◯荒巻委員
まずは、周産期等子育て医療体制強化費についての質問をいたします。
きょうはせっかく参考人で府立医大から学長様が来ていただいておりますので、直接の現場の責任権者の方からの御意見とかも聞かせていただけたら幸いに思いますし、また理事者の方からも御答弁いただけたら幸いです。
府立医大、日赤、京大病院、連携強化を深めることでということで、3病院のネットワークを図って周産期医療体制を強化する、大変いいことだと思うんですけれども、強化するに当たってまず何を課題としたところから今回この予算立てをしているのか、現況を知りたいと思っているんです。分娩数がふえている割に産科医・小児科医が少ないとか、なり手が今いないとか、24時間体制の厳しい労働条件の中で回らないとか、あと助産師の方の作業量とか、そういったところも勘案されてなのか、どこを課題にして組み立てられているのかということと、あと予算額が300万円なんですけれども、300万円でどれぐらいのことを、何ができるのかなということを御質問させていただきたいと思います。
◯藤井京都府立医科大学附属病院事務部長(参考人)
今回の予算につきまして、まず金額の300万円ということでございますが、これはNICUの増床3床分をどのようにしてやっていったらいいかということでございまして、今現状6床ありますのが、附属病院のロータリーのあるところの北側の建物の3階に実はございます。上下階とも普通に病院運営をしながらどのようにして短期間で工法も考えながら進めていったらいいかといったところの基本設計的な部分を委託させていただく中で、精緻に考えさせていただきたいということでお願いをしているものでございます。
もともとのNICU増床ということでございますけれども、これ健康福祉部の所管になるのかもしれませんが、高度急性期といいますか、その中でもより高度なものにつきまして、一定、周産期センターであるんですけれども、大学病院である本院と京大、あるいは現在総合周産期のセンターになっております日赤、このあたりで一定分担をしながら進めているところでございます。ここ数年の稼働率を見ますと、100%近くなってきておりまして、絶対数としてNICUが不足をしているという状況になっています。そういう中で、京都府でつくられております保健医療計画では、利用率が90%を超えていると満杯で、非常に入りにくい状況が続いているという結果も出ておりますので、ここを何とか下げていこうという趣旨で今回本院に予算措置を大学法人からお願いしているものでございます。
以上でございます。
◯荒巻委員
高度新生児医療のことにもかかわってくると思うんですけれども、恐らく背景としては、ハイリスクな分娩の状態、ハイリスクな妊産婦さんたちのケースに対応していかなければいけないということが大きな原因だと思うんですけれども、それで集中治療室が足りない、あとは病床の問題、インキュベーターの問題もあると思うんですけれども、その辺ハードの面、まず最初、僕は人材の話の課題なのかなと思ったら、状況としてはハードなんですね。
◯藤井京都府立医科大学附属病院事務部長(参考人)
今回この300万円という予算要求をお願いする前に、実は6月5日だったと思います、京都府と現在の周産期の総合センターの日赤あるいは本院と京大病院との4者で、周産期医療の充実に係る協定というものを結ばせていただいております。この予算、先ほど私説明をさせていただいたものに加えまして、府内全体の周産期医療を担う人材の育成についても、この協定の締結者がそれぞれ努力をして体制充実を図るという一面もございますので、そういった人材育成をしていく上でも、一定数病床数がふえていきますと、そこで研修も積んでいただく機会もふえるという形になっていくかと考えております。
以上でございます。
◯荒巻委員
わかりました。
では片一方で、通常分娩の体制というのは今の状態ではいかがなんでしょうか。
◯藤井京都府立医科大学附属病院事務部長(参考人)
通常分娩は、我々大学病院でございますので、ハイリスクの方の限定という形になりますので、府域全体の話としては、所管が健康福祉部になるかと思いますので、私のほうでは細かいデータは持ち合わせておりません。
以上でございます。
◯荒巻委員
わかりました。
そういう形で連携して組み立てていっていただけたらありがたいけれども、後々まだこれからどういった体制の基準が客観的に、これで事足りるという評価というんですかね、そういうところから今おっしゃっている話だったら、では産科医であったり助産師であったり、そういうハイリスクなケースに対応できる人たちの必要人数というのはどういうところを基準にした考え方で算出しているのか、その辺を教えていただきたい。
◯藤井京都府立医科大学附属病院事務部長(参考人)
府域全体につきましては、それも多分、健康福祉部で一定集約はされているかと思います。我々のほうでは、データについては何人とかという数値は持ち合わせておりません。
以上でございます。
◯荒巻委員
わかりました。では、考え方に関しては、またあした健康福祉部で聞いてみます。
続きまして、時間がないんで、北部医療センターがん診療棟整備費について、リニアック2台ということで、北部においてもがんの先端医療、河原町まで出てこなくても受けられるというのは、府民としてその恩恵を受けられて、僕もありがたいことだと思いますので、早期に着手していただけたらと思っております。
ただ、後のいろんなことを考えて、がんにも、患者が重度なぐあいになってくることもありますので、緩和病棟とかそういう緩和ケアに関しては、これはパッケージとして入っていないんでしょうか。
◯宮地京都府立医科大学事務局長(参考人)
緩和ケアにつきましては、現在の計画ではまだ入っておりませんけれども、今後まず、がんの病棟を平成32年度当初目途に整備をして、がん診療をしっかりやっていく中で、当然検討しなくてはならない課題だと認識しております。
◯荒巻委員
わかりました。最初、順番があると思いますけれども、後は、緩和ケアを受けなきゃいけないときにまた今度は市内まで出てこなくてはいけないとかならないように、北部にもしっかりセットでワンパッケージであるべきだと僕は思っておりますので、またその辺は計画の中に検討していっていただければと思います。
がんの医療について触れましたので、河原町の府立医大、今、永守さんの陽子線のほうですけれども、陽子線でも今までにない最先端のものを入れたということで、まだ厚労省から認可がおりないということらしいですけれども、来年3月ぐらいには稼働できるという見込みで今よろしいのでしょうか。
◯竹中京都府立医科大学学長(参考人)
陽子線治療装置は、現場で組み立てて精度を認めた上で薬事承認がされます。したがいまして、物が入ったときに使えるという形で入ってきたわけではございません。今、定数といいますか、定量的な陽子線が出るかというところを確認した上で、一番早くて来春1月、2月をめどに治療を開始したいと考えております。
◯荒巻委員
できる限り早期にそうなりますように御努力をなさっていただきますように、切にお願い申し上げます。
陽子線を府立医大、今、西脇知事も世界一のがん拠点病院を目指すというスローガンを掲げていただいておりますけれども、今、福井にもありますし、大阪へ行っても重粒子線もありますし、患者によっては京都の府立医大はがんに対していいところだなというところでは、陽子線に加えて今並行して進められているBNCT(Boron Neutron Capture Therapy)、ホウ素中性子捕捉治療も今進めておられるということで、企業とも話していろいろ進捗が出てきたと聞いているんですけれども、こちらもこの間、本会議で私、知事に質問したところ、しっかり陽子線とそろえて、陽子線とBNCTがあればこれはもうかなり、みんな京都の府立医大というのはがん治療に対してのしっかりとした権威になるだろうというお示しをくださったんですけれども、BNCTの今の進捗ぐあいを教えていただけますでしょうか。
◯竹中京都府立医科大学学長(参考人)
BNCTにつきましては、現行のところは、治療線量が確実に出るかどうかというところの検証中でございます。御承知のように、BNCTというのは中性子を出します。それを「ボロン」といいます、そういったものを入れて、腫瘍の細胞の近くまで来て、そのボロンという粒子に、ホウ素ですけれども、中性子が当たって、アルファ線という細胞を殺すものが出ます。一番重要な点が、まずは中性子量が十分出るか、2番目の点が、ボロンといわれますホウ素が十分に効果的に腫瘍のところに行くのか、その2つの点の検索がこれから、中性子が出たということを踏まえて、動物を使って実験されるという、前臨床と我々は申しますけれども、臨床応用する前の段階だと考えております。
◯荒巻委員
もう既に東京の国立で進めてやっていらっしゃる、実用化されている、あれと同じもののタイプでいいんじゃないかなと思うんですけれども、場所、今の永守さんのあそこでは無理ですね。原子炉の地下の部分、ないですよね。その辺の構造上の話も含めて、本当の実用に向けての本気度というのが知りたいなと思っているので、どこまでのそういう設計をされているのか、あれば教えていただきたい。
◯竹中京都府立医科大学学長(参考人)
もう一つ本質的に、3者で発表があった時点で、どこに対して治療する装置なのですかというのがございます。それは深部照射といいまして、現在のところの委員がおっしゃっていますものは体表から7センチから10センチのところでございます。それはもう陽子線で十分行けるところでもございます。深部照射といいますと、体の奥深く、成人ですと20センチ以上の深さを十分治療範囲とするか、そこにつきましては現行のものではなかなか難しい。ほかにも大阪医大等にも入っておりますが、そういった条件も鑑みまして、本来の契約に基づくあるべきBNCT治療装置が開発されるかなとは考えております。
◯荒巻委員
入る深さというか深度が要るということも承知しているので、それに見合った構造上のことも捉まえていろいろ計画されているということならば、早期にぜひ2台、陽子線と2種類そろえた形でがん治療できるように、先端の機器を設置いただくようにお願いをしたいと思います。
あと、並行して述べていたんですけれども、今のがん治療における一つの大きな潮流として、この春に、国指定のがんゲノム治療ですね。国の指定病院として、京都だったら京大病院が指定されましたけれども、京都府立医大はなかったということで、また連携病院にも入っていなかったということですけれども、さきの陽子線とかだったら一般に保険外ですから、1回300万円とか350万円とかかかると聞くんですけれども、今、ゲノムのパネルを使ってちゃんと数十万円であなたの遺伝子に合った抗がん剤はこれですよというのがすぐわかれば、副作用もなく、負担も少なく、経済的にもコスト削減で、的確に効果の高いものがある。これを進めていく中で、2019年には国も厚労省が保険適用化の方向で今動いているということを聞いている中で考えましたら、府立医大もやっていただかないといけないんじゃないかなと思ってしまうわけなんですけれども、その辺にコメントを最後にいただけたら。
◯竹中京都府立医科大学学長(参考人)
ありがとうございます。がんゲノム中核病院の趣旨は、御承知のように、従来二、三百万円かかっております、おのおののがんの全てのゲノムを解析するというのではなくて、ポイントを絞ったパネル化のために実力を持っている中核病院を認定するという施設でございます。その施設は、以前から、旧の帝国大学を初め、数百億円規模でゲノム研究の基金が出ております。我々のところはそこの計画には参加しておりませんので、がんゲノム中核病院を狙うという立場にはございません。ただし、臨床研究中核病院という、それとは少し違うのですが、将来を目指した中核病院のあり方を目指しております。
もう一つ、それでは連携病院はどうなるのか、それにつきましては、今指定されたところ以外、がんセンターとか我々の診療科がやっておりましたおのおのの連携が中核病院に集約されていく今経過時間だと考えております。府立医科大学で決してゲノムを無視した医療が行われているわけではございません。ただ、それはがんによって種類が違いますし、従来の中核、例えば変な話ですが、肺がんにつきましては阪大ですが、去年の12月ごろまでは3つぐらいがんセンター等々がやっております。そこと連携していたものを、我々は今回、少し時間はかかりますが組みかえをしていく、そういう形のプロセスにございます。
したがいまして、御心配いただいているのは非常にありがたいと思いますが、早晩、そういったがん研究とゲノム研究が整合性が合うようになった段階では、我々も従来のところと離れて、おのおののがんの特殊性のところにひっついていく形になると思います。