平成30年6月定例会 (第4号)

◯議長(村田正治君)
次に、荒巻隆三君に発言を許します。荒巻隆三君。
〔荒巻隆三君登壇〕(拍手)

◯荒巻隆三君
自由民主党の荒巻隆三でございます。
 まず議長のお許しをいただきまして一言申し上げます。さきの大阪を震源とする地震におきまして御逝去なさいました皆様に心からの御冥福を申し上げ、そして被災なされました皆様に対して心からのお見舞いを申し上げたいと思います。早期の復旧に心から私たちも寄り添い、その実現に向け微力を尽くしていきたいと思っております。
 それでは、質問に移りたいと思います。
 まず初めに、京都府医療・福祉の充実について西脇知事に質問いたします。
 西脇知事は御就任以来、前例にとらわれないという進取の理念をもって、ともにつくる新時代の京都といった新しい知事として、公約にも掲げられたビジョンに、「医療・福祉の充実による安心として、永守記念最先端がん治療研究センターを核に京都府立医科大学附属病院を世界最先端のがん治療拠点へと発展させます」と力強く述べられ、また「健康寿命を延ばすため病気の発症を未然に防ぐ先制医療を導入するほか、地域で支え合う健康づくりに取り組みます」とも述べられ、知事の府民の暮らし、健康の安心・安全の充実に対する心強い意気込みを感じてやまない次第でございます。
 さらに踏み込んで、知事は府立医科大学に開設する永守記念最先端がん治療研究センターにおける陽子線治療施設について、昨日の代表質問にもございましたが、「府民割引制度の創設や医療ツーリズムの実施のほか、BNCT研究施設を民間企業と協働で整備し、府立医科大学を世界最先端のがん医療拠点にします」と宣言をしていただいたことに、私は常から本会議場の質問において進言させていただいていた府立医大の目指すべき、あるべき姿づくりにようやく近づきつつあるものと期待を大きく寄せます。
 さらに、公約では京都府立医科大学北部医療センターについても言及していただき、「PET-CT、リニアックを整備し、府北部地域における高度がん医療体制を構築します」ともされており、府域のどこにいても府民が先端医療の恩恵を受けることができるよう、重ねての北部医療センターを改めて名実のごとく与謝の海病院の延長線上のものとは違う北部の医療拠点、京都の府立医科大学であるのだと、その役割のあり方というものに対し、しっかりと御見識を向けていらっしゃるものと察し、知事には新しい時代の京都の医療政策に英断ある道筋を切り開いていってほしいものと存じ上げている次第でございます。
 また、知事は公約の中で、「府立医科大学附属病院・病棟整備プランを策定する」とされています。府立医科大学については永守記念センターやBNCT研究施設整備の後は新たな施設を建設する余地がないなどの物理的な制約などもあると思いますので、プラン策定に際しては、このような課題への検討も含め取り組んでいただくよう、これは要望しておきます。
 それでは、本府の医療政策において、いかに府立医大を支援していくのかについて質問をいたします。
 私が申し上げたいポイントは2点。大きくは1番、地域医療の提供体制の充実や地域医療人材の輩出であり、もう1つは2番目、先端医療の取り組みであると思っております。それでは知事にお伺いをいたします。
 まず、1番については北部医療センターが救急医療体制が完全に伴った大学病院として成り立つことであると私は思っております。もちろん、医師の増員や医師派遣の御尽力は承知しておりますし、救急診療の対応件数が附属病院化する前の約6割近い増加であることも成果としてはありがたいことではございます。しかし、常に申し上げているとおりに患者が豊岡に搬送されていたり、心臓は舞鶴共済病院、脳は舞鶴医療センターといった地域の医療機関との連携を進めることで対応している現状がパラドックスとして北部医療センターが北部医療センターになり得ず、単純に強化されただけの与謝の海病院、そこから脱却できずにおり、本分を、使命を果たせずにいる感が否めません。大学病院なのですから、そこで急性期の患者のオペができ、命や健康を守ることに加え、救急体制がきちんとあり、常勤の教授がそろっている、そこに学生が学び、未来の地域医療人材として力をつけていく、そういった流れが真っ当な大学病院であり、研修医制度はおろか、今後の専門医制度においては急性期のオペを行う能力を有する、その近隣の連携している医療機関に未来の人材が魅了され奪われていってしまう。そこのところ、正直、知事には京都府立医科大学北部医療センターのあるべき姿について御指南をしていただきたいと思っておりますがいかがでしょうか。
 いろいろな事情もありますが、10年前の枠組みが与謝の海が府立医大になってまで変わらないというのは、私としてはいささか疑問を感じます。府立医大の医師派遣が必要な医療機関には引き続き派遣をするべきと思いますが、続けるなら一旦、府立の分室である北部医療センターに配置し送るのが医療機関の連携を行う上でお互いによいのではないでしょうか。そこのところも含めお答えをいただきたく存じ上げます。
 2番目、最先端医療については大変ありがたい御篤志である永守記念最先端がん治療研究センターの設立に改めて永守氏をたたえたく、感謝にたえません。私は常々、知事が府立医科大学を世界最先端のがん医療拠点にしますと公約でうたわれたのと同じ思いで、がん医療拠点化を申し上げてまいりました。患者さんに身体的負担、経済的負担をかけず、最も効率よく、ピンポイントで正常細胞を傷つけず、がん細胞だけ破壊するホウ素中性子捕捉療法の設備を推薦し続けてきた私としては現段階でBNCT導入に向けた作業を開始してくれていることを高く評価しますし、永守氏が強くこだわられた陽子線の治療施設の稼働が、機器の採用を既存の陽子線の機器ではなく最新鋭の陽子線機器にしたゆえに厚労省の認可に今しばらくと、大変に稼働が待ち遠しいきょうこのごろではありますが、科学の進歩は日進月歩。このリード期間において今すべきは何か、公約に掲げられた世界最先端のがん医療拠点・府立医科大学の実現に向けどのように道筋を築かれていくのか知事にお伺いをいたします。
 府民割引制度の創設や医療ツーリズムの実施とは、知事としてはどのようなお考え方なのかもお聞かせ願えたら幸いに存じ上げます。
 そして、私としてはBNCTの次に早急に並行して取り組まなければならない先端医療が、がんゲノム医療であることをここに示し、推進していただきたいと思います。
 この春、知事はまだ候補者としてお忙しかったころと存じ上げますが、国の動きとして厚生労働省が我が国のがんゲノム医療を牽引していく、がんゲノム医療中核拠点病院として北海道大学病院、東北大学病院、国立がん研究センター東病院、慶應義塾大学病院、東京大学医学部附属病院、国立がん研究センター中央病院、名古屋大学医学部附属病院、京都大学医学部附属病院、大阪大学医学部附属病院、岡山大学病院、九州大学病院、以上11の病院が指定されたわけであります。
 がんゲノム治療とは、一人一人の遺伝子異常に基づくがん治療法であり、がんの発症に強く関連した数百種類の個々人の遺伝子について検査をします。例えばで申しますと、乳がんを例にします。BRCA1・2遺伝子という遺伝子があり、遺伝性乳がんの原因遺伝子であるとして知られております。BRCA1・2遺伝子変異陽性患者には、抗がん剤のうちPARP阻害剤が有効性が高いと研究されています。
 このように、がん組織や血液中の多数の遺伝子変異を調べて、その人に合った治療薬である抗がん剤を探す方法に関心が高まっておるのが最新のがん治療の一つであり、この方法ががんゲノム治療と呼ばれております。平たく言えば、がん組織の114種類の遺伝子変異を調べ、その患者に合った抗がん剤を選んで治療すれば、それは大きな利点として、1種類だけでの投薬の有効率が飛躍的に上昇し、同時に無駄な投薬をなくし、医療費用の抑制にもつながる。体に合わない投薬をなくすことで抗がん剤の副作用による患者の負担の軽減ともなります。ことしの4月から国立がんセンターを中心に先進医療として進められています。
 厚労省では、2018年4月1日から2年間、全国でさきに申し上げました11の病院をがんゲノム医療中核拠点病院として、そのもとに幾つかの連携病院が追随していくこととなりました。
 京都府下では本年4月1日、がんゲノム医療中核拠点病院は京大病院のみでありましたわけで、京都府立医科大学病院は指定されておりません。がん患者はみずからのがんに合った治療薬を探すことで、患者の経済的・身体的負担が減少するといったことになっていきます。すなわち、これからはがんゲノム医療を行う病院を探し、集中していくことが予想されるのは想像にかたくありません。
 報道によりますと、2019年中にもがんゲノム医療が保険適用される運びとも聞き及んでおりますが、現段階では府立医大は、がんゲノム医療の中核拠点病院でもなく連携病院でもありませんので、今後府立医大で加療中の患者は、その恩恵が受けられないのではないかと私は個人的に思案をいたす次第であります。
 この現状に対して、本府はどのような対応を考えていけばよいものか。さらに言えば、府民が先進医療を受ける権利を保障する立場から考えた場合、がんゲノム医療だけにかかわらず、世界最先端のがん医療拠点として府立医大がどのように歩んでいくべきか、その答えに近づけるにはどのようなビジョンが必要となってくるのか、知事の御所見をお伺いいたします。

◯知事(西脇隆俊君)
荒巻議員の御質問にお答えをいたします。
 北部医療センターのあるべき姿についてであります。
 北部医療センターは府立医大の附属病院とすることによりまして、北部地域の中核病院としての役割を果たし、総合医療や高度医療の充実による診療機能の強化を図るとともに、地域の医療機関への医師派遣回数が附属病院とする前は466回であったものが、平成29年には3,827回、8.2倍と大幅に増加させるなど地域医療の充実に大きく貢献をしております。
 とりわけ医師派遣につきましては、伊根診療所や本庄診療所などの僻地診療所等の外来を担うだけでなく、福知山市民病院の泌尿器科や舞鶴医療センターの消化器内科などの専門外来や、綾部市立病院での呼吸器外科や久美浜病院での眼科の手術応援など高度専門医療を提供し、医師不足地域の医療に大きく寄与しております。
 しかしながら、北部医療センターで全ての機能を直ちに確保することは困難なため、北部地域の医療体制につきましては、それぞれの病院が持つ長所を生かし、役割分担と病院間連携をさらに強め、北部地域の医療水準を向上させるよう取り組んでおります。
 北部医療センターにつきましては、北部地域での死亡率が高いがん診療の中核病院としての役割と機能を果たすため、今議会にがん診療棟の整備に要する予算をお願いしており、診療機能の強化を図ることとしております。
 また、平成30年度から開始されている新たな専門医制度は、適切な指導医のもと、良質な医療が提供される専門医を育成することを目的としている制度であり、府立医大本院が基幹病院として提供する研修プログラムは19分野全てに対応しております。このプログラムには、北部医療センターを含む主な病院が連携病院となっており、専門医資格取得のためには研修期間中の1年間程度はこうした連携病院で研修を受ける必要があることから、北部地域での研修環境を整え、ローテーションを調整することで北部医療センターを初め、北部地域の医療機関での勤務につなげたいと考えております。
 次に、府立医大病院のがん医療拠点化についてであります。
 現在、昨年11月に竣工した最先端がん治療研究センターでの来年春の陽子線治療開始に向けまして、機器の試運転や国の承認を得るための準備を進めており、順調に推移しているところでございます。
 一方で、最先端の医療を提供するには、手術、放射線療法や化学療法等のがん医療にかかわる専門人材の育成が必要でございまして、がん征圧センター内に設置したがん対策加速化プロジェクトチームを中心に取り組んでいるところでございます。また、陽子線治療は一部の疾患を除き保険適用されておらず、治療費負担が300万円程度になると聞いております。御寄附をいただきました趣旨を踏まえ、また他県の事例も参考にしながら負担軽減効果が高く、府民の皆様が利用しやすい制度となるよう、今年度中に制度設計を行うこととしております。
 陽子線治療を活用した医療ツーリズムにつきましては、ニーズの把握に加え、宿泊施設の確保や治療費の回収など、検討すべき課題が多くありますので、機器の稼働状況を見定めながら引き続き検討を進めてまいりたいと考えております。
 次に、がんゲノム医療につきましては、議員御指摘のとおり、個人ごとの治療方針の選択に役立ち、薬の副作用の軽減や病状の緩和などが期待できると思っております。がんゲノム医療中核拠点病院の指定を受けるためには、がん関連遺伝子の異常を解析する機器や専門的人材が必要とされていますが、現時点では府立医大には配備されておりません。
 一方で、現在、府立医大は質の高いがん医療を提供するがん診療連携拠点病院として指定されているので、がんゲノム医療中核拠点病院と連携することにより患者に対して最先端の医療を提供することを目指しており、呼吸器内科及び小児科については、がんゲノム医療連携病院の指定に向け、現在診療体制の充実や中核病院との協議を進めているところでございます。
 こうした取り組みに合わせまして中性子線を使ったがん治療機器BNCTが完成し、陽子線治療機器とこの二つがそろえば世界初となりますことから、今後さらに手術、放射線医療法、化学療法、疼痛緩和などを効果的に組み合わせた世界最高水準の医療を提供できるよう取り組みを進めてまいりたいと考えております。

◯荒巻隆三君
御答弁ありがとうございました。まさに世界最先端のがん治療拠点として、府立医大を御支援していただく方向性の意気込みは感じました。
 早速いち早く厚労省から認可を取っていただいて、今の永守さんの陽子線治療機器の稼働を急いでいただき、またBNCT、ホウ素中性子捕捉療法も速やかに設置していただけるような御努力をこれからも進めていっていただきたいと思う中に加えて、ぜひゲノムがん治療もこれから検討の重点化をお願いしたいと思っております。
 医療圏の話について、地域医療についてはもちろん我が会派の池田先生にもちょっと御了承いただきたいのですけれども、地域で決めた連携体制を私がとやかく口を出す立場にないことも存じておりますけれども、その連携体制の中に送り出している医師の人材が府立医大からという点においては多少、ちょっと物を申したいなという気持ちもあります。並行して北部医療センターは本当に8年前に与謝の海病院がまさにこれから地域医療の課題を解決する人材を多く集める魅力を備えて、本当に優秀な教授陣にも来ていただくといった、あの鳴り物入りで始まったオープニングを思い出しまして、いろいろ金沢医大とかとの絡みもわかりますけれども、交通事故に遭った人が、まず心臓はちょっと共済に行って、整形は日赤に行って、脳は国立に行くとか何か、ちょっとたらい回しでしんどいとかいう話も聞くので、そういう現状もリアルタイムに今、ちょっと10年前と事情が違うところで点検していっていただくのも、ひとつ、京都府の仕事じゃないかなと思いますので、せっかく新しい知事様は、そういう前例にとらわれないとおっしゃっているので、いろいろ英断をまた発揮していただけたら幸いに存じます。
 続きまして、京都文化力プロジェクトの活性等に関して質問をいたします。
 いよいよ、しあさってから吉符入が始まり、日本三大祭りの一つの祇園祭が始まります。さきの日曜日に私たち祇園祭をつかさどる宮本組員は組長から招集がかかり、ことしはまた観客数も多いであろうということ、また組員の募集というか、組員に入ってきた人も多かったので、いま一度、宮本組というか祇園祭とはなんぞやとか、祭りの心というものをやる以上は見ている人にきちんと伝えていかなきゃいけないということで訓示を受けました。もちろん個人の自由がありますから信仰の話をここではしませんけれども、組長も「きょう、ここに新しく来た人間はどんな気持ちで来たんかは俺は聞かん」と。「格好つけで入りたかったんか商売に絡めているやつもいるやろう」と言われたけれども、「俺はここで生まれて、育って、いわゆる信仰心というものがあるけど、それは人の自由だから言わない」とされた中で、本当にお祭り、宮本組は西暦400年からありますので平安京が造営される前、桓武天皇が平安京に遷都される前から渡来人の技能集団の方が祇園舎を祭っていたというところから存在している集団であるという誇りがあって、もう理屈じゃない部分での、ならわしや、しきたりというものをいちずに守ってきた文化。そういったものに対して、やっぱり先人たちがどういう道のりを歩んできたかというのを、今現代の担い手として私たちが何を課せられるのかというのは、やっぱりいま一度振り返らなければいけないということは祭りだけじゃなくて、文化事業を進めていく上でも、私は必要な考え方だなと思っております。
 ちょうど2年後の祇園祭はオリ・パラ真っ最中なので、何人の方が京都に来られているのかちょっと予想はできませんけれども、せめて見ていただく方には祭りの心というものをわかっていただけるように私たちは心がけていきたいと思います。
 それでは、質問に戻ります。京都文化力プロジェクトは2020年、東京オリンピック・パラリンピック競技大会を契機として、日本の文化首都・京都を舞台に行われる文化と芸術の祭典であります。
 その成り立ちは、ここで改めて説明をするまでもなく、推進委員会からそのワーキング会議、また京都文化力プロジェクト基本構想等、今日に至るまでの経過はメンバーのメンツもさながら、内容からも本府の本気度は非常に高く、頼もしく、またうれしくも思っておるところでございます。
 しかしながら、これだけすばらしい事業を開催していただいているのにもかかわらず、府民への認識の浸透度としては若干普及し切れていないことが大変にもったいない気持ちになり、何が原因なのか、どうしたら京都府民の文化力の意識の涵養が芽生えるものなのか、私なりに思い悩むところであります。単純にやっていることを知らないということなのかもしれません。本来、国際的に見てこれだけの歴史に裏打ちされた環境下で生活を営む京都人が文化に対する感度が乏しいはずがないと私は信念がぶれないように過ごしているつもりであります。
 東京が近代的なものに誇りと自信を持っているのならば、京都はそれとは違うものを打ち出していかなくてはなりません。そのための一つに、大きなテーマが伝統文化であります。京都には悠久の千年を超える伝統が今の暮らしに根づいています。そして、ただ伝統文化を見せるだけではなく、全く異分野のものとかみ合わせたものを見せていくことでおもしろいこともできます。
 どの伝統文化にも過去だけではなく現在があり、さらに現在と未来を同時に提示していくことが大事であります。トータルでコーディネートがなされ、複合的な美意識、芸術的な総合美が展開されることが望まれております。
 2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会で世界の視線が日本に向けられる日、世界の視線を京都に引きつけ、国内外の人々と交流し、日本人の精神性や世界観を新たなクリエイティブな仕掛けで10年後、100年後にも語り継がれるプロジェクトとして新たな創造の潮流を起こし、京都から多彩な文化・芸術を世界に対して発信することを主眼に置いたこの計画は、京都の文化の価値は日本的な視点だけではなく、世界からの視点で京都はどのように見られているのか、どういう受け取り方をするのかを意識することでも文化政策としてやるべきことが見えてくるものでもあります。
 そこに夢を見出し、夢を与えていく、それこそが芸術の喜びであり、文化政策の成長であるとの心得を私は持っております。そして、また京都市だけではなく京都府域とも相互につながりを持たせて展開するべきであると考えられます。
 そこでお伺いいたします。今年度の京都文化力プロジェクト実行委員会の事業において、空間芸術をテーマに京都市内でリーディング事業として公募展を行うとともに、中丹地域で生け花、写真、工芸、書道、彫刻、日本画を主体とした作品展を開催し、府域全体の文化・芸術の振興を図ると伺いましたが、どのようなコンセプトで、具体的に何をなさるのか、また京都文化力プロジェクトという大いなる流れの中において、その事業はどういった役割を果たそうとされているのかをお伺いいたします。
 また、昨年度の事業も大変に評価の高いものとなりました。その中においても2月に開催された「ARTISTS’FAIR(アーティスツ フェア) KYOTO」は文化博物館別館においてアーティスト45人が計276点に及ぶ作品を出展し、3,092名の来客を2日間だけで生み、計1,481万7,280円もの作品の購入が行われたという人気を博したものとなりましたが、この結果をどのように受けとめ、考えられるのでしょうか。作家や作品の要因なのか、仕掛け方の問題なのか、購買意欲の高い来場者が集まったのか、芸術家を育てようという精神を持ったお客様が集まったのか、そのあたりをどう分析し、今後どう展開されようとしているのでしょうか。
 京都文化プロジェクトの目標とする2020年に向けて、文化創造や発信だけでなく、見る側、つくる側、双方に相乗的な効果がある文化の新しい市場づくりという視点も含めて事業を展開すべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 次に、京都経済センター(仮称)の機能整備についてお伺いをいたします。
 ようやく完成の見通しが立ちましたが、現段階でしっかりと魂を入れて大きな成果を発揮できる体制でスタートを迎えないといけないと思っております。京都経済センターは、中小企業が交流し、発展していくための京都の拠点であります。交流と協働、戦略的産業振興、育成支援、産学公連携の推進、スマートシティ・スマートコミュニティの実現、海外への販路開拓と海外からの投資、そして産業人材育成支援と、さらには伝統産業を重点に支援し、他の産業との交流や先端産業とのコラボレーションを図るとともに、新たなマーケットを開拓していくための情報集積やイノベーションハブとしての機能を備えさせていかなければなりません。
 西脇新知事のもとでようやく所要の予算が提案され、府が取得する具体的な道筋がつくことになりました。これまでそれぞれの自社ビル等で活躍していた府内の主な支援機関が京都経済センターに集積し、ワンランク上の中小企業の支援が行われることになると思いますが、具体的にどういった支援を行おうとしているのか、詳細は関係機関と調整中と思いますが、現状をお伺いいたしたいと思います。
 今回、京都産業人材育成ネットワーク構築事業を展開されると伺いましたが、京都経済センターが府下一円としっかりと結びつき、地域の中小企業の深刻な悩みである人材不足の課題を解決していかなければならないと思いますが、このシステムを活用してどのように人材育成を行っていくのかお伺いをいたしたいと思います。
 以上で質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)

あらまき隆三

荒巻隆三
(あらまきりゅうぞう)

  • 昭和47年10月27日
    京都市生まれ
  • 自民党府議団 代表幹事
  • 議会運営委員長
  • 京都地方税機構議会 議長
  • 京都実業団剣道連盟 会長
  • 京都府カヌー協会 会長
  • 元衆議院議員
  • 元株式会社ワコール社員

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