◯加味根委員
世界の流れがどうなっているかということも、少し踏まえる必要があると思っています。2007年の国連総会の勧告として決議されたものですけれども、食料問題に対する勧告です。すべての国は、国際貿易協定を含め、自国の国際的政治、経済政策が他国の食料に対する権利に否定的影響を与えないことを確保すべきであるということで、各国の食料主権というのがあるんだと。自国民のための食料生産を最優先にして、実効ある輸入規制とか、あるいは価格保証などの政策を自主的に決定することは、国連でもつい最近、決議をされたところですし、昨年の国連総会の決議も、すべての国の間で公平であり、主権、労働、相互依存、互恵、協力、連帯の原則に立脚した新国際経済秩序を目指して努力する必要があるということで、すべてフリー、すべて自由ということではなくて、それぞれの国の経済主権というものも尊重しながら協力していこうということですので、今回のTPPは、そういう意味で関税を全部取っ払うという、ちょっと食料主権も否定をするような方向ということでは、世界の流れとはちょっと違うということを指摘をしておきたいと思います。
◯荒巻委員
今、御意見を聞かせていただいたのですけれども、そういった意見もあるということは重々承知している上で、やっぱりこれは国の政策というか、国家戦略だと思うのです。今、万全の体制でそういったものが起こる懸念がないようにするということを内閣のほうも言っているわけですから、それが実際どういったものなのか、それを見きわめてからやったらどうかなと思うのです。拙速に反対しても、せっかくこういった日本経済、いろいろな構造に出てくるであろうひずみみたいなものを、こういった大きな変換の中でいかなる答えを出すのかというのは、私はすごい興味があると思いますし、そういった意味で、まだ、しっかり見きわめてからでもいいのではないかと、個人的にそれだけ言わせていただきます。
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