聴取した後、質疑及び意見交換が行われた。
・琵琶湖・淀川水系における河川整備について

荒巻委員長
まず、所管事項の調査についてでありますが、本日のテーマは「琵琶湖・淀川水系における河川整備について」であり、参考人として、京都大学名誉教授の井上和也様に御出席をいただいております。
本日は、大変お忙しい中にもかかわらず、本委員会のために快く参考人をお引き受けいただき、まことにありがとうございます。感謝と御礼を申し上げます。
井上様におかれましては、河川工学、水理学を専門に御研究され、京都大学工学部助教授を経て、京都大学防災研究所教授を務められ、平成15年から平成17年までは同研究所長を併任されていたと伺っております。
また、京都府の木津川・桂川・宇治川圏域河川整備計画検討委員会に参画いただき、御尽力いただいているところであります。
本日は、そういった日ごろの御活動を踏まえたお話をお聞かせいただければと思いますので、何とぞ、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
それでは、参考人の御意見を拝聴いたしたいと思いますが、説明の準備が整うまで、しばらくお待ち願います。
井上様、御準備も整われましたならば、よろしくお願いいたします。

井上参考人
皆様、こんにちは。ただいま御紹介いただきました井上でございます。
きょうは、ここにありますように、「琵琶湖・淀川水系における河川整備について」ということで、私のお話をさせていただきます。
きょうの話の目次でありますが、ここにあるとおり、最近の京都府での水害実例、それからこれまでの河川整備事業、それから近年話題になっております降雨の変化ということについてお話ししまして、あと琵琶湖・淀川の河川整備についてと今後の課題についてお話しすることにいたします。
それでは、最初の話題であります最近の京都府の水害実例、これは皆様方、よく御承知のことと思いますが、最近、ここ10年ぐらいのものを一通り振り返ってみます。
ここにありますように、ここでは4つ、平成16年から平成26年までのものが挙がっております。これだけでは、少し印象に残りにくいかと思いますので、それぞれの水害について、印象的な図をこれから示していくことにします。
平成16年といいますと、今から10年少し前でありますが、このときの台風23号で京都府の由良川流域なんかで大きな被害を受けました。特に、この年は御承知のように台風が10個上陸した年でありまして、日本中の至るところで水害が起こりました。信濃川の支川であります五十嵐川であるとか、あるいは福井県の足羽川であるとか、そして最後のあたりで由良川に台風が来まして、一番、世間の耳目を集めたのは、バスの上で一晩、乗客の方が避難されたという事例であります。このバスの事故に関しましては、死傷者が発生しなかったのが不幸中の幸いであったと思っております。
それから、京都府の北のほうでありますが、宮津のほうで大手川、それから土砂災害なんかも起こっておりました。
それから、しばらく間があいたのですが、これが平成24年のものでありまして、これは、弥陀次郎川という川が宇治にあります天井川でありますが、そこが破堤しまして、あたり一帯が水浸しになったということであります。私はこのときはもう大学をやめておりましたですが、私の勤めておりました防災研究所も浸水したということで、当時の、私より後輩の先生方が非常に苦労されたと聞いております。
それから、天ヶ瀬ダムの下流のほうで、宇治川に入る川でありますが、志津川というところで、狭窄部で水があふれまして、お二人の方が亡くなっておられるという事例でありました。
それからもう一つは、古川といいまして、これは宇治のほうの川でありますが、非常によく氾濫する川であります。ここでも、浸水は起こっておりました。
その次は、その翌年でありますが、平成25年の台風18号であります。これは嵐山で浸水が発生したというので、新聞やテレビなんかで非常に大きく取り上げられた水害であります。
それからもう一つは、特別警報というのがこの年のたしか8月に制定されて、それからすぐにこれが第1号でありますが、発令された事例でありました。これは京都の北のほうの由良川で氾濫しまして、由良川のちょうど福知山と綾部の境目にあります私市という地域でありますが、ここで大規模な破堤氾濫が生じております。
それから、亀岡でも保津峡の入り口当たりで堰上げられた水があふれた。そして、少し特異な例でありますが、安祥寺川の水が東海道線のところをくぐってるんですが、そこでせきとめられてしまって、その水が地下鉄に入って、京都の地下鉄が、あれはどのぐらいですか、1週間か2週間ぐらい不通になったと思いますが、そういう水害であります。
それから、これは今から言えばおととしになりますが、感覚的には1年前でありますが、由良川で大規模な氾濫、氾濫といいますか、これは実はこのときの洪水の状況は、由良川本川そのものは、まだ若干余裕があったと聞いておりますが、由良川の水位が高いために、福知山市内に降った雨がうまく由良川にはけずに、福知山市内で大規模な浸水を起こしたと聞いております。
これにつきましては、後で触れますが、この水害を受けて、国と京都府、そして地元・福知山が連携されて、かなり根本的なといいますか、抜本的な対策をとられたと聞いております。
このような水害に対しまして、どのような河川整備が行われてきたかということであります。これはこれまでの河川整備でありますが、まずその前に、京都府の河川の状況についてお話ししておきたいと思います。
京都府には、そこに数が書いてありますが、394河川ありますが、大きく言いますと、国の直轄河川である淀川と由良川にはいるものがもう大部分でありまして、あと丹後のほうには、由良川、淀川とは関係のない二級河川があるという状況になっております。
それでまず、直轄区間でありますが、桂川、宇治川、木津川、それから天ヶ瀬ダム、これが京都の南部、山城地域につきましては、非常に大きい課題でありますが、そこの河川整備事業の例として、天ヶ瀬ダムの再開発事業というのが行われております。
天ヶ瀬ダムは、御承知のように昭和39年に竣工しておりますが、その後、もう少し水を出して、琵琶湖の水を早く流したいということがあるのだろうと思いますが、琵琶湖から天ヶ瀬ダムの間に至る流域ですね、その間のものを早く出したいということで、もう少し、水をダムからたくさん流せるようにしようと、ただ、このダムはゲートがついておりまして、最大で900立方メートルという、この数字はともかくとしまして、そのぐらいしか出ませんので、バイパスというんですか、ダムをバイパスしまして、水を下流にはこうという計画であります。
このようなダムをバイパスして、洪水をはくという例は、日本では珍しいのだろうと思います。この計画はかなり古くから上がっておるのですけれども、実は四国にあります川では、既に、たしか富郷ダムだったと思いますが、こういうものが実施されて、既にでき上がっております。工事的には非常に難しい工事でありまして、工事の実施はどのようにしてするのか、私はよく知りませんが、かなり難工事だろうと思っております。
それに、このように、宇治川の流量がふえますので、その下流の塔の島あたりでもう少し水を流せるようにしようということで、河川改修は行われたということになっております。
ただ、宇治川の塔の島のあたりは非常な景勝地、観光地でありますので、どのようにして景観を損なわずにそういうことができるかということで、非常に長い時間の議論が行われたということであります。
それから、桂川の府管理区間、保津峡より上流でありますが、これにつきましては、ここにありますように、今現在、いろいろ検討は行われているのですが、特に亀岡地区での浸水防止が図られると同時に、このあたりでは入る支川の改修が行われようとしております。
それから、先ほど申しました城陽、宇治の古川でありますが、古川につきましても、たびたび浸水被害が生じておりますので、河川改修が行われ、この右下にある図でありますが、このようにして、掘り下げると同時に、若干拡幅しまして、水はけをよくしようという工事が行われております。
それから、鴨川につきましては、特に下流部、この図は右側が北ですので、東海道線より下流が主になっていますが、そこのあたりの改修が行われているということで、堰がありましたものを撤去しまして、これはもう現在使われていない堰でありますので、撤去して、川の流れをよくしようということになっております。
それから、先ほど申し上げました福知山についてでありますが、由良川の本線は国が直轄でやっているところでありますが、福知山市内の弘法川であるとか、法川であるとか、そういう川について排水能力を高めようということで、国と京都府と福知山市が連携して、そこにありますように、国は排水機場、ポンプ場を整備します。府は支川の整備を行う、それから福知山市は貯留管であるとか、調節池であるとか、ポンプの整備等を行うということになっております。
それと同時に、福知山市がソフト対策として、ハザードマップであるとか、予報とか警報とかを迅速に確実に伝わるようにするということ、それから避難の方法などを福知山市が担当するという枠組みで治水が図られるということになっております。
それで、最近の雨の降り方についてのお話に移りたいと思いますが、これはしばしば、あちこちで出てきますが、地球温暖化によってどうなるかという、これは先のことで、非常にわかりにくい話でありますが、いろいろなシナリオがあって、0.3度から4.8度までと、随分幅のある話でありますが、上がるのではないかと見られております。
実際、我々がこの10年ぐらい、20年ぐらいになりますか、経験しているのでは、雨の降り方が少しこれまでとは違うなという気がしております。
一番最初は、あれは2000年の東海水害、名古屋で新川という川が破堤して、あふれましたが、あのあたりから、水害が多くなってきたような気がします。それから、最近のいろいろなテレビニュースなどを見ていますと、海外でも水害が非常にふえております。アメリカでは、ミシシッピー川があふれたという話がついこの間ありました。また、フランスなどもあちこちで随分あふれているようであります。
国際会議へ行って、この水害の話をやっていると、水害というのは、言い方は悪いですけれども、欧米では考えられないということを、1990代は海外の研究者はそういう言い方をよくしておったのです。しかし、そんなことはありませんで、ヨーロッパといえども、あるいはアメリカといえども、こういう影響は受けておって、水害が非常にふえてきておるようであります。
これは、日本の国についてでありますか、これはよくごらんになる図でありますが、雨の降り方が最近変わってきているということであります。1時間に50ミリ、青いほうが50ミリ、それからこちら側が80ミリの発生回数であります。これは、ある人に言わせれば、観測所がふえたから、数がふえるんだろうという言い方をする人がありますが、これは実は観測所の数のふえ方は補正してあります。ですから、正味ふえていると考えてよろしいのです。こちらの青色の50ミリというのは、普通、下水道とか、都市の排水などの計画のときに使う雨量が大体50ミリで、もちろん地域によって違うのですが、大体確率にして10分の1。10分の1というのは、10年に1回ぐらいから、5年に1回ぐらいの雨と言われているのですが、そういうものが随分ふえています。80ミリなんていうと、とんでもないというものでありますが、そういうものもふえています。これは統計的に有意の差があると見る人が多いようであります。最近では100ミリを超えることも、そんなに珍しくないようになっております。
それからもう一つ、考えておかなければならないのは、降雨域が、線状降水帯というのですか、こういう線状になりまして、それが次から次へやってくるものだから、1カ所に集中して非常にたくさんの雨が降るということになります。
そうなりますと、これが去年の夏の鬼怒川の氾濫でありますが、ちょうど、これが鬼怒川でして、こちら側は小貝川でありますが、この図面を見ますと、この上にちょうど降雨帯が重なって、これは下が南ですが、南から北のほうに向かって降雨がずっと降り続くという状況になっております。あれが逆向きに、北から南に雨域が動くと、もっと怖いことになります。上流のほうに降った雨が出てくるころに下流でもまた雨が降り出すと、重なるから、非常に怖いことになります。そういうことも考えておかなければならないと考えております。
雨の降り方がこういうふうに変わってきて、だから線状降水帯であるとか、非常に短時間で強い雨であるとか、そういうことが非常に目立っております。しかし、一方で流域全体に、言い方はよくないですが、腰を据えてどっさり降るという、昭和20年代、30年代によくあったような水害も考えておかなければならないということですので、我々は、例えばそういう短期集中型の雨にも対応しなければならないです。また、ある程度、雨量強度はそれほど強くはないですけれども、長時間、じっくりと降る雨も考えておかなければならない。その間にいろいろな幅がありますので、そういうものに対応できるように考える必要があると考えております。
もう一つ、考えておかなければならないのが土砂災害であります。河川そのものについては、これは行政の役割が違うので、砂防部とか、そういうところの役割になるので、我々が余り立ち入ることもできないのです。しかし、土砂災害というのは、しばしば発生しております。これは死者が出ますので、非常に恐ろしい災害であります。しかも、日本中至るところにそういう危険箇所があるということです。その上、私が思っておりますのは、京都は文化財というのが主に山麓地域にあります。山の麓にあるわけで、そういうところで土砂災害ということが発生したらどうなるかということも考えておかなければならないという京都特有の事情も、特殊な状況もあると思っております。
そういうことで、現在の琵琶湖・淀川の河川整備というのがどのようになっているかということでありますが、まず、琵琶湖・淀川流域の概況をお話ししますと、この図にありますように、淀川というのはこれです。淀川は本来はずっと行って、宇治川からこれを淀川、河川法的には淀川と言うらしいのです。しかし、通称的に言えば、木津川と宇治川と桂川がここで一緒になって淀川になると、我々はそういう感覚であります。いずれの、木津川にしても、宇治川にしても、桂川にしても、ちょうどこの上流部で狭窄ぶちといいますか、ぐっと縮まったところがある。例えば、よく御承知のように、桂川には保津峡という狭窄部があります。それから、宇治川には鹿跳といいますか、瀬田川のところに狭窄部があります。それから、木津川には岩倉峡という狭窄部があります。その狭窄部を経てここへ出てきて、ここで一緒になって下流へ行くということであります。
もう一つは、ここもある種の狭窄部とまでは言えませんけれども、非常に水の流れにくいところでもあります。こちら側が男山でありまして、こちら側が天王山であって、狭窄部というほど極端なことはないですけれども、かなり狭まっているところであります。
ここにこういう大きい3本の川がありますし、特に宇治川の上は、淀川流域の半分ぐらいを占める琵琶湖でありますので、この水が全部集まってくる。ですから、ここは非常に流れにくくなっておりまして、昔はここに小倉池という、一種の洪水に対する緩衝地といいますか、バッファみたいなものがありました。これが昭和10年代、戦争中の食料増産で埋め立てられまして、今は水田もかなり少なくなって、向島ニュータウンというようなことで、都市開発がされておりますが、あのあたりが水害については非常に厳しい場所であると私は思っております。
そういうぐあいに、それぞれ上流側に狭窄部があって、それで3本の大きい川が集まって淀川になっているというのが淀川の特徴の一つであります。そしてもう一つは、琵琶湖であります。琵琶湖という大きい淀川流域全体の約5割を占めるものがあるということであります。
そういう川は日本ではほかにはなくて、利根川なんかを見ても、利根川なんはすっと割合1本で行くような感じですけれども、よその川のことは……。
ですから、こういう特徴がありますから、河川整備をするにしても、いずれにしても、とにかく上・下流のバランスというのを考えなければうまくいかないと私は思っております。大体上流と下流では利害が相反します。洪水期には、こっちの琵琶湖のほうは、ここの水を早く出してほしいということで、瀬田川洗堰を全開にして、早く出していく、どんどん宇治川から淀川へ流してほしいと言います。そうすると、こちら側が川がもたないので、それはやめてくれということで、工事のときには、琵琶湖はとめてほしいというのが大阪側の言い分であります。
逆に渇水になりますと、水がなくなってきますと大阪のほうは水が欲しいですから、ここをあけて出してくれと、ところが滋賀県のほうは水を出すのは嫌だということで、常に利害が相反しております。ですから、淀川全体の治水なり、河川整備を考えるときには、上・下流のバランス、上・下流がよく話し合って、利害を調整していくということが非常に重要なことではないかと思っております。
もう一つ言えば、宇治川は、水平というのは少し極端ですが、勾配の非常に緩い川になっております。特に、宇治橋、JRの奈良線が宇治川を渡るところあたりですが、あの辺までは確かに宇治川の先陣争いなんかであるような急流なのですけれども、そこより下流は非常にフラットになりましてべたな川になります。ここで桂川と木津川から洪水が出てきますと、ここで水がせきとめられまして、宇治川は水位が非常に高くなります。水位は高くなりますけれども、水は全然流れていない、極端に言えば逆流する場合もあります。そういう川であります。それが昭和28年の台風13号、我々は5313と言うのですが、淀川については非常に基本的な工事、戦後最大の工事でありますが、そのときに向島のところで破堤しまして、先ほど言いました旧の小倉池のところが氾濫をしております。そのときには、ここの桂川とか木津川の水がこちら側を上っていって、そしてこっちの小倉池へ入っていくという現象が見られたと言われております。また、若干の追計算してみますと、そのようなことが明らかに出てまいります。ですから、3川の挙動をよく見ながらやらないと、淀川3川の合流部の河川計画はうまくいかないだろうと思います。特に、宇治川が難しいのではないかと思います。
宇治川がそういうことでありますから、仮に桂川のほうの整備が進みますと、ここの水がたくさん出てくると、宇治川はますますせきとめられて、流れにくくなるということが起こりますので、宇治川と桂川の間では、かなりトレードオフの利害があるだろうと思います。
もう一つの利害としまして、この琵琶湖であります。40年ぶりにというのは、あれは平成25年、おととしですか、全閉されました。もともとは、下流への水の出方を見ながら調整するというのが建前になっておりますが、このときは全閉された。それは、木津川、桂川からの水が多くて、その上に宇治川の水をかぶせると大阪がもたないということがあったのだろうと思います。
このときには、全閉したために浸水が生じたと、新聞などではそういう書かれ方をしておりましたが、御承知のように琵琶湖総合開発というのが行われまして、琵琶湖の周りには護岸堤というものがつくられております。これは高さが2.4メートル、琵琶湖の基準水位からして2.4メートルありまして、平成25年の台風18号では、水位は88センチだったから、理屈からいうと琵琶湖から水があふれるはずがありません。多分、琵琶湖の水位がある程度高かったために、琵琶湖に入る川の水がうまくはけずに浸水したのだろう。内水が浸水したのだろうと私は思っております。
いずれにしても、琵琶湖側もできるだけ水位を下げたいという要求があります。しかし、大阪側から見ると、桂川も木津川も宇治川も一遍に来るというのでは、大阪がもたないということが出てまいります。
現在の淀川水系河川整備計画は平成21年に策定されたもので、これは御承知のように、流域委員会ですったもんだした計画であります。しかし、でき上がりまして、現在、淀川水系河川整備計画において計画されている事業はここに書かれているとおりであります。ここに注釈が書かれていますように、保津峡の部分的な開削については、今後の水系の全体の河川整備の進捗を考慮して関係機関と連携し、その実施を検討するというぐあいに、非常に難しい書き方がされております。
今後の課題としましては、ハード的なものは、今まで申し上げたとおりです。しかし、これからは特にソフト的なものが重視されていくだろうと思います。総合治水対策ということで、いろいろ細かく水をためていこうと、一気に川に流さないでおこうと、これ以上川に負担をかけるのは、限界があるということで、できるだけそれぞれがためて、小規模でもよろしいですから、少しずつためて、少しでも川への負担を減らしていこうというのが総合治水、流域流出を抑制したり、あるいは貯留・浸透するということであります。
それからもう一つ、大事なのがソフト対策ということで、主に避難、大事なのは準備をしておくということと、それから情報を十分に出す。情報というのは洪水警報などのことでありますが、それを十分に出して、住民の方々に確実に伝わるようにしていく。それから早期の避難をするということです。住民目線のソフト対策ということで、今までは行政機関が避難指示なり避難勧告を出して避難をするというのが主であったのです。しかし、それだけですとタイミングがずれたり、おくれたりしますので、住民自身の判断で避難ができるようにしていかなければならないというのがこの考え方だろうと思います。
そのために、行政的に望まれるのは、住民がそういう判断をできるように、情報を出していく、それからふだんからそういう情報を提供しておくということが大事だろうと思っておとります。
ここにまとめてありますように、最後には流域全体で議論を深め、合意形成を図ることが重要であろうと思っております。
少し駆け足になって申しわけありません。私からのお話は以上とさせていただきます。どうもありがとうございました。

荒巻委員長
説明はお聞き及びのとおりでありますが、もとの状況に復するまでしばらくお待ち願います。
井上様、まことにありがとうございました。
本日の所管事項の調査におきましては、テーマについて、参考人も交えて委員間の活発な意見交換の場となるよう運営してまいりたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
それでは、御意見・御見解等がございましたら、御発言を願います。

井上委員
私は福知山選出で、大変水害が発生し、一昨年、2年続きで、今御説明にありましたように、私市から戸田にかけて氾濫したのです。いつもそのときに、下流域で問題になるのか、今、淀川水系と同じように、上流部の天ヶ瀬ダムの放流なのです。大野ダム。この放流の時期がけんけんがくがくなって、ここに写真にありますように、平成16年のときはぎりぎりまで放流しなかったということがあります。また、福知山の中・下流域の人は水害について少し聞くと、「大野ダムの放流によってこれだけつかったよ」とすぐなるのです。
しかし、浸水された方に、大野ダムがなかったら、2階以上につかってますよという説明をしたら、逆なでするもので、大野ダムがなかったらもっとひどい被害になっていますよという説明はさせてもらうのです。しかし、そんなことは耳に入らない、放流によって一気に来たということなのです。私もよくわからないのですけれども、毎秒、トンを放流したら水の勢いというのが淀川の場合もそうだと思うのですけれども、今の流れている水量の上を走って、いきなり水がいくものなのか、あれだけのごっつい氾濫のときに、大野ダムを放出して、それで一気に水位が上がるものなのかというところなのです。そこらあたりがよくわからないのです。

兎本副委員長
ぜひ、またそういうお力添えをよろしくお願い申し上げます。済みません、ありがとうございました。

荒巻委員長
井上様には、大変お忙しい中に、参考人として本委員会のために御出席をいただきまして、貴重な御意見を述べていただきましたことを心から感謝申し上げます。
災害に強い河川整備のあり方等、大変我々、これからの府政に役立てていける御意見を賜りました。本当に、重ねて御礼を申し上げます。
本日いただきました御意見につきましては、今後の委員会活動の参考にさせていただきたいと存じます。
また、理事者各位におかれましては、本日、各委員から出された御意見、御見解等について、今後の府政の推進に当たり、十分御留意いただき、府民のため、なお一層の創意工夫をされるよう、お願いをいたします。

今後の委員会運営
(1) 管外調査
1月18日(月)から19日(火)にかけて1泊2日で実施することとしていることが報告された。

(2) 出前議会
2月8日(月)に開催することとしていることが報告された。
なお、2月の閉会中の常任委員会については、出前議会の実施をもって代えることが了承された。

あらまき隆三

荒巻隆三
(あらまきりゅうぞう)

  • 昭和47年10月27日
    京都市生まれ
  • 自民党府議団 代表幹事
  • 議会運営委員長
  • 京都地方税機構議会 議長
  • 京都実業団剣道連盟 会長
  • 京都府カヌー協会 会長
  • 元衆議院議員
  • 元株式会社ワコール社員

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