平成20年6月定例会 (第5号) 一般質問

◯荒巻隆三君
 ただいま知事のほうから御答弁いただきました。条例の制定、また期日を伴ったその素案を聞かせていただきまして、大変感謝をいたしております。そしてまた、本府の風営店舗に対する基本姿勢もお示ししていただきまして、ぜひとも早急に取り組んでいただきたいと思います。
 そしてまた、本件に係る条例の制定の意義というものは、私、東山区選出の議員としても、一つ大変大きな意義があると思っております。まさに、繁華街に係る条例制定でございますから、京都の繁華街というものは、やはりその中心に花街というものがあると思っております。夏の風物詩である納涼床を大変楽しみに多くの皆様がやってこられる先斗町や、また八坂神社の門前茶屋として発展してきた祇園甲部、祇園東、また出雲阿国を祖とする歌舞伎で、また歌舞伎小屋・茶屋街で発展してきた宮川町、本当に多くの方が日本の心のふるさと京都として、その象徴として訪ねてくるまちであり、吉井勇等多くの文人が足しげく訪れて文化の華を咲かせてきた、そしてまた地域の催事や行事等、各伝承の担い手として大きな役割を果たしてきた花街というものを私は守っていかなければいけないと思っております。
 本当に、今、地域にそぐわない風営店舗が、まるで花街を侵食するように進出しておりますけれども、私は、本件の条例制定は風紀につながって、地域の風習やしきたりをいちずに守ってきた花街を守っていくことにもつながっていきますので、その辺の大きな意義も踏まえて、ぜひとも知事の取り組みに対して御支援させていただきたいと思います。
 次に、観光振興における人材育成について質問いたします。
 近年、京都ブームと言われるように、日本の各地や世界じゅうから多くの観光客が京都を訪れております。毎年7,000万人を超える観光客が、歴史・伝統・文化・自然など、1,200年の歴史の重みが集積された京都文化に魅了されてやまないということは、もとより、観光・文化に携わる多くの方々の大変な御努力によるものと推察し、悠久の歴史を持つ日本のふるさと京都に寄せられる期待にこたえていくといった、京都文化を背負っておられる皆様のたゆまぬ御努力に対して、常々心から敬意を表しておる次第であります。
 観光文化というものは、常在している地域の資源に光を見出し、それらを観光資源として認識し、ふるさとを共有するそこに暮らす人々が誇りを持って観光の対象としていくことで、はぐくみ守られていくものであります。
 京都府では、新京都府総合計画におきまして、「平成22年(2010年)の年間観光入込客数を8,000万人とする」という目標を設定されており、この目標の達成に向け、大いに期待が寄せられているところでありますが、これは単に多くの方々に京都に来ていただきたいというだけではなく、府下一円に観光の広がりをもたせる、観光がもたらす経済効果、観光関連産業の発展による雇用効果、交流人口の増大による地域の活性化など、観光に寄せられる府民の期待が非常に大きいからであると思うのであります。
 これらの実現に当たっては、いま一度、京都の観光政策の流れの中に、観光の本義を改めて確認していく必要があると考えております。
 観光の本義とは、地域の固有価値を示すことで、来訪者に心を込めて見てもらい、何かを学びとってもらうことであり、そのためには、地域の中から有能な人材を発掘し、観光の担い手として育てていくことが重要であります。すなわち、まずもって、自分たちのまちである京都のことを知らなければならないという必要性と、その上で、誇りを持って来訪者に京都の魅力を伝えることのできる府民であること、これらを目指すにはどのようにしたらよいのであろうかを考えていくことが、観光政策を実現する上で不可欠であると考えております。
 また、国におきましても、平成18年に観光立国基本法が成立して以来、さきの第169回国会におきまして、改正国土交通省設置法案が可決・成立し、10月には観光庁が設置されることとなるとともに、地域における観光誘客、滞在促進のための主体的な取り組みを支援する「観光圏の整備による観光旅客の来訪及び滞在の促進に関する法律」、いわゆる観光圏整備滞在促進法案も可決・成立したところでありまして、観光立国の実現に向け、着々と取り組んでおられるところであります。
 このような状況の中、京都府では、丹後から山城まで、京都府の豊かな観光資源を生かして新しい観光モデルを提案する「観光未来づくり事業」や、私の地元・東山区でも実施されている「京都・花灯路推進事業」の府市協調による実施、国のビジット・ジャパン・キャンペーンと連携した外国人観光客誘客のための「YOKOSO KYOTOプロジェクト事業」など、国内外からの誘客に積極的に取り組まれており、高く評価するものであります。
 しかしながら、原油価格の高騰による個人消費の冷え込みによる観光行動への影響が懸念されるとともに、少子・高齢化の進展や、団体旅行から個人・小グループ旅行へと、物見遊山から体験・参加型へと、観光ニーズの多様化、外国人観光客の急激な増加など、対応すべき課題もこれまで以上に、非常に多くなってきていると考えているところであります。
 私は、このようなときこそ、観光産業や各地域など、観光の一線で京都観光を支えている「人」の力こそが大切であり、すなわち、どのようにして京都観光の担い手としての後継者を育成していくべきか、10年、20年後の京都観光を見据えた取り組みが必要と考えているところでありますが、今年度、新たに実施される観光分野の人材育成事業「京都観光未来塾推進事業」に関し、次の諸点について御所見をお聞きしたいと思います。
 まず、京都府の観光の現状をどのように認識されており、この事業のねらいはどのようなものなのかをお聞かせいただきたいと思います。また、観光の第一線で活躍する人材を育成するためには、「しつらい」や「もてなし」など、相当高度な内容が必要となると考えますが、具体的な事業の内容と今後のスケジュールはどのようになっているのか。加えて、この事業により育成した人材に、どのような役割と活躍を期待されているのかお聞かせください。
 そしてまた、観光に携わる方々を大きく分けると、観光産業に従事されている方々と、地域に根差した観光ガイドなどをされているボランティアの方々がおられ、それぞれの果たされている役割も異なるものと思います。その中で、ボランティアで地域のために頑張っていただいているホスピタリティーを持つ観光ボランティアガイドやNPOの方々の育成というものは、例えば外国人観光客もふえているわけですから、いろんなことを聞かれたら、道を案内するとか、名所を説明してあげるとか、そういうことにも取り組んでおられるということを考えれば、地域全体を通じて非常に重要だと考えておりますが、どのような支援策を考えておられるのでしょうか。分割いたします。

◯議長(家元丈夫君)
 山下商工労働観光部長。
   〔商工労働観光部長山下晃正君登壇〕

◯商工労働観光部長(山下晃正君)
 観光振興における人材育成についてでありますが、10年連続で過去最高を更新するなど、京都観光は非常に好調に推移しているものの、京都市内と府域との格差が大きいことや、持続的発展のために、一層、質の向上を図ることが必要であると考えております。そのためには、多様化する観光ニーズに対応し、地域の特性を生かした着地型観光を推進することが重要でありますが、その企画や、魅力ある観光地づくりの担い手が不足しているほか、地域の語り部である観光ボランティアガイドも不在の地域があるところであります。
 このように質の高い地域観光振興には、観光産業関係者や地域の観光振興の担い手の力を高めることが不可欠であり、今年度、「京都観光未来塾推進事業」を実施し、人材育成を図ることとしたところであります。
 具体的には、産学公の専門的なノウハウを持った方々による「人材育成会議」を今月にも京都府観光連盟に設置し、観光産業関係者を対象とした経営学、ホスピタリティー、外国人対応のためのマナー・語学講座のほか、地域観光のリーダー向けの企画講座等について内容の検討をしていただき、秋から講座開催を目指しているところであります。
 また、観光ボランティアガイドの支援については、外国人ガイドに関する講座を開設するほか、団体間の連携や効果的な情報発信等を強化するため組織化を進めるなど、活動の活性化とレベルアップを支援することとしております。
 今後、講座受講者には、地域の観光においてリーダー的役割を担っていただくとともに、新たな観光ビジネスの創出にも期待しているところであり、「きょうと元気な地域づくり応援ファンド」を活用した新しい事業なども応援し、魅力ある観光地づくりと観光産業の振興を進めていきたいと考えております。

◯議長(家元丈夫君)
 荒巻隆三君。
   〔荒巻隆三君登壇〕

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あらまき隆三

荒巻隆三
(あらまきりゅうぞう)

  • 昭和47年10月27日
    京都市生まれ
  • 自民党府議団 代表幹事
  • 議会運営委員長
  • 京都地方税機構議会 議長
  • 京都実業団剣道連盟 会長
  • 京都府カヌー協会 会長
  • 元衆議院議員
  • 元株式会社ワコール社員

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