◯知事(山田啓二君)
荒巻議員の御質問にお答えいたします。
がん対策推進条例の制定についてでありますけれども、がんは既に2人に1人がかかる病気になっておりまして、全国で年間30万人、京都府でも7,000人以上の方が亡くなられる国民病に該当するような疾患となっておりまして、こうした昔のがんというイメージからするとかなりかけ離れたイメージになっているという状況に応じた体制整備が極めて重要だというふうに思っております。
京都府におきましては、まず最先端のがん治療を提供いたします2つの大学病院において、より高度な治療に対応するための診断機器や治療機器を、これは連携拠点病院も含みますけれども、整備いたしまして機能強化を図りますとともに、がん治療に一定の実績を有します地域の医療機関の整備についても助成を行うことによりまして、全体的ながん医療水準の底上げを図っていきたいというふうに思っております。
さらに、がんがだれでもかかる可能性を持つ病気である以上、医療機関が地域から拠点病院まで連携をして、できる限りの情報をしっかりと共有できるようにしていくことが大切だというふうに思っておりまして、今年度末には、胃がん、肺がん等の5つのがんについて、地域の拠点病院等と府内の医療機関が患者の状態に応じた診療計画を共有するための地域連携クリティカルパスの仕組みをつくりまして、また、がん登録におきましても、地域がん登録と院内がん登録の登録項目の統一化を図ることで登録しやすい仕組みを構築することとしておりまして、こうした事業について本議会に予算をお願いしているところであります。
さらに、条例制定後は、府立医科大学と京都大学、さらには各拠点病院等により構成する「がん医療戦略推進会議」を新たに設置いたしまして、府立医大ならば幅広い地域医療に対するネットワークがありますし、京都大学も医学から工学、薬学までの大変多様で高度な専門人材の育成組織を持っておりますので、こうした機能を有効に生かしますとともに、各拠点病院等の強みも生かして、がん医療水準の向上を図っていきたいと考えております。
次に、緩和ケアでありますけれども、死亡率1位のがんでありますので、どうやったら患者さんにとって生活の質を維持し、そして完治はしない場合におきましても、安らかに最期を迎えることが恐らく患者さんにとって一番大きな願いではないかなというふうに思っております。このため、「明日の京都」におきましても、初期の段階から患者の皆様の状態に合わせた適切なケアが提供されますとともに、患者の人生の質の維持・向上を図るために緩和ケアに積極的に取り組むこととしております。
とりわけ、今、地域で緩和ケアを提供する施設が不足しておりますし、緩和ケアを担います専門職の充実等が課題となっておりますので、現在、府内の医療機関を対象に緩和ケアに関します実態調査を実施しておりまして、その結果をがん医療戦略推進会議で検討しながら、緩和ケア病棟などの基盤の整備ですとか、専門性の高い緩和ケアを提供する人材の育成・確保等に、これから総合的に取り組んでまいりたいと考えております。
その他の御質問につきましては、関係理事者から答弁をさせていただきます。
◯議長(林田洋君) 中井文化環境部長。
〔文化環境部長中井敏宏君登壇〕