◯荒巻委員
たしか、これは予算を最初措置する段階においても、引き続きという形で年度年度できっちり確保する御努力をされておられるということでございました。この予算の規模で、確保あるいは拡張していただく中で、それに比例して防災事業もしっかり進捗が行われているかも確認していきたいのですけれども、今おっしゃられました防火のほうもそうですね。多くの文化財が木造ということで、構造的にどのように火災という事態に対処していくかという点で、京都市であるとか消防、そしてまた所有者としっかり協議をしていく方向で施策を打っていきたいということを当初おっしゃっておられたので、それの進捗に関しても聞かせていただきたいと思います。
また、特に府下にあります文化財、重要文化財にしたら290ぐらいありますよね。国宝でも50近くあるということで、そのうちのほとんどが今例えば震災を想定したときに、花折断層下にその3分の2の200近くの重文が存在するということで、万一の激甚災害の事態下においては、これは多くが消失して被害額に換算すると本当に天文学的数値になるのではないかというような危惧もされておられます。
そういった中で、そういった耐震構造的な、木造という難しさがあるということで、これからどう検討していくかという、またそういう基本方針的なことも今現在進められている進捗状況にあわせてお示しをいただきたいと思うのですけれども、いかがでしょうか。
◯文化財保護課長
これまで、国宝、重文の建物など根本修理を行う際に、足固めあるいは軸組みの補強、壁の耐震化とか、あるいは鉄骨補強も行ってまいりました。しかしながら、それらは20棟にも満たない状況でございます。
また、耐震診断を行ったところ、補強の必要もなしと判断した建物もございますが、いずれにしましても、全体の数に対してはなかなか数は少ない状況があります。しかしながら、委員から御指摘がありましたように、木造建築でございますので、最近学識経験者あるいは国からも多く指摘されておるのでございますが、京都の市街地が拡大する中で、従来は孤立して建っておった建物の周りに多くの民家が建っておるということで、神戸の震災のときでも明らかになりましたように、同時多発的な火災において焼失する部分に対して最も警戒しなければならないと指摘されております。
したがいまして、建物の補強は修理とともに行っていきますが、それと同時に、二面的な作戦といたしまして延焼からの防御に面的に取り組むことを、これは予算特別委員会でも申し上げました。それにつきましては、1つは、防火水槽あるいは消火管といったものの耐震性の向上であるとか、それから地域の人々との人的な連携を進めていくとか、これには地元の市町村とか、それから消防の関係の方々との行政の連携、それから府民との、市民との連携も必要でございます。
また、本年度は文化庁の補助事業で、所有者、学識者あるいは消防当局などと協議しまして、先進的な取り組みを計画しております。これがどういった形になるか、まだ固まっておりませんが、ぜひ事業化していければと考えておるところでございます。こういった形で、さまざまな取り組みを進めて備えてまいりたいと考えております。
以上でございます。