平成30年高齢社会の安心・安全対策特別委員会12月定例会

所管事項の調査
  下記のテーマについて、理事者及び参考人から説明を聴取した後、質疑及び意見交換
 が行われた。
  ・高齢者を狙った特殊詐欺被害の防止について

◯荒巻委員長
 まず、所管事項の調査についてでありますが、本日のテーマは、「高齢者を狙った特殊詐欺被害の防止について」であり、参考人として、京都弁護士会の加藤消費者保護委員会委員長様に御出席をいただいております。
 10月に予定していた委員会につきましては、台風の影響とはいえ、特段の御配慮をいただきながら、直前の中止の判断となり、大変御迷惑をかおかけいたしましたことを、まずもって、参考人におわびを申し上げます。
 また、本日は、そういった事情があったにもかかわらず、本委員会のために、改めて参考人をお引き受けいただきまして、重ねて御礼を申し上げます。まことにありがとうございます。
 加藤様におかれましては、平成12年に京都弁護士会に入会し、投資取引被害・詐欺商法・マルチ商法・過量販売等の被害救済など消費者問題を専門とし、平成29年からは、京都弁護士会の消費者保護委員会の委員長を務められるなど、幅広く御活躍をされていると伺っております。
 本日は、そういった日ごろの取り組みを踏まえたお話をお聞かせいただければと思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 それでは、初めに理事者からテーマに係る説明を聴取いたします。
 説明は、簡潔明瞭にお願いいたします。

◯森刑事部次長(刑事企画課長事務取扱)
 私からは、京都府内における特殊詐欺被害の状況等について、お手元の資料に基づき説明いたします。
 平成29年中の認知件数は、特殊詐欺の統計を取り始めて以来最悪となる320件を記録しました。本年11月末の暫定値は、認知件数は225件、被害金額は5億3,177万円でありますが、「カードすりかえ型」と呼んでおりますキャッシュカードを封筒に入れた後、すきを見て別のカードが入った封筒とすりかえてキャッシュカードを持ち去るという特殊詐欺と同視し得る窃盗被害も、この統計外で多く発生していることから、実質的には、先ほど申し上げた認知件数、被害総額よりも多くの被害が発生しているところです。
 被害の特徴といたしましては、まず、高齢者による被害の割合が高いということが挙げられます。お手元の資料の1(2)アにありますとおり、平成29年中の高齢者被害の認知件数は全体320件の76%を占め、被害金額では全体の90%を占めています。本年についても、同様の特徴が見られ、依然として高齢者が特殊詐欺の標的となっているところです。また、75歳以上のいわゆる後期高齢者による被害の割合が年々増加しており、平成29年中は認知件数の47%、被害金額の54%を占め、本年11月末では、認知件数の64%、被害金額の68%を占めており、加齢とともに特殊詐欺に対する防御力が低下していることが伺われます。
 さらに、金融機関やコンビニエンスストアにおいて、積極的に出金理由を尋ねるなどの声かけを実施していただくなど、被害を未然に防止する対策を強化した結果、多くの被害を防いでいただいたところではありますが、犯人グループはこのような対策を察知して、手口を対策の効果が及びにくいものへと巧妙化させています。具体的には、被害者から直接キャッシュカードをだまし取り、そのカードを直ちに使用してコンビニエンスストアのATMから出金するという、キャッシュカード手交型の手口が、平成29年中は前年比で102件増加、本年11月末では、前年同期比で27件増加しております。
 このような中、京都府の高齢者の将来推計によりますと、平成47年には高齢者が京都府人口の32%を占め、さらに後期高齢者が20%を占めると予測されているところ、高齢化社会の進展に伴い社会全体の特殊詐欺に対する防御力の低下が、今後の大きな課題と挙げられます。
 また、犯人グループはこれらの社会情勢等を敏感に読み取り、これまでにも増して、日々進歩する科学通信技術や各種サービスを悪用して犯行に及び、手口をさらに悪質、巧妙化させるものと予想されていることから、今後も特殊詐欺をめぐる情勢については、予断を許さない状況にあります。
 このような状況を踏まえ、警察本部では、当面の特殊詐欺対策として、資料3の(1)(2)にお示しした対策を強化してまいります。
 1点目は、特殊詐欺を発生させないという社会機運の醸成に向けた取り組みの強化です。これまでに説明したとおり、社会全体の特殊詐欺に対する防御力の低下が懸念されることから、さらなる被害抑止のためには、高齢者を取り巻く子や孫の世代、事業者等、社会全体で被害の標的となる高齢者を守るという社会機運が必要であると考え、防御力の強化に向けた広報啓発や防犯教室、情報発信等をこれまで以上に幅広く行っていくこととしております。また、警察本部内においても、公的年金支給日を職員が自己の家族に電話をかけて特殊詐欺被害に遭わないための注意喚起を行う「家族を守っている日」に指定するなど、特殊詐欺を発生させないという社会機運の醸成を警察から積極的に発信しており、今後、本取り組みへの参加を関係機関等に呼びかけて、京都府全域への波及を目指しているところでございます。
 2点目は、固定電話対策の強化です。犯人グループから被害者への最初の接触の77%が自宅の固定電話であることに着目し、犯人と直接会話をしてだまされてしまうことを防ぐため、在宅時における留守番電話設定や、登録外の電話番号の着信拒否設定等の活用について広報するとともに、警告メッセージ機能等がついた通話録音装置の普及促進に努めるほか、官民連携のもとAIを活用したシステム等の開発に向けた検討を行うなどの固定電話対策を進めています。
 しかし、今後、特殊詐欺のほかにも、高齢者を初めとする社会的弱者を狙った新たな犯罪が台頭していることも予想されますので、犯人側の想像を上回る予防・研究対策を迅速かつ柔軟に講じるなど、高齢化社会に対する安心・安全の提供のためには、将来的な社会情勢を見据えた総合的な対策が必要であると考えております。
 以上でございます。

◯荒巻委員長
 ありがとうございました。
 次に、参考人の御意見を拝聴いたしたいと思いますが、説明の準備が整うまでしばらくお待ち願います。
 それでは、加藤様よろしくお願いいたします。

◯加藤参考人
 御紹介いただきました加藤です。よろしくお願いいたします。
 私からは、「高齢者を狙った特殊詐欺被害の防止について」というテーマでお話をさせていただきます。
 具体的に、肝心な部分として「法整備、被害予防ツール、見守りの重要性」というところについてお話をさせていただきますが、まずは、現状を把握したいと思います。特殊詐欺の現状ですが、まず定義ですけれども、「特殊詐欺」とは、「面識のない不特定の者に対し、電話その他の通信手段を用いて、預貯金口座への振り込みその他の方法により、現金などをだまし取る詐欺をいう」とされています。
 統計上、この特殊詐欺につきましては、振り込め詐欺と、振り込め詐欺以外の特殊詐欺という形で分類がされております。振り込め詐欺の中にオレオレ詐欺、これは子や孫をかたり、例えば交通事故を起こした賠償金が要るとか、会社のお金を横領してしまったので穴埋めしないといけないというような話を持ちかけてお金をだまし取る詐欺ですね。それから、架空請求詐欺。今し方の消費生活安全センターからのお話の中にも幾つかありましたが、利用の実態のないサービスの請求を行う詐欺、アダルト情報サイトなどを使ったこともないのに請求が来るようなケースも、これに含まれます。
 それから融資保証金詐欺、これは資金需要者、お金が必要だという人に対して、お金を貸し付けますよと、融資をしますが、融資に先立って一定の保証金、その何分の1かを入れてくださいという形で保証金を入れさせて、実際には融資金がおりないという形でお金を持っていく詐欺ですね。それから、還付金等詐欺、これは公的な機関を装って、あなたの年金が、行政のほうで受け取り過ぎているので還付しますというようなことを言ってATMのもとへ連れ出して機械を操作させて、さも本人は受け取るための手続というような形でATM操作をしているのですが、実際は、自分の口座から詐欺者の口座にお金を振り込みさせているというような手口が典型例とされています。
 それから、振り込め詐欺以外の特殊詐欺ですが、まず金融商品取引名目の詐欺ということで、古くは、古くといってもそう古くないんですが、この種の詐欺の中の「古く」と言いますと、未公開株とか上場していない非公開会社の社債などの対価としてお金をとると。「上場が間違いなくて大化けするから買ってください」というような形で言うものが多かったのですが、最近、消費生活安全センターに寄せられる相談を拝見していますと、ここへ分類していると思うんですが、例えばFX、外国証拠金取引でもうける手法についてですとか、最近は仮想通貨で、こうやったらもうかりますよというような形でお金を持っていく詐欺などがふえていると思います。それから、ギャンブル必勝情報提供名目の特殊詐欺。これは競馬・パチンコなどについて「必勝情報を提供しますよ」と言ってお金を持っていくと。それで、提供される情報は陳腐なものとか何もされないというような形でお金だけとられていくというパターンです。それから、異性との交際あっせん名目の特殊詐欺。典型例としては、出会い系サイトと呼ばれる、異性と交際ができる、会えそう、交際できそうというような形で、次々にそのサイトでのポイントを消費させていくというような形でお金を持っていくという詐欺。さらに、それらに分類されないその他の特殊詐欺というものが、この振り込め詐欺以外の特殊詐欺に分類されています。
 これらの詐欺の現状で、これは警察庁のデータですので全国データということになりますが、平成29年版のデータは出ております。認知件数は、振り込め詐欺が、前年比ですから平成28年と比べて32%増という形で、この下のグラフのうちの左側が認知件数、少し見にくいかもしれませんが認知件数データですが、ここ数年、右肩上がりの状態でふえていると。
 それから、被害総額については、振り込め詐欺が378.1億円、振り込め詐欺以外の特殊詐欺が16.7億円で、合わせて394.7億円という状況で、金額としては、平成26年にすごく高い山があって、少しずつ減っている、あるいは、横ばいというような状態ですが、依然として非常に高い水準で推移していると評価できると思います。
 また、既遂事件の1件当たりの被害額が229万円というのも、驚くべき数字ではないかと感じております。
 平成29年の特徴ですが、オレオレ詐欺と架空請求詐欺の認知件数が大幅に増加しています。認知件数は左下のグラフですが、一番下の赤色がオレオレ詐欺で、前年比相当ふえているのが見て取れるかと思いますし、赤の上の青色が架空請求詐欺ですが、これも去年(平成28年)よりも大分認知件数をふやしていると。それから、一番上の紫色が還付金詐欺で、先ほどの「公的機関でお金を返しますよ」という詐欺ですけれども、これは認知件数、被害額ともに減少してきていて、年とともに特徴が出ているのかなということで、最近、オレオレ詐欺や架空請求にまた詐欺者の手口がシフトしているというふうに言えようかと思います。
 それから、先ほど警察の方からも御紹介がありましたが、キャッシュカード手交型という形で、キャッシュカードごと持っていって、それでATMでお金を引き出してしまうという形のパターンと、それから電子マネー型ですね。電子マネーを使って送金させる型というのが大幅に増加しているという結果が出ています。
 それから、収納代行の利用型、これは分類の中では現金送付型という濃いほうのオレンジ色の数字なんですが、平成29年に関しては下半期に急増したと言われています。収納代行というのは、普通は通信販売とか公共料金などをコンビニの窓口とか、あるいはコンビニに置いてある機械を操作して支払う方法ですけれども、この方法を使った詐欺というのが、平成29年は下半期に急増したというふうに言われています。
 他方で、振り込み型というのは、一番左の青い濃い部分ですけれども、これが上の平成28年と比べて下の平成29年が少し減っているんですが、これは還付金詐欺が必ずこの振り込め型をとっていましたので、それが減少したことによるという評価をされています。
 今のは特殊詐欺全体の状況でしたけれども、このうち高齢者がどのような被害に遭われているのかという状況です。これも警察庁のデータですけれども、特殊詐欺全体での高齢者の被害の認知件数は1万3,196件ということで、それが割合ではどんなものかというのが、二つ目の黒ポツで、高齢者率というのは72.5%ということで、特殊詐欺の被害の世界においても、高齢者が占める比率が極めて高いという現状が見て取れるかと思います。
 手口別で見ますと、オレオレ詐欺と還付金詐欺については、高齢者の認知件数が占める割合は9割以上という形で、この二つの累計では、高齢者の被害が特に顕著ということが指摘されています。
 今まで全国のお話でしたが、京都府が、先ほど御紹介のあった平成29年度の消費生活相談の概要でまとめておられる部分で、少し重複があるかもしれませんが紹介させていただきますと、前年度に比べて「商品一般」という分類をされる相談が増加しています。これは、架空請求のはがきが送られてきたという苦情を商品一般に分類されているそうですので、この相談の増加の背景には、架空請求はがきの相談というケースがふえたということが影響していると言われています。
 実際の相談事例として、先ほどもご紹介があったところですが、「昨日、総合消費料金未納分訴訟最終通知書というハガキが届いた」というような相談が、50代の女性から寄せられたことがピックアップされています。
 はがきの実例をと思いまして、お隣の滋賀県が同じようなまとめをされていまして、平成29年度の消費生活相談の状況ですけれども、滋賀県でもやはりはがきによる架空請求の相談が急増しているということです。ちょっと字が小さくて恐縮なんですが、その一番下のところに、3行ほど字があるんですが、「50歳代、60歳代の女性からの相談が全体の7割を占めており、中には実家に旧姓で届いた例もあることから、詐欺グループが古い名簿を入手し、大量にハガキを送りつけているとみられます。」というような分析がされています。
 実際に送付されたはがきの例が、真ん中の右あたりにあるので見てみますと、「総合消費料金に関する訴訟最終通告のお知らせ」というおどろおどろしいタイトルなんですが、本文を少し見ますと、「この度、ご通知致しましたのは、貴方の利用されていた契約会社、ないしは運営会社から民事訴訟として、訴状の提出をされました事をご通知致します。」という言い方で、ふだん余り丁寧な言葉を使わない人物が頑張って丁寧な言葉を使ったみたいな、そういうふうに見て取れる文章で、少しこういう文章になれた方々が見られれば、これは怪しいなという感じにはなるんですが、しかし、一般の消費者がこれを、あるいは、特に高齢者が受け取ったときに、どれほどの緊張を持って見る文章になるかというのは感じていただけるかと思います。
 事件の番号みたいなものが書いてあったり、裁判の取り下げの期日が書いてあったり、もし連絡をしないと執行官立ち会いで給料や不動産を差し押さえられますよ、みたいなことが書いてあって、真ん中下あたりに、「取り下げ最終期日」という形で日付が書いてあって、電話をさせるようにしてあると。電話をすれば、その電話でお金の請求の話に入っていくという、そういうパターンになっていますので、センターや弁護士のところに相談にお見えになったら、ああ、これはもう架空請求のはがきですから「絶対に連絡しないでください」という形で助言を差し上げるというケースですけれども、この相談が、お隣の滋賀県でも、また京都府でも非常にふえたということは指摘されています。
 高齢者の被害状況について、私自身の事件の処理歴からの印象ですけれども、平成14年とか15年ぐらいには、高齢者だけではないですけれども、資金需要者でお金のない方に対して、当時、規制が緩かったこともあって、闇金ですね、登録をしている業者もたくさんいましたけれども、法外な、とんでもない金利でお金を貸し付けると。短期の小口で年利換算すれば何百%みたいな金利を取るというような業者が、一時非常に多くいました。
 それから、下のルートで、金融商品の販売をするような業者で、商品先物など一定の看板を掲げて事務所を持ってやっているやつらとか、あるいは、未公開株、社債なども、得体も事務所もわからないようなグループが売っていたというのがありましたが、そういうものの規制が少しきつくなってきて、未公開株や社債詐欺などから、今度ファンドと呼ばれるものへの投資をうたう詐欺になっていったというグループがありましたが、これらのグループが次なる詐欺のもうけ先を探して、振り込め詐欺というところへやってきたと。振り込め詐欺の中でも、最初ははがきで請求をしたり、いろんな手口を使っていて、年金還付のような話もありましたけれども、ぐるぐる回っているうちにまた平成29年ははがきでの請求が、「これ、いけるで」というような形で原点回帰したのか、ふえてきたというような、そんな印象を持っております。
 この下のルートの投資詐欺による手法というのは、一定法規制の効果が及んで、やはり業者にとってやりにくくなってきたというところから、振り込め詐欺にグループが移ってきたと、特殊詐欺のほうにグループごと移ってきたというふうに言えるかなと考えております。
 次に、これは事業者に対する規制の法整備ですけれども、先ほど申し上げた下のルートの詐欺的な金融商品をかたるほうの詐欺ですが、まず、未公開株の詐欺などについては、金融商品取引法の2011年の改正で、無登録の業者による未公開株取引などの取引が司法上、契約上も無効になるということが改正で導入されました。未公開株などの取引をするには、特定の決まった銘柄について、証券会社など金融商品取引業の1種の登録がないと取引ができないということになっていたんですけれども、それはあくまで行政規制、業規制でありまして、無登録業者がやっても直ちに無効というふうには、なかなか法律上、直接には書かれていなかったんですが、金融商品取引法の2011年改正で直接にそれを無効にしました。これは民事でも無効になることで、消費生活安全センターに相談が持ち込まれたら、金融商品取引業の登録があるかどうかというのを確認して、無登録業者から買いましたということになれば、それで無効にできるということで、非常に効力がある。それをもとにもう取引を未公開株の世界から撤退させるという意味合いがあったと思います。
 それから、詐欺をやる業者は、会社の法人格をうまく利用して詐欺を行って、架空人で会社をつくったり、住所がどこにあるかわからないようにして会社をつくったりするような形をとることが多かったんですが、こちらは商業登記規則の2014年の改正で取締役就任の登記申請に、本人確認資料が必要になりますと。逆に言うと、それまでは本人確認資料が不要だったわけですね。代表取締役は、今でも住所が登記簿に記載されますので、本人確認資料の提出は当時も要求されていたんですが、平取締役に関しては、本人確認資料が不要だったんです。それをもとに架空人とか、実在するんだけれども、どこにいるかわからない人というのが取締役に次々名前を連ねるという事案があったんですが、それをさせないようにしたと。これで民事でも、取締役個人の責任の追及により、被害回復の可能性が高まりました。
 これは少し見にくいですが、ある社債の詐欺、先ほど申し上げたような上場していない会社が社債の詐欺をやっていましたが、その会社の登記簿謄本を取ったものです。会社自体はもうどこにあるかわからないとか、住所、登記はしてありますが、そこは後でお話しするようなレンタルオフィスであったりして全く実態がないというようなことも多いものですから、その法人に対しての責任追及というのは無意味になるだろうと思う事案で、弁護士が考えることは取締役個人の責任追及なんですが、この会社の登記簿を上げてみますと、右側に書きましたが、アブドウ・エムボマさんから始まって6人ぐらい外国人らしき人物多数が登記されていたんですね。この状態で、法務局がよしとして登記をしているということになります。
 ところが、この会社は何の会社だったかというと、社債を売るための詐欺の会社なんですが、表向きは、アフリカに学校をつくる会社ですと、そういう社会貢献をしている会社でこれからどんどん伸びていくので、ここの社債を買っておけば、利回りも非常にいいし安心できますというような形で、お金だけ取られて、社債の償還期限にはもうこの会社がどこに行ったかわからんという形でお金が返ってこないという事案だったんですけれども、アフリカということで、何かサッカー選手で有名なエムボマさんというのがアフリカのカメルーンの選手でいましたが、そういう人の名前を使っているような、いかにもアフリカに関係しそうな外国人の名前というのが6人ぐらい連なっていました。
 私は東京の法務局に行って、この取締役が就任をするときの原因書類といいますか、就任に必要な書類を閲覧に行っているんですが、本人確認が当時まだ必要になっていなかったときの制度ですので、取締役たち、平取締役、エムボマさん以下の6名の就任の承諾書には、エムボマと書いてあるかわいらしい三文判とか、その下のダルコーさんもというような形で、全部三文判が押されているだけで、実際の住所も何も書いてないと。もちろん本人確認書類もないという形で、私は今でも、エムボマさんに対する判決を持っていますが、この人は恐らく実在しない人物だろうと思っています。裁判をやって判決をとったんですが、それは実在をしない人に対する判決で、何の回収のしようもないという形で、被害者の方は、その部分に関しては泣き寝入りを強いられているという状態になっています。こういうこともあったので、先ほど申し上げたような本人確認などの制度は整っていって、投資の詐欺でのやり方はやりにくくはなってきたというふうに言える状況です。
 それから、少しお話ししましたが、レンタルオフィスですね、京都市内にも多数できてきましたけれども、これはある出会い系サイト、先ほど申し上げた、異性と会えるとか交際できるという名目で、どんどんそのサイトでその人とメールを交換するためにポイントを買わされて、結局、お金をとられてその人に会えないという、そういう詐欺会社でした。これは東京のほうのレンタルオフィスでしたが、行ってみると、一つのビルの9階のオフィスというか一部屋が、郵便受けの一番上のところにA株式会社と書かれているんですが、これはそのレンタルオフィスをやっている会社ですね。だから、その9階の事務室に入っているのは、このA株式会社という会社でして、その下にいっぱいシールが張ってあるんですが、要するに、このA株式会社と契約をしている利用会社がありまして、中には、まともな会社もあるんだろうと思いますけれども、ここと契約をしておくと、この何とかビルの9階が自分の事務所だという形で、ここに郵便物が届くんですね。届いた郵便物を時々取りに来て持って帰ればいいということで、東京の一等地に自分のオフィスがあるような形状がつくり出せるということになりますが、私がこのとき、この出会い系サイトの会社で事務所を見に行こうと思っていたのは、Bという会社だったんですが、それは右下に、郵便配達員さんという紙が張ってあるんですけれども、その中に「下記会社は5/31付けにて弊オフィスの会員登録が抹消されましたので郵便物の受取は出来かねますので、返却下さい」と書いてあって、幾つか会社がある中に、そのBという会社がありまして。レンタルオフィスと契約するときにも利用料を毎月払いますから、それが払えなくなる、あるいは払わなくなって会員登録を消されたのか、あるいは、警察からこの会社はちょっと、というような形でいろいろ問い合わせが入ったりすると、規約でレンタルオフィスの会社も会員登録を消すというようなことをする会社もあるようですから、そういうことがあったのか。ここに郵便物を送っても、もう着かないということになっていますので、このBという会社が本当にどこにあったのかというのは、わからない。もちろん、A株式会社に問い合わせていくということにはなるんですけれども、この状態ではわからないというような形で、自分の居場所がどこにあるかを隠して商売をする、まあ商売というか詐欺なんですが、詐欺ができるツールに使われてしまっているということは言えると思います。
 このバーチャルオフィスという施設、私書箱業者なんですけれども、犯罪収益移転防止法という法律で、契約をするときに、その契約者と本人確認を行う本人確認義務はあるんですが、事案を見ていくと、その本人確認で徴収した免許証などが偽造免許であるというようなことであるとか、全く第三者からコピーを借り受けた免許であるというような場合であることもしばしばで、バーチャルオフィス、レンタルオフィス自体を規制するような、業種自体を規制するような法律はないものですから、残念ながら犯罪のツールに利用されてしまっていると。
 それから、もう一つの犯罪のツールとして非常によく使われているのが電話でして、これは国のほうで、関係省庁で消費者政策会議というのを持って、ことしの7月に架空請求対策パッケージというのを決定していますが、決定の内容からも非常に苦しい対策を強いられておられるのがわかります。具体的には、警察庁では、架空請求を含む特殊詐欺の犯行に利用された電話に対し、繰り返し警告メッセージを流す警告電話事業の推進とか、消費者庁は消費生活センター等からの情報提供により、架空請求に利用された電話番号を把握し、当該番号に対する架電等を実施という形で、要は、架空請求業者が架空請求を行ってきているその発信元の電話番号まではわかったというところで、そこに警察庁や消費者庁からどんどん電話して、その電話を使えなくすると。パンクさせるといいますか、向こうからの発信ができなくするという作業をされているということなんですね。
 何でそんなに回りくどいことをしないといけないのかと。もうそんな番号を使うのをやめて、通信できなくしたらいいじゃないかというところで出てくるのが、電気通信事業法という法律にある電気通信事業者の電気通信役務の提供義務ということで、よほどのことがないと、電気通信事業者、NTTさんなんかは、利用者が電気通信の役務を利用したいというのに対する提供を拒否できないという形になっていますので、非常に苦しい中で関連省庁が努力されて、こっちからかけて使えないようにするというようなことをされているわけですね。また、電話に関しては、転送電話も、専ら固定電話が多いですけれども、転送電話を何回も何回も組み合わせて使うことで、発信元が誰かわからなくなるというふうにする匿名化の方法なども使われていまして、そういうものから警察の捜査なども非常に困難を極めているというふうにお聞きしております。
 今申し上げたバーチャルオフィス、レンタルオフィスとか、ましてや電話などということになると、もちろん特殊詐欺には用いられてはいるんですが、それ以前に社会的に必要性のあるツールで、生活インフラでもあるわけで、どこまで規制をしていいかというところとの衝突の中で、なかなか規制ばっかりというわけにもいかずに、関係者らが苦労をされているという状況にあります。
 その中で、どんなことで被害者側に目を配って被害が予防できるかというところです。これは先ほど警察のほうからも御紹介がありましたけれども、例えば、特殊詐欺の電話を防ぐ機器などの導入がされています。
 今、画面に出したのは「遮断型」と呼ばれるもので、利用者、ユーザーの方であるとか警察や自治体からの情報を管理サーバーに集約して、迷惑電話番号というものをリスト化していきます。データベース化をしていって、その迷惑電話番号、つまり特殊詐欺を行う電話の発信元の番号など、それらを集積したもの、そういう番号から電話がかかってきたら、そもそもこの機械をつけている電話に関しては、受信を遮断すると。電話機を鳴らさないということで、そもそもこれを入れていると、そういう詐欺を行うところからの電話がカットされますので、ユーザーは通常気づくことすらないので、非常に大きな効力を持つというふうに評価をしているところですが、他方、ランニングコストがかかる点が十分な普及の妨げになっていると評価されています。この機械を入れて月々の利用料を払うというところもあるんですが、ナンバーディスプレイを導入しているということも必要な条件になっていますので、そのあたりで、特に高齢者で年金生活で「毎月それだけかかるんやったら、なかなか入れられませんね」というようなお声を聞くこともあるところです。
 それから、もう一つは、「メッセージ型」と呼ばれるもので、これは遮断をするわけではないんですが、かかってきた電話に対して受話器をとる前に、「この電話は録音されていますよ」というメッセージを、受話器をとる前に一律に流すという、そういう機能を持ったものです。詐欺犯人のほうは、自分の声が録音されて残ってしまうということを非常にリスクだというふうにとらえますので、通常はそこで電話を切ると。御親族などがかけてこられても、それは当然録音されても構わないという形で電話はつながるということになりますので、そういう意味での効果があると言われていますが、思い切って詐欺犯人が電話を切らなければ、通話にしてしまうというそのリスクは残ってしまいます。これは初期の導入費用だけで、ランニングコストはほとんどかからないというふうに評価されています。
 とはいえ、どちらのタイプも初期費用は一定程度かかるので、そのことが普及の妨げになっているとも考えられるところですが、警察や自治体などで独自のお取り組みで無償貸与などの普及活動は行われています。ただ、先ほどお話ししたように、貸与期間、無償貸与が過ぎた後のランニングコストなどが問題になっていると。それで、京都府警さんの取り組みとして新聞報道もされましたが、平成29年の12月に200台の貸し出しの取り組みをされるという報道がありましたけれども、無償貸与をするとしても、一般募集をするのではなくて、以前に被害に遭われたという経験者の方へ個別の声かけをするというような形で配付をされていて、非常に重要な取り組みではないかと思っております。
 それから、もっと安易で安価な対策としてですけれども、一つは、京都府警さん、先ほどもお話がありましたが、もう留守電にしましょうと。私は勝手に「オール留守電作戦」と言っていますが、もうありとあらゆる電話は全部留守電にしましょうと。それで、本当に大事な人はメッセージを入れてくれますからかけ直してもいいし、メッセージが入っている間に電話をとって出てもいいと思いますので、詐欺者はまず電話をその時点で切るでしょうから、全部留守電にしましょうということを、こういう啓発、広報資料を使って呼びかけをしていただいていて、非常に重要な取り組みだと思います。
 それから、京都府警さんもこれはやっておられるようで、この間、みやこめっせであった「消費者生活フェスタ」で、府警さんがこれを配っておられたように思いますけれども右側の手形ポップというやつで、電話をとるたびにこの手形が、右下のほうに受話器のとこにちょっとこの手形ポップを置いている絵がありますけれども、受話器をとったときに、手形がぽーんと起こってきて、「オレオレ待って」とか「お金が必要」とか「大変だ、何とかしなきゃ」というような言葉を思い出して、「気をつけてね」というのを思い出させるというグッズで、非常に安価ですから意味があるというような形で、各自治体とか警察などでつくっておられるものも普及しているところです。
 それから、今度は銀行のほうですけれども、銀行のATMにこの絵のようなステッカーを張ってあるというところは、皆さんごらんになられたとこはあるかもしれませんけれども、振り込め詐欺などで、このATMのコーナーに行って操作をさせるという形で、先の還付金の話もありましたけれど、そういうのもあるので、この「ATMコーナーでの携帯電話の通話は御遠慮ください」と。もし電話しておられたら、職員が声かけをさせてもらうことがありますよ、というような形のステッカーを張ったりしてもらっているところもあります。
 それから、コンビニなどで電子マネー、コンビニの陳列棚に並んでいるやつを持っていって買うというような形で、いかにも買いなれていない高齢者の方が来たときに、どうやって声かけするかというような形とか、チェックシートを御本人に配付して、「大丈夫ですか」というものを見てもらうというような取り組みがコンビニなどでされています。同じように収納代行、先ほど「収納代行の利用型」がふえてきたという、平成29年の下半期のデータがありましたが、声かけをしたり啓発グッズの配布などがなされているところです。
 そういう意味で、既存の法律の枠組みで非常に予防がしんどいところもあるんですが、思い切った対策がとれるところはありまして、昨今報道されているところでは、銀行、信用金庫などの取り組みとして、「高齢者のATMの利用制限」が各地に広がっています。京都府下でも、京都銀行、京都中央信用金庫、京都信用金庫、京都北都信金さんが、過去3年間にキャッシュカードを使ってATMから振り込みをしたことのない70歳以上の預金者が、ATMから振り込みはできないようにしたと、そういう制度をとっておられます。
 京都中央信用金庫さんは、振り込みだけじゃなくてもう出金もできなくしたということで、これはキャッシュカード手交型対策で、キャッシュカードを盗み出したり、だまし取ったりしてATMで詐欺者がお金を引き出してしまうのも、一定高齢の方で、過去のATMの利用実績がない方に限ってですが、それをもうせずに、窓口へ来てくださいという形で、もしそういう方が振り込みや引き出しをしたい場合は窓口に来てもらうという、そういう手続をとっておられます。これなんかは非常に思い切った対策で、十数年前でしたが、先ほどお見せしたようなステッカーを張るという話を京都の中で、銀行協会さんなんかと話をしたときに、「そんなもの銀行が張れませんよ」と言ってすごく反対されたことがあって、当時はまだまだそんな雰囲気だったんですが、今はこの特殊詐欺対策というのが、もう官民で一体となってやらないといけないという形で、場合によったら銀行さんからすれば、高齢者が預金を引き出す自由を奪うみたいな形でクレームがあってもおかしくないところを、こういう手続までとられるようになっていると。お聞きしているところ、クレームは全くないそうでして、3年間もATMで操作されてないという方ですから、日常的に使われることはまずないということで、問題なく十分に運用がされているというふうにお聞きしています。これは愛知県とかの信用組合とか信用金庫から始まったんですが、今はもう都市銀行も同様の対策を進めているというふうに聞いています。
 これらの法律上の対策がある中で、次に、もう少し地域に目をやりますと、見守りが非常に重要だということになりますが、お話ししたように法整備については、さまざまな工夫はされていますが限界もあるところがありますし、それから啓発については、自治体や警察も頑張っていただいているところですけれども、啓発が届かない高齢者の存在があることは否定ができないところでして、先ほど消費生活安全センターから紹介がありましたが、高齢者の相談のうち、京都府の平成29年のデータで、判断不十分者からの相談というのは58件で、高齢者のうちの4%になっているんですけれども、つまり御自身で判断をする能力というのが少し、精神障害、知的障害、加齢に伴う疾病などでその能力が十分でない方ということの相談というのは、数字としても割合としても少ない。相談自体、家族や施設職員などからなされているということもあるんですが、御本人さんからの相談が少ないというのは、やはりそういう人たちというのは被害に遭っても、それを御自身で相談の機関に持っていくところに非常に問題があるというか難しい状態にあられるということで、そういう方たちにとっては、相談も届かないし、こちらからの啓発もなかなか届かないということで、周りで見ておられる方の見守りが非常に重要だというのが言えると思います。特に、身近な方に見守る上でポイントにしていただきたいのは、こういうサインに気づいたら事情を聞いて相談の窓口へ行ってくださいねということでお話ししていますが、見なれない人や車が出入りしているということで、特殊詐欺そのもの、それも最近は手交型などで面談するケースが多いようですけれども、特殊詐欺でないにしても、特に悪質な訪問販売なんかで何遍も来るような業者は、車で出入りするようなこともありますから、こういうものも一つのポイントになってきますし、不思議な電話のやり取りがあったり電話口で困っている様子があることを御親族は横でごらんになられるケースもあるかと思います。それから、これまで全然相談してこなかったのに、急に生活費が不足すると言ってお金に困っている様子があるとか、預貯金通帳まで見られる関係にある方は、ちょっと不審な出金の記録があるよねというような形を見つけられたら相談につないでいただければと思います。
 この見守りの重要性ですけれども、福祉分野での見守りのネットワークは、京都府下でも、また各地でも、構築が進んでいるところです。そこには、行政でありますとか、民生委員といった専門家も入っているところですけれども、御家族とか御近所での見守りで、非常に草の根レベルでの見守りが重要ではないかと思っておりますし、どちらかというと福祉分野の見守りネットワークは、やはり生活がお一人で十分にできておられるかとか、あるいは、場合によっては御親族や近しい人たちから、経済的な虐待を含む虐待を受けてないかというようなところがポイントになっているように思いますが、そうではない、詐欺者とか事業者からの被害に遭っていないかという消費者被害に関するネットワークの構築が、今の喫緊の課題になっていると思います。
 法律も手当てをしていまして、先般の消費者安全法の改正で、消費者安全確保地域協議会というものが定められています。消費者の安全を確保するために各地域で協議会を持ってくださいということですけれども、協議会を組織する関係機関は、必要があると認めるときは、病院とか教育機関だけでなくて、消費生活協力団体、その他の関係者を構成員として加えることができるとされています。協議会は必要な情報を交換して、消費者安全の確保のための取り組みに関する協議を行うということになっていて、協議会の構成員は協議の結果に基づき、消費者安全の確保のため、消費生活上特に配慮を要する消費者と適当な接触を保ち、その状況を見守り、その他必要な取り組みを行うと。個別の消費者の方で、この方は消費生活上特に配慮が必要ですねという方には、接触して状況を見守って必要な取り組みを行うということが法律上書かれていると。また、協議会は必要に応じて構成員に対し、消費生活上特に配慮を要する消費者に関する情報の提供、意見の表明、その他必要な協力を求めることができるということで、協議会側で気づいている消費生活上、特に配慮を要する消費者の方に関する情報を提供してくださいねという形で情報提供を求めることができることにもなっています。
 最後に、その協議会の事務に従事する者などに秘密保持義務を課すということで、協議会の参加者には守秘義務を課して、そこの中では逆に言うと、見守りが必要な方についての情報を共有していきましょうと。そこから外には漏らさないように守秘義務を課すんだけれども、中では情報を共有して、見守りのために必要な取り組みを行っていきましょうというような法律上の規定が設けられているところです。
 国は、この消費者安全確保地域協議会について、平成31年度末までに人口5万人以上の全市町村への設置を目標にしています。これは10月末の状況の日本地図に書いてある状況ですが、各都道府県にどれだけの消費者安全確保地域協議会が設置されていますかということを、地方公共団体数ごとに書かれているところですが、京都府は京都府が持っているだけで、府下の市町村はまだ消費者安全確保地域協議会を設置していませんので、この時点で0ということになっていて、京都府で1と。大阪が6、それから兵庫県は42と。あるいは、福岡県29というような形で、設置が非常に進み始めているところもあるんですけれども、京都府はまだ1ということなんですね。まあ会議、協議会をつくればいいというものではないと私も思っていますけれども、しかし数としては少し寂しい状況にありまして、つくった後どう活動していくというのが非常に重要だと思いますが、きめ細やな見守りを行うためには、やはり小規模単位での協議会の設置が必要で、究極的には、地域包括支援センター単位なんかでの会議が要るんだろうなというふうには思っております。その意味では、京都府に一つポーンとあるから、府下全部が見渡せるというふうには、それはかなり無理のある設定になると思いますから、府下の市町村への設置を働きかけていかないといけないと思いますが、そのためにはまさに京都府に、各地での設置を働きかける指導的な役割が期待されているだろうというふうに考えています。
 ここまでできょうのメーンのお話なんですが、最後に済みません、少しだけお願いをさせていただく時間をいただきまして、地方消費者行政強化交付金という交付金がありまして、消費者庁の設立と並行して平成20年以降に、地方の消費者行政の充実のために名前を変えながら交付金が予算化されてきました。平成30年度の実績でいきますと、概算要求が40億円に対して実現予算は24億円ということで要求が通るのは6割だったんですが、31年度も概算要求40億円で出ているんですが、そのうち、地方行政のほうで使うものとして、使途が硬直的で補助率が2分の1の強化事業分と呼ばれるものが15億と。使途が比較的自由で全額補助も可能になるものが、推進事業分と呼ばれるんですが、それが25億円という状態になっています。
 今、消費者行政は、きょうお話しした高齢者の消費者被害の高どまりをどうやって被害を救済していくかという問題とあわせて、さきの国会で決まりました、18歳に成人年齢を引き下げるという法ですけれども、これに伴う未成年者取り消し権の取り消しのラインが低下した点に伴って、消費者教育をどう若年層に向けて行っていくかという消費者教育の拡充など、国民生活上の重要な喫緊の課題を抱えておりますので、概算要求の40億円でも不十分なんですが、これがさらに削られてしまうと、京都府でも十分な施策を実施されることが困難になるのではないかというふうに思いまして、ぜひこの地方消費者行政の強化交付金の十分な支給を京都府議会さんでも声を上げていただければなというふうに思っております。弁護士会からも、京都府議会さん、京都市議会さんにお願いに上がりまして、京都市議会さんのほうでは、10月25日付ですか、地方消費者行政に対する財政支援の継続拡充を求める意見書というのを出していただいたところですので、ぜひ京都府議会さんでも同様のものをお出しいただければと思って、最後に少しお願いをさせていただきました。
 御清聴どうもありがとうございました。

◯荒巻委員長
 ありがとうございました。
 説明はお聞き及びのとおりでありますが、元の状況に復するまで、しばらくお待ち願います。
 本日の所管事項の調査におきましては、テーマについて、参考人も交えて、委員間の活発な意見交換の場となるよう運営してまいりたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
 それでは、御意見、御見解等がございましたら、御発言願います。

◯浜田委員
 どうもありがとうございました。きょうもお話しいただいた中で、キャッシュカード手交型ということで、私の知り合いのひとり暮らしの高齢の女性が、ことしの夏なんですけれども、この詐欺に遭いまして、被害は50万円で済んだんですけれども、銀行は1日に50万円しか出せないのでそれで済んだんですけれども、その手口が結局、京都銀行の銀行員を名乗って訪問をしてきて、そのときは何かお金が入るという話で、キャッシュカードを預かって、その暗証番号をどう聞き出すのかというのも、これもなかなか巧みで、「暗証番号は以前と変わっていませんね」というふうに聞くんですって。「変わっていません」で終わったらいいのに、番号を言ってしまって、それで引き出されてしまったということなんですよね。
 そういうことがあって、その1カ月後くらいに、北警察署がそういう詐欺の手口を紹介した注意喚起のチラシを配られていて、私の住まいに入ってきたから恐らく全戸に配られたんだと思うんですけれども、恐らくそういうことが頻発しているのでそういうことをやられたと思うんですけれども、さっきあった電話は結構いろんな対策があるんだけれども、訪問されてくるやつに対して、特にひとり暮らしのお年寄りなんかは、その方なんかもそうなんですけれども、もう私らが訪問したらよくしゃべりはるんで、要するにひとり暮らしやから、訪問してきていろいろしゃべってくれるということはむしろ喜ばれているという面があって、そういうのにつけ入ってこういうことをやるということがあるんで、こうやって訪問してくるやつですね、これに対する何らかの対策というのは、どんなことが考えられているのか、ぜひ知恵をお貸しいただきたい。

あらまき隆三

荒巻隆三
(あらまきりゅうぞう)

  • 昭和47年10月27日
    京都市生まれ
  • 自民党府議団 代表幹事
  • 議会運営委員長
  • 京都地方税機構議会 議長
  • 京都実業団剣道連盟 会長
  • 京都府カヌー協会 会長
  • 元衆議院議員
  • 元株式会社ワコール社員

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