平成22年6月定例会 (第3号) 代表質問

◯荒巻隆三君

ただいま知事から、暴力団排除に対して、本当に熱意ある、また覚悟あるお言葉を御答弁いただいたと思っ ておりますが、より一層これを強力に推進していくためにも、議会から提出されて既に施行されております「犯罪のない安心・安全なまちづくり条例」等に暴力 団排除の規定を盛り込んでいく等、そういった文言の明記も我々議会は考えていかなければいけないと、そういう時期かなとも思っておりますし、また府の安 心・安全まちづくり推進課のほうにも、他県がやっておりますようにある程度の事務を所掌していただくというか、入札に関しても、また消費行政に関しても暴 力団排除のそういった連絡事項等、監視体制、また管理棟としての機能を府内にも置いていただきたいと、そういったものもまた検討していただきたいと思って おります。
次に、東山警察署と隣接して整備され、この4月から本格稼働した「家庭支援総合センター」について質問いたします。
旧洛東 病院跡地に、東山警察署とともに福祉の拠点施設が整備され、府民の安心・安全のために頑張っていただくことに大きな期待を寄せているところであります。
立派な施設が完成し、これまで、それぞれの専門相談のために独立して整備、運営されていた京都児童相談所、身体・知的更生相談所、婦人相談所、吉田母子寮 が、一つの施設として整備され、これらの相談機関が個々に対応していた家庭に係る諸問題の相談を、一体的、総合的にかつ相互に連携し、解決に向けた道筋を つくる機関としてスタートしたことは、府民にとって非常に心強いものではないかと思うところであります。
最近の新聞・テレビ等では、毎日のごと く、児童虐待やDV、家族間での悲惨な事件が伝えられています。我々の世代にとっても、このような事態は理解できないことであり、家族の中での思いやりや 愛情等を核としてつくられていた日本社会が崩壊しようとしているのではないかとさえ思ってしまう状況であります。
少子化、高齢化を初めとして多 くの行政課題が山積する中ではありますが、このような事態を見たとき、日本社会の基盤を再構築するためにも、家庭が抱える諸問題に行政が真正面からきちっ と対応していくことが求められていると思っております。
家庭支援総合センターは、宇治・福知山児童相談所の機能向上による南部・北部家庭支援セ ンターの整備とあわせて、その核としての働きが期待されているところであり、これまでも知事は展望ある御所見を述べてこられたところでありますが、改めて 知事に質問いたします。
4月1日に総合センターとして稼働以来の相談等への対応状況について、円滑なる運営がとり行われているのかどうか。課題 解決への体制はしっかり生み出されているのでしょうか。また、地域の協力者との対話はしっかり行われておるものなのか。在住しておられる児童に関して言え ば、センターに在住の児童たちの保育を預かっておられる地元の方々からは、「もっと子供たちのためにできることはありませんか」と協力を惜しまない声をい ただいております。
児童たちにとっては大変デリケートないろいろな事情がある場合もございますけれども、児童たちを守って育てていくという目的 にどうしたらよりよくかなうものであるかを考えたとき、地域の善意ある皆様と連携していく上で、情報の運用や共有をどこまでどのように考えておられるもの なのか御所見をお聞かせ願いたい。
そしてまた、家庭支援総合センターは、京都市内に整備された施設として京都市民の期待も大きいところでありま すが、政令指定都市として大きな権限を持つ京都市と、これまで以上の対応や密接な連携が必要になることも考えられますが、知事は、具体的に京都市とどのよ うに連携を図っていこうとしておられるのかをお聞かせ願います。
また、センター内に併設された「少年サポートセンター」を接点とした府警との連 携も重要であると考えますが、府警との連携についてもお聞かせください。
次に、「北山文化環境ゾーン」について質問いたします。
知事 は、4月の知事選挙において北山文化環境ゾーンの整備を進めていくことをマニフェストに掲げておられましたが、このたび、早速、文化・環境・学術の新たな 交流発信拠点として整備が動き出しますことは、北山地域に昔から大変関心を寄せておりました私にとりまして、高く評価をいたすところであります。
私は、幼児期から少年時代を旧府婦人センターの隣接地で過ごしておりましたゆえ、いわば北山文化ゾーンのエリア内で暮らしていたということでございまし て、当該地域とともに時代の移り変わりを目の当たりにしてまいりました。80年代の太陽の輝く季節のような活気と90年代以降の対比的なまでの停滞感。周 辺地域の変化。その諸行無常に寂しさを覚えておりました。
50年、100年先を目指したビジョンを描いて、人が行き交うまちのそのシンボルとな るような開発に着手していただきたいと思っております。いずれは廃ってしまう奇抜な流行とかは結構ですから、私たちの子孫が利用していくものとしてきちん と魂が宿ったものに設計していただきたいと願います。
北山地域は、地下鉄烏丸線と北大路通りや北山通りが交わる要衝であり、世界遺産の上賀茂神 社と下鴨神社の中間に位置しており、周囲の賀茂川や下鴨本通り、疏水道にもつながって、その中心円に人の流れが集まる可能性を秘めた地域であります。
京都府においては、ここ北山地域の植物園、総合資料館、府立大学などを含めた北山文化環境ゾーンについて、「文化と環境に包まれた安らぎと交流の中で、京 都を世界に発信するまち、開放感あふれ歩いて回りたくなるまち」というまちづくりの考え方や、府立大学と連携した新総合資料館・国際京都学センターの整備 などを「街区構想」として、また、本年には北山文化環境ゾーン整備委員会において新総合資料館と3大学教養棟の機能と位置や関係エリアにおける機能配置の 検討が行われ、まとめられたと伺っております。
新たな総合資料館については、果たすべき役割・機能を方向づける「総合資料館基本構想」を見てみ ますと、古文書などの歴史資料や古典籍などの図書資料などについて、「京都の歴史・文化について、知識を得たい」「研究したい」とする府民のニーズにこた える方策など、さらなる府民還元についての役割がまとめられ、京都に関する資料を収集・保存・提供する拠点としての新総合資料館の方向が示され、今回、機 能や位置等の方向性がまとめられたところであり、ぜひ、府民や学生にとっての利用のしやすさも重点化をしていただきたいと思っております。
ま た、植物園につきましては、賀茂川の半木(なからぎ)の道から北山通りに向けまして、植物園の北側を歩いておりますと、夜となると大変暗く、また、植物園 の入り口からは東へ向かって地下鉄北山駅まで、やや距離を感じてしまうといった指摘があったりもします。
このような中、今議会には、新資料館と 3大学教養棟の設計費や植物園再生事業費の予算案が提案されるなど、ここ北山ゾーンを京の文化・環境・学術の拠点、より多くの府民が集える魅力ある北山文 化環境ゾーンとして、新しい魅力を発信できるよう、整備が動き出したことについて期待を寄せております。
そこで、知事に質問いたします。知事 は、これまでから、新総合資料館の整備については、隣接する府立大学と共同化して整備する必要がある旨答弁されておられますが、新総合資料館と3大学教養 棟の機能や特色をどのように考えておられるのか。
また、植物園は来園者が花と緑に心いやされる、安らぎの空間を目指して、具体的にどのような施 設整備を考えておられるのか、知事の御所見をお聞かせください。
次に、環境政策について質問いたします。
我が国において、地球温暖化 を防ぐため、温室効果ガスを出さない次世代のエネルギー社会を目指していこうというものの、日本はまだまだ消極的と言わざるを得ない現状であると思ってお ります。自然エネルギーという選択肢は、かつては三菱重工の風力発電は世界一でした。今は14位です。太陽光発電もほんの数年前まで世界一でしたが、今は ドイツに抜かれ、今や中国が1番です。地熱発電もこれまで1位でありましたが間もなくドイツに追い抜かれます。バッテリー技術、電気自動車も世界一であり ましたがこれらも抜かれつつあります。
日本との政策の違いによることは大きいですが、環境先進国の多いヨーロッパにおいて100年後のエネル ギーを考えたとき、我々の地球上には現在の消費量で計算すると石油はあと40年分しか残っておりません。天然ガスで65年分、ウランで85年分、石炭だけ は155年分ありますけれども、天然ガスの倍の二酸化炭素が出てしまうので、したがって環境先進国の考える、100年後のエネルギーは自然エネルギーしか ないという結論であります。それ以外に選択できるものがないとそう考えた国々が、100年後の資源の枯渇する将来までの間、何年までに何をすべきか、今す べき施策はどういったものであるのかという形でエネルギー開発を進めてきた結果が、国際的に日本の技術の埋没化を招いている要因の一つではないかと考えら れております。今後最も伸びるべき自然エネルギーで日本が負けているのは問題であります。
省エネ化に関しては、スマートグリッドという仕組みが アメリカで進んでおります。ITを駆使した低炭素社会への新しい試みとして、家庭と企業と電力会社はスマートグリッドという送電網でつながり、電力を双方 向でやりとりすることができます。すべての家はソーラーパネルで発電し、余った電気は電気自動車のバッテリーに蓄えられたり電力会社に売ることもでき、自 然エネルギーを無駄なく効率よく運用し、自然エネルギーの弱点である気象条件の左右にも、蓄えた電力を送電網に送り返し供給につなげるといった未来社会へ の実験を行っております。もちろん日本の送電網をめぐる状況は、アメリカとは大きく異なり、ほんのわずかながらの年間平均停電時間を考えるとスマートグ リッドに近い状態は実現はしておりますが、再生可能エネルギーの導入が本格化すれば、日本においてもスマートグリッドの役割は高まり必要となってくると 思っております。
ただいまは、コロラド州ボルダー市での取り組みでありますが、これらのように世界では各所にて先進的な試みを進めておられます が、私としては京都議定書の地・京都からも、山田知事には、自然エネルギーの活用推進にこれまで以上、より強力に取り組んでいただきたいと思っている次第 でございます。知事の御所見をお聞かせ願います。
最後に、環境と言えば、緑美しい森林は我々の最大の財産であります。私自身も東山の国有林で常 緑広葉樹の間伐を行ったり、林相の改善や植生の生態系を守ることの大変さというものを痛感しております。林業労働者の担い手が年々減少する中、京都府で は、今年度、新たに林業トレーニングセンターを開設し、担い手対策を強化しようとしていただいておりますが、トレーニングセンターではどういった取り組み を展開しようとお考えなのか、また森林の手入れ不足が進行しつつある中、今回の6月補正予算案では、京都の豊かな森林づくりを支える人材の育成を目的とす る、京都発の新たな森林・林業専門の学校として、(仮称)林業大学校の設置に予算を計上されたところでありますが、知事がお考えの大学校はどういったもの なのかお聞かせ願いたいと思います。林業大学校の運営の考え方や育成される人材像について、知事の御所見をお聞かせ願います。

◯議長(林田洋君)

山田知事。
〔知事山田啓二君登壇〕

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あらまき隆三

荒巻隆三
(あらまきりゅうぞう)

  • 昭和47年10月27日
    京都市生まれ
  • 自民党府議団 代表幹事
  • 議会運営委員長
  • 京都地方税機構議会 議長
  • 京都実業団剣道連盟 会長
  • 京都府カヌー協会 会長
  • 元衆議院議員
  • 元株式会社ワコール社員

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