平成20年府民生活・厚生常任委員会6月定例会 2日目

◯光永委員
今、荒巻委員がおっしゃいましたけれども、私どもは、もともと平成12年ですか、そのときの決議を反対していますので、それは全体で決めたものではありません。
同時に、本会議でも、全国一律の一元化が必要だということも知事会が出しているのだという話もありましたし、医師会もいろいろな医療制度の問題については出しています。つまり、いろいろな形のあり方について論議しようということは、私もやぶさかではないと思います。
ただ、今回の制度は、先ほども具体的な例を挙げましたけれども、意見も出ていましたように、やっぱり国民的な批判が大きいと。その根本は、医療費総額を抑制していくと、そのために制度を後期高齢だけ独立させていくと。そうなると、保険料は後期高齢者の人口がふえれば上がるということがすぐ起こってくるわけです。医療費抑制をしなければ保険料が上がるという相関関係があるのは、制度上やむないわけです。そうなると、現段階でもそうですが、いずれ高齢者に新たな負担なり医療抑制なりがかかってくることになるから、これは一たんもとに戻して、今後のあり方については国民的にしっかり議論しようではないかということで廃止すると、これは道理があると思います。
さらに言いますと、「財源問題」とおっしゃいましたが、私はこの「財源問題」は本当に政府のごまかしというか、いいかげんな試算が多いと思います。例えば、社会保障給付費が今後伸びていくということの中で、1994年に、当時厚生省は「2025年には医療費だけの総額が141兆円になる」と試算したのです。その当時、私どもは「そんなばかなことがあるか」と言っていたのですが、その後ずっとその予測値は下方修正されて、1997年の段階では「2010年の医療費総額は68兆円」と。今何兆ですか。大体 30兆円弱ですよね、29兆円かぐらいですよね。だから政府が「社会保障給付費がどんどん伸びて、2025年に136兆円になりますよ」と言う根拠そのものが、そもそもこれは人口がふえたら単純に医療費が伸びるという考えで、国民に不安をあおっているのはまさに与党と政府です。同じ轍を踏んだらあかんということです。
なおかつ、財源のことを言われましたので言っておきますと、この間、世界的に見ても、社会保障給付費の中における日本の給付費は、OECD諸国全体の中で22位で、先進国の中でも最下位になっていまして、決して多くないですね。先ほど述べた、大変粗い、しかも根拠がないと思われる厚生労働省(厚労省)の試算、2025年に136兆円になるという、とんでもないこの試算がそのとおり推移したとしても、GDP比は19.0%ですよ。フランスは現在28.5%です。ドイツは28.8%。10%近く、日本は政府の粗い試算で伸びたとしてもそこまでしかいかないほど、社会保障給付費は低いです。だから、それで国家財政が破綻するというのは、これ自身も、私はちょっと理屈通らへんのと違うかなと思います。
さらに言うと、この間、医療給付費における事業主負担も4%程度減っていますし、あるいは国庫負担だって5%程度減っていますね。ふえたのは地方と本人負担だけです。この本人負担と事業主負担で54%ぐらいで、公費負担は国、地方合わせて大体30%ぐらいしかないわけで、この30%分が、政府が言うところの単純にふえていったとしても、これでどうして破綻するのかということになるわけです。最大問題は、むだ使いをむちゃくちゃやってきて、そのツケを総枠として社会保障が大変だとすりかえて国民に押しつけるという、そのやり方を切りかえなあかんのだと我々は言っているわけです。
そういう意味では、この後期高齢者医療制度が、日本の社会保障や医療が破綻するから、財政的に破綻するからこの制度をつくらなきゃいけないという論そのものが、私は本当に根拠がないのではないかと思っているので、荒巻委員がおっしゃった理屈は、経過からいっても、財政的な点でいっても、私は当てはまらないと思います。ぜひ賛同いただきたいと思います。
以上です。

◯荒巻委員
認識すべき点で多々共感する部分があります。確かに無駄はなくしていかなくてはいけないし、財政的なことで国にしっかり働きかけていきたいということを、我々自民党会派としても、自民党の中でも本当にさまざまな意見があって、まだ調整の余地がある段階ですから、それはもちろん働きかけていきます。
ただ、では新しい、それに何かかわる、対案があれば一番ベターなことだなと思います。そういう意味で、何か対案ありきでまさに今の御説得をしていただければいいかなと思って。

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あらまき隆三

荒巻隆三
(あらまきりゅうぞう)

  • 昭和47年10月27日
    京都市生まれ
  • 自民党府議団 代表幹事
  • 議会運営委員長
  • 京都地方税機構議会 議長
  • 京都府実業団剣道連盟 会長
  • 京都府カヌー協会 会長
  • 京都府議会海上保安議員連盟 顧問
  • スマートライフ推進京都府議会議員連盟 顧問
  • 日米友好親善京都府議会議員連盟 副会長
  • 日韓親善京都府議会議員連盟 副会長
  • 京都府防衛協会 理事
  • 京都ボーイスカウト振興会 評議員
  • 世界遺産賀茂御祖神社境内糺の森保存会 理事
  • 元 衆議院議員
  • 元 株式会社ワコール社員

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