◯荒巻委員
今、「事業化していきたい」とおっしゃった先進的な取り組みの概要的なもの、基本方針があれば教えていただきたい。
◯文化財保護課長
こちらは、まだ事業として固まっておりませんので、どちらということではございませんが、多くの塔頭を抱える禅宗寺院などもございますことから、そういった境内全体の防災、そして周辺を囲みます住宅地の防災とどうタイアップできるかといったことを研究して、それを現在のところ文化庁事業でどのような形に持っていけるかということを研究、検討している。そういったものでございます。
以上でございます。
◯荒巻委員
そういった文化遺産を、府民全体でいろいろな地元の人とかそういったものを巻き込んでどう保存していくかという仕組みをつくっていただきたいと思うわけです。今課長もおっしゃられた、文化庁で、たしか平成20年ぐらいから、重要文化財を取り巻く環境が、これからそういった事態を想定すると、昔存在していた状況よりも本当に今のほうが危険だという認識をなさっていたと。そういう報告を受けたわけです。
では、そういう背景をもとに、本当に本府だけではなくて、いろいろな共同作業を、また検討を進めていっていらっしゃると思います。まさに消防とか、そういった京都市の機能とも大きくかかわってきますし、例えば私の今住んでいる東山の清水学区においては、本当に多くの清水寺を初めとする文化遺産、そしてまた先ほど申した長楽寺という火事もあったこともあります。地域でのそういった住宅の災害のそういう訓練から派生して、そういった文化財がもしそういう事態に、火災に巻き込まれたときのある程度ケアできる、そういう何か練習とかも今考えているということはよく聞いて、実際に訓練という形でそういう練習に移していることも聞いているわけです。
そういったことを京都市とか、あと所有者とかと実際詰めておられるのであれば、その事例も御紹介していただきたいと思います。
◯文化財保護課長
少し古くなりますが、平成16年7月に、災害から文化遺産と地域を守る検討委員会が学識経験者あるいは関係行政庁が集まって行われまして、まとめが出されました。その中で、一つの具体的ケースといたしまして、清水寺三寧坂地域における対策がございました。これは、一定でき上がっておるわけでございますが、先ほど申しましたように、消火管設備の柔軟な素材を使った耐震化であるとか、あるいは大きな防火水槽を設ける。これは清水寺の背後の山中あるいは高台寺の境内近くに非常に大きな防火水槽を設けております。これをそうした消火管で結んでおりますので、これらの近辺の寺院あるいは住宅街において、火災が発生した場合には、これをもって地元で消火ができると。初期消火に当たれるということが実現しております。
こういったものは、非常に先進的な事例でございまして、京都市の消防当局が中心になって進めてきたと聞いておりますが、これをまたこれまで文化庁においては各寺院ごとの防火体制ということを念頭に置いて整備を進めてきましたが、もう少し広い視野を持ってそういったことも参考にしながら、取り組みを進めていければということで、先ほど申したようなことをまた検討、研究していきたいと考えております。
以上でございます。
◯荒巻委員
ぜひそういったモデル的な試みをあちこちに、これから府下一円にあるそういう文化財周辺の所在地、そこの市町村と連携して、本当に府民参加の中で、これはしっかり後世に残していくものだという意識を高めていくような、また施策を打っていただきたいと思います。
時間がないので、最後、一言お願いを申しますと、またそれはそういった残していくべき文化遺産というのは、日本、我が国のまさにアイデンティティーに係る財産であると同時に、また観光資源でもあり、そしてまた教育資源でもあるわけでございます。そういう防災の意識を高めるのも一つきっかけなのですけれども、本当にふだんからそういう地域の文化財と親しみを持って接する機会もぜひ充実するように、その辺も合わせ持った教育委員会としての施策の推進を重点化するようにお願い申して、質問を終わります。